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第六章セリ6歳
セリ6歳〜増殖する畑〜
しおりを挟む「あいててててて」
拡張中の薬草畑を整備していると、お手伝いをしていてくれた庭師のマロン爺ちゃんが腰を押さえて地面に突っ伏していた。
「マロン爺ちゃん!どうしたの?」
駆け寄ると、マロン爺ちゃんは、脂汗を流して首をフルフル振っている。
どうやら、立ち上がる事も難しそうだ。
執事のグラリオサを呼び、なんとか部屋まで連れ帰ったけど、このままじゃダメよね。
一応、お医者さんを呼びにクローバーが走ってくれたけど、痛みだけでも軽くしてあげたい。
私は、自分の部屋に戻ると小さな小箱を持ってマロン爺ちゃんの所へ戻った。
ウンウン唸る姿は、痛々しい。
私は、爺ちゃんにじっとしているように伝えると、箱の中から艾(もぐさ)を取り出した。
よもぎを乾燥させて作った物で、東の国に伝わる『ツボ治療』に使われる物だ。
昔、セージさんに教えてもらった方法を思い出しながら、マロン爺ちゃんの足のくるぶしと前面にある太い筋の間に、小さく丸めた艾を乗せて火をつけた。
このツボは、中封(ちゅうほう)。
急性のギックリ腰の痛みを取るのに効く…はず。
即効性はないかもしれないけど、やらないよりマシよね?
こんな小娘にも、忠誠心あついマロン爺ちゃんは、文句一つ言わず言われるままに大人しくしてくれる。
後は、冷やして、固定して、動かさない。
やっちゃいけないのは、マッサージとか、入浴とか、飲酒とか。
兎に角血流を良くしすぎるのは考えものよ!
さーて、私に出来ることは全部終わったわ。
あとはお医者様に任せて、薬草畑に戻りましょう。
最近では、最初の規模に比べて十倍ほどになったの。
影ながら尽力してくれたのは、実は、ケイトウお兄様だった。
「お母様には、(お母様の前では)教えないって約束したから、(お母様のいない)今なら、大丈夫」
なんとなく、お兄様の言わんとしていることを察した私は、素直にお兄様のご指導を受けることにした。
ケイトウお兄様は、大量の図鑑と医学書を読み漁り、私が必要としている事には何にでも答えられるだけの知識量を持っていた。
なんと恐ろしい、11歳。
ただ、残念ながら薬草の名前や育て方は熟知しているのに、使用方法に関しては興味がないのか、全く頭に入っていなかった。
それぞれ得意分野が違うのね。
でも、私は、頼もしい助っ人を手に入れて、益々我が物顔で薬草畑を拡大していく。
お父様は、いつまで経っても土遊びの好きな女の子だねぇと笑うだけ。
お母様は、物言いたげだけど、私が淑女教育はキチンとこなすから、こめかみをピクピクさせながらも我慢してくれている。
だから、花を多めに植えることにしたの。
この前は、タンポポを植えて、お茶にしてあげたわ。
利尿効果もあって、むくみにも効くし、血行も良くなるのよ。
お母様にも利があるってことをわかっていただかないと!
ただ、少し問題なのは、屋敷の庭をどんどん畑が侵食してることなのよねー。
どう見ても、貴族の庭園ではない。
モモ、あんず、アケビ。
実のなる木は、薬効もある。
いつしか、ここは、薬用植物園になりそうね。
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