暴走能力によって、いつの間にか大陸に名を轟かせる商会長!

焼納豆

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(29)アザヨ町(4)

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我が主ロイ!早朝より申し訳ありませんが、是非ともお越しいただきたい場所がございますので、同行頂けますでしょうか?」

 起き抜けにダイヤキングの顔があったので、若干引き気味のロイ。

「お、おはよう。それは構わないけど、食後じゃダメ?」

「大変申し訳ありません。そろそろ周囲の者達が活動を始める時間ですので、その前に我が主ロイに一度ご覧頂きたい場所がございますので!」

 いつも以上に熱が入っているダイヤキングの圧力に負け、一階にいたミレニアに朝食前に散歩してくると告げて宿を出る。

「ふぁ~、早朝も爽やかで良いよね。王都では、ここまで空気は綺麗じゃなかったし!」

 こんな事を言いながら、何故か綺麗に整備されている街道の上を敢えて意識せずに進むロイ。

我が主ロイ、大変申し訳ございませんが少々お時間が無いようですので、クラブの部隊を召喚して頂けますでしょうか?」

 いつもの高速移動で集落の小高い丘に建設された場所に到着すると、そこには集落の中に一つだけ場違いなほどに大きくシンロイ商会と書かれた看板を掲げた立派な建屋が目に入り、一瞬眩暈がしてしまうロイ。

「こ、これって?」

 どう見ても商会の店舗だが、どうしても聞かずにはいられなかったロイと、その問いを待っていましたとばかりに即座に反応するダイヤキング。

我が主ロイの商店としては非常に創りが甘いと言わざるを得ませんが、ここを拠点としてこの場所の発展に助力致します。我が主ロイの御意思に従い、過剰な助力は行わない方向ですので、基本的に今の時点では素材等の販売のみとなる可能性が高く、万屋の出番はないでしょう」

 一晩で立派な街道を作った時点で過剰な助力なのだが、この程度はカードの面々にとってみれば小手先程度のお遊びと言う感覚なので、過剰とは思っていない。

 本来はこの集落の建屋にまで着手したかったのだが、素材が不足していたので止む無く中止しただけだ。

 ロイは、何かを期待している目を向けているダイヤキングや他の召喚者の視線をヒシヒシと感じてしまい、彼等の善意を無にしないように行動する。

「あ、ありがとう。助かったよ。でも、ダイヤキングが言ってくれた通りに商会として・・・・・過剰な助力はダメだからね」

「「「「「もったいないお言葉!」」」」」

 移動の為に召喚しているクラブの部隊も含めて誰しもがロイからねぎらいの言葉を受けた事で感激している為に、今の自分の対応は合っていたと安堵するとともに、またしても普通じゃない行動をしでかしてしまった部隊に対して少々疲れている。

「じゃ、じゃあ、突然出来たこの建屋と街道の説明は誰がするのかな?」

「もちろんこの私、ダイヤキングが承ります。アザヨ町の面々が心配しているこの状況を説明した上で、この場所を発展させる一助となる事を宣言する予定でございます!」

「そ、そっか。それでお願いするよ」

 朝っぱらか規格外の結果を知らされて早くも投げやりになり始めているロイと、ロイの為に行動する事が出来て非常に高揚している部隊の面々の意識の差が凄いのだが、できてしまったものはどうしようもないし、間もなく周辺で活動している面々が起きる気配だと報告を受け、慌ててこの場から去って行くロイ。

「あ、ロイさん!お帰りなさい。この周辺は本当に何もないけれど、空気は綺麗だし景色も悪くないでしょう?」

 まったく事情を知らないミレニアなので、景色が大きく変わり、物資もこれから何故か無駄に潤沢になるだろうと確信しているロイの気持ちを知らずに、元気良く話しかけてくる。

「そ、そうですね。空気はとても美味しいですね。違った意味の空気は少々重たかったですけれど……」

 後半は非常に小さな声なので誰にも聞かれる事は無く、そのまま宿に入って疲れを癒すかのようにゆっくりと朝食を食べて少し寛いでいた頃……宿の外、町が騒がしくなり、その原因はどう考えても一つしかないので、ロイは慌てて部屋に引っ込む。

「ごちそうさまでした。少し部屋で休んでいますね」

 これから行方不明と思われている人が無事である事が告げられ、そこまでは良いのだが……一晩でできた街道やその先の立派な建屋、更にはシンロイ商会の話になるのは間違いないので、居た堪れなくなってこの場から消える。

 部屋に戻ってベッドに転がり、意図的に下から聞こえてくる騒動に耳を貸さないようにしているロイは、精神的な疲れから再び眠りについてしまった。

 その頃のダイヤキングは非常に満足そうな表情でアザヨ町に戻ってきており、小一時間程前に集落とも言える場所に聳え立つシンロイ商会の前で大演説をブチかましたばかりだ。

 当然内容はシンロイ商会の商会長を称える内容であり、そこに十分な時間を費やした後に今回は商会の力を使って街道を整備したが、商会本来の業務とは乖離しているので、その後は素材を含め開拓に必要な物品や生活必需品を販売する程度にする事を話した。

 最後に思い出したかのようにアザヨ町の現状、この場にいる面々が行方不明扱いになっている事を説明して共に戻ってきたのだ。

 立派な街道までできている為に町までの移動も楽になったので、集落とも言える場所も相当栄えるだろうと思っている上、行方不明者が全員無事に戻って来た事を喜んでいる町の住民だが、彼等の意識ではシンロイ商会を普通の商会と思っているからであり、無駄に張り切ったダイヤキング監修の元に業務を開始したシンロイ商会の力によって、想定以上の発展を遂げる事になる。

 一晩でできた街道と建屋についてもう少し思い至れば、今後必要以上に驚く事は無かったアザヨ町の住民だ。
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