67 / 75
(66)いろいろ痩せた王子ハンブル(1)
しおりを挟む
「た、ただいま」
「ただいまー!ロイ君と一緒に戻ってきましたよ~」
一月以上は経過しただろうか、色々と思う所がある上に逃げるように王都から旅立ったので少々バツが悪いロイと、長い間ロイと共に行動できて元気いっぱいのリーンが王都のハイス子爵家邸宅に戻って来た。
出迎えたのは両親であり、兄のルホークは執務に忙しく領地にいるので、王都の邸宅であるこの場には来られない。
「お帰り。二人共心配はしていなかったけれど元気そうでよかったよ。ロイにとっては予定外かもしれなくて申し訳ないけどね」
ある意味勝手にギルドを辞めて旅立ったのだが、そこには触れずに優しく出迎えてくれるハイス子爵としても、本来はロイまで王都に戻る必要は無いのだが、そうなると絶対にリーンも戻ってこないのは火を見るよりも明らかなので、半ば無理やり王都に戻した事に対する後ろめたさがあった。
「元気そうで嬉しいわ。ロイくん、リーンちゃん!」
母であるテレシアも久しぶりの我が子二人を見て嬉しそうにしているのだが、リーンとしては無駄な用事はさっさと済ませて再度ロイと二人で旅をしたいと言う気持ちが大きいので、戻って来て直なのだが王城に向かおうとする。
「お父さん、あのブタの対処に行くのでしょう?さっさと行って帰ってきたいな。私にはロイ君と旅を続けるって言うこれ以上ない程の重要な用事が待っているから、些事は早めに片付けたいの!」
「そうだね。せっかくの旅を邪魔してしまったから、さっさと片付けておこうか」
「本当に、迷惑な話ですよね?これも貴族としても務めの一部である以上は仕方がありませんけれど……」
両親と姉の会話を黙って聞いているロイなのだが、まるで王族に対して敬意が無く、自分との旅の方が比較にならないほど大事だと聞こえてくるので、やはり自分の常識がおかしいのではないかと言う気持ちに襲われている。
「では、行くか?リーン。フローラは待っていてくれ。ロイは……」
「ロイ君はどうする?お姉ちゃんと一緒に行く?」
「え?俺って、必要なのかな?」
突然話が進み、王城にこれから共に向かうと誘われて動揺するロイ。
普通であれば国王や王子と言った王族との謁見が“これから行きます!”と言って受け入れられるものではない事位は知っており、そこを完全に無視している二人に対して不安そうな視線を向ける。
「ロイ君、お姉ちゃんがいるから何があっても大丈夫だよ?何かあったら、あのブタを含めて全部粉々にしてやるから、安心して!」
「えっと、全然安心できないけど、父さんは俺が行った方がいいと思う?」
「う~ん。経験を積むと言う意味では同行するのも有りだとは思うから、一緒に行くかい?中々こんな経験は出来ないよ?」
ハイス子爵の中では、言葉の通りにロイに経験を積ませると言う意図も確かにあるのだが、謁見中にリーンが暴れるとロイの言葉しか聞こえずに止められなくなる可能性に思い至ったので、同行させる方向で話している。
当人がこの場にいるのでそこまでの説明はできないのだが、ロイとしては確かに見分を広げる旅に出ていた事もあって、中々経験できない事だと父であるハイス子爵の申し出を受ける。
「そうだよね。うん、わかった。俺も同行させてもらおうかな」
「やった!ロイ君と一緒だ!じゃあ、行こ?」
何をしに行くのかはどうでも良く、ロイとどこかに一緒に行けると言う事に喜んでいるリーンを見て、ハイス子爵はこれであれば暴れる事は無く、自分の考えは正しかったのだと確信して王城に向かう。
「子爵のハイスだが、陛下にリーンと共に来たと伝えてもらいたい」
王城の入り口では当たり前のように衛兵に止められるのだが、どうやらハイス子爵一行の訪問を心待ちにしていた王族側から指示が出ていたようで、伝令が走ると同時にハイス子爵一行は入場を許されていた。
「あれ?陛下に確認しない内に入って良いんだ」
思わずロイが呟いたのだが、リーンやハイス子爵は思う所があるのか、さも当然のような表情を崩す事は無い。
「こちらでございます」
「ありがとう。いつもの謁見の間ではないんだね?」
「はい。陛下にはハイス殿一行が来られた際にはこちらにお連れするように言われております」
騎士に案内されたハイス子爵は、謁見の間ではない場所に案内された事に不思議そうな顔をしているのだが、ロイやリーンはこの場所がどこなのか分からないので何も思う事は無い。
―――ガチャ―――
軽い音と共に扉を開けた騎士は三人の入室を促すと、中には少々疲れた表情の国王バレントが座って待っていた。
「おぉ、待ちかねていたぞ、ハイス子爵よ。それとリーン。もう一人は、ロイだったか?」
「そうです。で、リーンが戻った際には王城に至急来るようにとの命令通りに来ましたが、今日はどう言ったご用件でしょうか?」
「ただいまー!ロイ君と一緒に戻ってきましたよ~」
一月以上は経過しただろうか、色々と思う所がある上に逃げるように王都から旅立ったので少々バツが悪いロイと、長い間ロイと共に行動できて元気いっぱいのリーンが王都のハイス子爵家邸宅に戻って来た。
出迎えたのは両親であり、兄のルホークは執務に忙しく領地にいるので、王都の邸宅であるこの場には来られない。
「お帰り。二人共心配はしていなかったけれど元気そうでよかったよ。ロイにとっては予定外かもしれなくて申し訳ないけどね」
ある意味勝手にギルドを辞めて旅立ったのだが、そこには触れずに優しく出迎えてくれるハイス子爵としても、本来はロイまで王都に戻る必要は無いのだが、そうなると絶対にリーンも戻ってこないのは火を見るよりも明らかなので、半ば無理やり王都に戻した事に対する後ろめたさがあった。
「元気そうで嬉しいわ。ロイくん、リーンちゃん!」
母であるテレシアも久しぶりの我が子二人を見て嬉しそうにしているのだが、リーンとしては無駄な用事はさっさと済ませて再度ロイと二人で旅をしたいと言う気持ちが大きいので、戻って来て直なのだが王城に向かおうとする。
「お父さん、あのブタの対処に行くのでしょう?さっさと行って帰ってきたいな。私にはロイ君と旅を続けるって言うこれ以上ない程の重要な用事が待っているから、些事は早めに片付けたいの!」
「そうだね。せっかくの旅を邪魔してしまったから、さっさと片付けておこうか」
「本当に、迷惑な話ですよね?これも貴族としても務めの一部である以上は仕方がありませんけれど……」
両親と姉の会話を黙って聞いているロイなのだが、まるで王族に対して敬意が無く、自分との旅の方が比較にならないほど大事だと聞こえてくるので、やはり自分の常識がおかしいのではないかと言う気持ちに襲われている。
「では、行くか?リーン。フローラは待っていてくれ。ロイは……」
「ロイ君はどうする?お姉ちゃんと一緒に行く?」
「え?俺って、必要なのかな?」
突然話が進み、王城にこれから共に向かうと誘われて動揺するロイ。
普通であれば国王や王子と言った王族との謁見が“これから行きます!”と言って受け入れられるものではない事位は知っており、そこを完全に無視している二人に対して不安そうな視線を向ける。
「ロイ君、お姉ちゃんがいるから何があっても大丈夫だよ?何かあったら、あのブタを含めて全部粉々にしてやるから、安心して!」
「えっと、全然安心できないけど、父さんは俺が行った方がいいと思う?」
「う~ん。経験を積むと言う意味では同行するのも有りだとは思うから、一緒に行くかい?中々こんな経験は出来ないよ?」
ハイス子爵の中では、言葉の通りにロイに経験を積ませると言う意図も確かにあるのだが、謁見中にリーンが暴れるとロイの言葉しか聞こえずに止められなくなる可能性に思い至ったので、同行させる方向で話している。
当人がこの場にいるのでそこまでの説明はできないのだが、ロイとしては確かに見分を広げる旅に出ていた事もあって、中々経験できない事だと父であるハイス子爵の申し出を受ける。
「そうだよね。うん、わかった。俺も同行させてもらおうかな」
「やった!ロイ君と一緒だ!じゃあ、行こ?」
何をしに行くのかはどうでも良く、ロイとどこかに一緒に行けると言う事に喜んでいるリーンを見て、ハイス子爵はこれであれば暴れる事は無く、自分の考えは正しかったのだと確信して王城に向かう。
「子爵のハイスだが、陛下にリーンと共に来たと伝えてもらいたい」
王城の入り口では当たり前のように衛兵に止められるのだが、どうやらハイス子爵一行の訪問を心待ちにしていた王族側から指示が出ていたようで、伝令が走ると同時にハイス子爵一行は入場を許されていた。
「あれ?陛下に確認しない内に入って良いんだ」
思わずロイが呟いたのだが、リーンやハイス子爵は思う所があるのか、さも当然のような表情を崩す事は無い。
「こちらでございます」
「ありがとう。いつもの謁見の間ではないんだね?」
「はい。陛下にはハイス殿一行が来られた際にはこちらにお連れするように言われております」
騎士に案内されたハイス子爵は、謁見の間ではない場所に案内された事に不思議そうな顔をしているのだが、ロイやリーンはこの場所がどこなのか分からないので何も思う事は無い。
―――ガチャ―――
軽い音と共に扉を開けた騎士は三人の入室を促すと、中には少々疲れた表情の国王バレントが座って待っていた。
「おぉ、待ちかねていたぞ、ハイス子爵よ。それとリーン。もう一人は、ロイだったか?」
「そうです。で、リーンが戻った際には王城に至急来るようにとの命令通りに来ましたが、今日はどう言ったご用件でしょうか?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる