湯原と水野のダンジョン創世記

焼納豆

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エピローグ

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 どのくらい月日が流れただろうか……今日も番のダンジョンを始めとして、ラスリ王国やコッタ帝国にあるダンジョンは健在であり、冒険者達が多数侵入してその素材を得るために活動している。

 唯一1階層に居住空間がある番のダンジョンでは、相変らず移住者がいるのだが、初めに移住した者が子を産み、またその子供が子を産み……と、人口は徐々に増加している。

 長きを生きる、ほぼ寿命がないと言って良いレベル40超えの召喚者達は未だに変わらぬ姿で活動しており、この時代になると残念ながら四人の召喚冒険者達は既に寿命を迎えていた。

 元ダンジョンマスターである星出と岡島については、早い段階で湯原セーギ水野カーリが意思を確認しており、もし可能であれば長く生きたいと言う回答だったのでレベル99の物質を生み出せるイルーゾの力を使って見た目は変わらないが魔物化し、デルと同じ種族である魔族として湯原セーギ水野カーリと契約する事で同じ時を生きる力を手に入れている。

 国家としては非常に衰退しているのだがラスリ王国も未だに存続しており、王族の子孫が岩本と三原の奴隷の契約を継承し続けており、未だにこき使われている二人。

 逆にこの二人が死に物狂いで働かされている状況が、かろうじてラスリ王国の存続を支えている。

「今日は、定例会かな?」

「フフ、そうですよね、ミズイチちゃん、ハライチちゃん、レインちゃん、イーシャちゃん、プリマちゃん!岡島さん、星出さん!」

 猫獣人の二人も岡島や星出と同じ状況だが、異なるのは少し時間が経過して大人と言える年齢になった時に魔物化している事だろうか。

 こちらも見た目は全く変わらずに種族も同じ猫獣人だが、れっきとした魔物であり、湯原セーギ水野カーリと共に悠久の時を生きる存在だ。

 残念ながらギルド支部のトレアリナももう寿命を迎えているので、その後釜には召喚冒険者である朋美が着任している。

 女子会メンバーはこう言った事情もあって人数が増える一方で減る事は無く、未だにかなりの頻度で開催されている。

 本当に長い時間が経過しているが、主な話題は相変わらず恋バナであり、相手がいるのは湯原セーギの妻と言う立ち位置の水野カーリだけなのだが、毎回喜々として参加している。

 残される湯原セーギは、時折デルとこんな話をする。

「デル、俺さ?一回だけあの会に最後まで参加したんだよ」

「あ!あの時ですね。覚えております」

 普段強制的に拉致されてしまった場合は、スラエやスラビの力を使って程よく女性陣が酔った頃に逃亡しているのだが、一度だけ完全に水野カーリにホールドされて逃げられずに、更にその姿を見て盛り上がる場から逃げる事が出来なかった。

 そこからは散々弄り倒される大惨事に発展し、絶対にあの会には参加してはいけないと固く心に誓った湯原セーギだ。

 話の内容も結構恥ずかしいので、情報の報告すら固く拒んでいた。

「あの時、お帰りになられた際の我が主セーギの……なんと言いましょうか、あの疲れ切った表情、某には想像できない修羅場だったようですね」

「本当だよ!でもさ?あの会の要は神保さんの眷属のインキュバスの執事の方だよね。あれほど配慮が出来て、過ごしやすい場を作るなんて……凄いけど、その力をもっと違う方向に向ければ……って、違うな。異世界に来ているのだから、誰しもが心に少なからず傷を負っているから、感謝すべきだな」

「流石は我が主セーギです」

 召喚魔物であるマーリが準備してくれた食事を啄みながら、こうしてまた平和な一日が過ぎて行く。

「今日はギルド視察の日ですね?セーギ湯原君」

「そうだね。じゃあ早速行こうか!」

「あ、おはようございます!セーギ様!カーリ様!全員整列!!」

「おはよう、皆。って、毎日言っているけど、一々並んでくれなくても良いし、作業の手を止める必要もないから」

「そうですよ。皆さん大変でしょうから」

 ダンジョンのとある階層は既に村と言うよりも町と言った方が良い状態となっており、ダンジョン内部にも拘らず、一般的・・・にはダンジョンを攻略する事を目標としている冒険者ギルドも存在している。

「今日も平和だね、カーリ。ここのギルドも朋美さんに任せておけば安心だしね」

「はい。全部セーギ君のおかげです」

 呑気に話している二人の後ろには護衛として、小さな角を持つ屈強な男のデルと七色の髪を持つ美しい女性レインが控えており、周囲を警戒している。

 二人が一階層の入り口にある冒険者ギルドに立ち寄ろうとした所……

「アンタ達のせいで!」

 突如建屋の影に隠れていた女性が、セーギとカーリと呼ばれている二人に襲い掛かった。

「セーギ様!カーリ様!」

「そいつを取り押さえろ!!」

 周囲の冒険者やギルドの職員達が二人の安全を確保しようと動くのだが、襲われかけている二人は驚く素振りも見せないし、焦る事も一切ない。

 背後に控えている男女も、この状況下にあって主人を守る立ち位置に移動する事もない。

……シャララララ…… 

「う…ぎゃーーーー」

 突然地中から鎖が出てきて、女性にキツク絡みついた。

「またあなたですか。懲りもせずによくやりますね」

 がんじがらめにされて一切動く事が出来ずに倒れている女性は、射殺さんばかりの視線をセーギとカーリと呼ばれている二人に向けている。

「全てが自業自得だよ。まっ、頑張ってくれ」

 湯原は襲ってきた人物に興味が無いのか、さっさとギルドに入ってしまう。

 この場に残っているカーリは、鎖から逃れようともがいている女性の近くでしゃがむと、笑顔でこう告げる。

「貴方のおかげで私達は強くなったとも言えます。ですから、貴方にこれ以上今ここで何かをする事もありませんが、余りにもしつこいと……下層に送りますよ?」

 その笑顔を見てガタガタ震えてしまう襲撃者の女性である三原信子。

「わかっていただければ良いのです。契約者が誰だか……想像はつきますが、早く解放されると良いですね?」

 奴隷の紋章である左手首の黒い痣を見てこう言うと完全に興味が無くなったのか、護衛の七色の髪の女性レインと共にセーギの後を小走りで追っていく。

 本当に稀にこのような騒ぎがあるが、今日も平和で、明日も、さらにその先も平和に過ごせるだろう……
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