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(21)ジンタ町で(1)
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「ふぁ~、良く寝た」
気持ちの良い目覚めを迎える事が出来たロイは、モソモソと着替えて食堂に下りて行く。
「昨日の食事は美味しかったな。今朝も期待できそうだ!」
最高級食材がダイヤキングによって提供された事を知らないロイは、野営時にダイヤ部隊が調理してくれていた食事と同じくらい美味しかった事に大満足だ。
朝食も最高級食材をふんだんに使用する事が出来ている上に残りは自分達で使って良いと言われている料理人達の気合は凄まじく、ロイを唸らせる程の料理が出てきた。
「じゃあ、今日は少し町の様子を見ようかな」
自立して見分を広げる旅であるため、それぞれの町での観光は欠かせないと思っているロイ。観光が自立につながるかはさておき……
食事に大満足で機嫌が良いまま宿を出て、楽しそうに町に繰り出す。
「我が主、ダイヤキング殿から進言があります」
再びスペードキングからこのように言われて、脇道に逸れてダイヤキングを召喚するロイ。
「我が主、実はこの町……既に我が主のお力であればお気づきかと思いますが、少々問題を抱えております。癒し手が過剰に報酬を要求しているのです。えぇ、わかっております。我が主がそのような愚行を見逃すわけがないと存じております。しかしこの程度で我が主のお手を煩わすわけにはまいりませんので、是非ともこのダイヤキングにお任せください」
有無をも言わさず一気に話すダイヤキング。
ロイはトランプしか収納できない収納魔法しか能力を得ておらず、ダイヤキングが言う様な町の状況を把握できてはいないのだが、彼等が言う事に間違いはないと思い、対策を何の気なしに任せてしまう。
「わかった。他の部隊が必要ならば言って」
「おぉ、素晴らしい。ではお言葉に甘えまして、ハート部隊を数名とスペード部隊数名を補助にいただけますでしょうか?」
「わかった。他には俺は何をすれば良い?」
「我が主が直接動く必要はございません!全て我ら下々の部隊にお任せください。我が主はこの町の散策をごゆるりとお楽しみ下されば宜しいかと」
これは何を言っても手伝わせてくれないパターンだとわかったロイは、数名のハート、スペード部隊を召喚すると、ダイヤキング達と別れて町の散策に向かう。
誰もいない脇道に残されたダイヤキングを始めとした数人。
「ハートセカンド、ハートセブン、スペードサード、スペードナイン、わかっているだろうが、今回の作戦は我らが主の裏の顔の評判を上げる事。つまり万屋としての活動と知らしめる必要がある。そこを忘れないように!」
こうしてスペード部隊は陰魔法により存在を隠し、ハート部隊二人とダイヤキングは人相が分からない状態ながらも堂々と歩いて教会に向かう。
「昨日は我が主の宿を探す事に注力していたのでたいした調査をしなかったが、無駄に煌びやかで目が痛いぞ!」
どう見ても成金ですと言わんばかりの装飾がされている教会の外観。
そこから推測すると内装も必要以上に豪華なのだろうと確信しているダイヤキングだが、敢えて調査する必要性を感じないので無視をする。
周囲を見回すと、大切そうに少々薄汚れた小袋を抱きしめている人々が多数おり、どう見ての中身は必死で貯めたお金である事は誰が見てもわかる状況だ。
朝も早くから並んでいるようだが未だに教会の門は開いていないので、にやりと笑うダイヤキング。
「スペード部隊は内部に侵入して、不必要な財産を全て没収後に撤収。ハート部隊は私とここに残って作業を開始だ。では、我が主の為に作戦開始!」
威勢の良い言葉だが周囲に聞こえないように小声であり、スペード部隊は陰に潜っているので姿は見えない。
ダイヤキングはハート部隊を二人引き連れて列の先頭に向かうが、並んでいる人々は誰しもが早く癒してもらいたいと言う感情からか、普通に列に割り込むように見える三人、何処をどう見ても健康そうな雰囲気の三人を見て訝しんでいる。
わざと注目を浴びるようにゆっくりと歩いて、その思惑通りにほぼ全ての人々が自分を見ていると理解したダイヤキングはゆっくりと振り向く。
教会所属の者達に敢えて聞かせるような事でもないので、教会を背にした状態で落ち着いて話し出す。
「皆の者、耳を澄ませて良く聞くのだ。見た所この教会に癒しを求めて並んでいるように見えるが、善良な者達が救いを求めるべきは善良な者であるべきだ。そこで、我らが敬愛する主、商会長の命により、我ら万屋が皆の者を癒そうと思う。体調が悪くこの場に来られない者、お布施と称した暴利とも言える金銭を準備できずに諦めている者がいれば、後にこちらから向かおう」
怪しそうに三人を見ている群衆だが、言っている事は有り得ない程にありがたい内容ではあるので黙って聞いている。
「何も助けてくれない教会で祈るより、我ら万屋を称えてくれるとありがたい。そうそう、我ら万屋は何でも屋ではあるが何人の願いも叶えるわけではない。そこは間違いのないように頼むぞ?純真なる商会長が悪に手を貸す事など有り得ないからな」
ロイに対する敬愛の気持ちが溢れ出てしまい自分の演説にのめり込んでいるダイヤキングは、背後の教会が騒がしくなって漸く演説を終わりにする。
「では、希望する者はこちらに来るように」
門を開けようとしている教会の者を完全に無視し、列を自分の方に誘導していた。
気持ちの良い目覚めを迎える事が出来たロイは、モソモソと着替えて食堂に下りて行く。
「昨日の食事は美味しかったな。今朝も期待できそうだ!」
最高級食材がダイヤキングによって提供された事を知らないロイは、野営時にダイヤ部隊が調理してくれていた食事と同じくらい美味しかった事に大満足だ。
朝食も最高級食材をふんだんに使用する事が出来ている上に残りは自分達で使って良いと言われている料理人達の気合は凄まじく、ロイを唸らせる程の料理が出てきた。
「じゃあ、今日は少し町の様子を見ようかな」
自立して見分を広げる旅であるため、それぞれの町での観光は欠かせないと思っているロイ。観光が自立につながるかはさておき……
食事に大満足で機嫌が良いまま宿を出て、楽しそうに町に繰り出す。
「我が主、ダイヤキング殿から進言があります」
再びスペードキングからこのように言われて、脇道に逸れてダイヤキングを召喚するロイ。
「我が主、実はこの町……既に我が主のお力であればお気づきかと思いますが、少々問題を抱えております。癒し手が過剰に報酬を要求しているのです。えぇ、わかっております。我が主がそのような愚行を見逃すわけがないと存じております。しかしこの程度で我が主のお手を煩わすわけにはまいりませんので、是非ともこのダイヤキングにお任せください」
有無をも言わさず一気に話すダイヤキング。
ロイはトランプしか収納できない収納魔法しか能力を得ておらず、ダイヤキングが言う様な町の状況を把握できてはいないのだが、彼等が言う事に間違いはないと思い、対策を何の気なしに任せてしまう。
「わかった。他の部隊が必要ならば言って」
「おぉ、素晴らしい。ではお言葉に甘えまして、ハート部隊を数名とスペード部隊数名を補助にいただけますでしょうか?」
「わかった。他には俺は何をすれば良い?」
「我が主が直接動く必要はございません!全て我ら下々の部隊にお任せください。我が主はこの町の散策をごゆるりとお楽しみ下されば宜しいかと」
これは何を言っても手伝わせてくれないパターンだとわかったロイは、数名のハート、スペード部隊を召喚すると、ダイヤキング達と別れて町の散策に向かう。
誰もいない脇道に残されたダイヤキングを始めとした数人。
「ハートセカンド、ハートセブン、スペードサード、スペードナイン、わかっているだろうが、今回の作戦は我らが主の裏の顔の評判を上げる事。つまり万屋としての活動と知らしめる必要がある。そこを忘れないように!」
こうしてスペード部隊は陰魔法により存在を隠し、ハート部隊二人とダイヤキングは人相が分からない状態ながらも堂々と歩いて教会に向かう。
「昨日は我が主の宿を探す事に注力していたのでたいした調査をしなかったが、無駄に煌びやかで目が痛いぞ!」
どう見ても成金ですと言わんばかりの装飾がされている教会の外観。
そこから推測すると内装も必要以上に豪華なのだろうと確信しているダイヤキングだが、敢えて調査する必要性を感じないので無視をする。
周囲を見回すと、大切そうに少々薄汚れた小袋を抱きしめている人々が多数おり、どう見ての中身は必死で貯めたお金である事は誰が見てもわかる状況だ。
朝も早くから並んでいるようだが未だに教会の門は開いていないので、にやりと笑うダイヤキング。
「スペード部隊は内部に侵入して、不必要な財産を全て没収後に撤収。ハート部隊は私とここに残って作業を開始だ。では、我が主の為に作戦開始!」
威勢の良い言葉だが周囲に聞こえないように小声であり、スペード部隊は陰に潜っているので姿は見えない。
ダイヤキングはハート部隊を二人引き連れて列の先頭に向かうが、並んでいる人々は誰しもが早く癒してもらいたいと言う感情からか、普通に列に割り込むように見える三人、何処をどう見ても健康そうな雰囲気の三人を見て訝しんでいる。
わざと注目を浴びるようにゆっくりと歩いて、その思惑通りにほぼ全ての人々が自分を見ていると理解したダイヤキングはゆっくりと振り向く。
教会所属の者達に敢えて聞かせるような事でもないので、教会を背にした状態で落ち着いて話し出す。
「皆の者、耳を澄ませて良く聞くのだ。見た所この教会に癒しを求めて並んでいるように見えるが、善良な者達が救いを求めるべきは善良な者であるべきだ。そこで、我らが敬愛する主、商会長の命により、我ら万屋が皆の者を癒そうと思う。体調が悪くこの場に来られない者、お布施と称した暴利とも言える金銭を準備できずに諦めている者がいれば、後にこちらから向かおう」
怪しそうに三人を見ている群衆だが、言っている事は有り得ない程にありがたい内容ではあるので黙って聞いている。
「何も助けてくれない教会で祈るより、我ら万屋を称えてくれるとありがたい。そうそう、我ら万屋は何でも屋ではあるが何人の願いも叶えるわけではない。そこは間違いのないように頼むぞ?純真なる商会長が悪に手を貸す事など有り得ないからな」
ロイに対する敬愛の気持ちが溢れ出てしまい自分の演説にのめり込んでいるダイヤキングは、背後の教会が騒がしくなって漸く演説を終わりにする。
「では、希望する者はこちらに来るように」
門を開けようとしている教会の者を完全に無視し、列を自分の方に誘導していた。
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