【完結】マシュマロな君を手に入れるまで

ジュレヌク

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「ママ、よんで」

コロコロまるまるな男の子が、母親に差し出したのは、


『マシュマロひめ』


という、この国では知らない人がいない絵本だった。


「ふふふ、カノンは、この本が、本当に好きなのね」

「うん」


モジモジと身をよじる男の子は、自分とそっくりなコロコロまるまるなマシュマロ姫が大好きだった。

そして、彼女を手に入れようと、毎日毎日毎日毎日繰り返し練習をして、とうとうドラゴンのように強い彼女の家族に勝ってしまう王子が大好きなのだ。




マシュマロひめは、コロンコロンとかいだんをころげていきました

シュタッ

じょうずに、ちゃくちできました





王子にご挨拶したのに、なんで階段を転げ落ちるのか?

そんな事、男の子は、気にしません。

オメメをキラキラさせながら、続きに耳を傾けます。





マシュマロひめは、こひつじのメリーちゃんから、ジンジャークッキーをとりだしました

カリカリカリカリカリカリ

とっても、おいしいです




子羊から、どうやってジンジャークッキーを取り出したのか?

そんな事、男の子は、気にしません。

だって、


メェ~


男の子も、隣にいる大きな羊の毛に手を突っ込んで、ジンジャークッキーを取り出せるから。 




おうじさまは、まいにち、まいにち、はしりました

グラウンドを、グルグルグルグルはしりました

あんまりたくさんはしるから

だれもついてこれませんでした




どれくらい走れば、誰もついてこれない距離になるのか?

そんな事、男の子は、知っています。

大体、百周くらいすると、後ろに人はいなくなります。

男の子も、毎日毎日走るので、とても良く知っています。




おうじさまは、けんも、まほうも、なんども、なんども、れんしゅうしました

できないことも、れんしゅうしました

すると、できるようになりました




どれくらい繰り返せば、出来ないことが、出来るようになるのか?

そんな事、男の子は、知っています。

出来るようになるまでやれば、出来るようになるのです。

男の子も、何千回も練習したので、5歳で魔法弾を撃てるようになりました。



おうじさまは、マシュマロひめの、おとうさんに、かちました

おうじさまは、マシュマロひめの、おにいさんに、かちました

おうじさまは、マシュマロひめとけっこんしました



王子様は、誰なのか?

マシュマロ姫は、誰なのか?

そんな事、男の子は、知っています。

だって、彼のパパとママだから。



おうじさまは、つよくなりました

だれもかてない、おうさまになりました

でも、マシュマロひめには、かてません

マシュマロひめは

コロコロコロコロ

おうさまになったおうじさまを

てのひらで、ころがしましたとさ



掌で転がすとは?

そんな事、男の子は、知っています。




「マシューさまー、この荷物、ちょっと重たくて」

「フラン!そんなの、運ばなくていい。私が、運ぼう!」



持てなくもない荷物を、ママは、重そうに持ち上げます。

そして、チラリとパパを見ます。

パパは、どんなにお仕事が忙しくても、ママの頼みは断りません。

多分、コレが、『掌で、コロコロ』なのです。

パタン

閉じた本を大事そうに抱え、男の子は、本棚に向かって走っていきました。

その後姿を、身を寄せ合ったパパとママが、幸せそうに眺めていることを、男の子は、知りませんでした。



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