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17 悪夢
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どこからか、声がする。
――おい朧、貴様が生きているだけで空気が汚れる。死ね。
――汚いから私と同じ世界に居ないでくれる?
あぁ、懲りない奴らだ。
普段なら"温厚な"俺はここで黙って本でも読むんだが、今日は妙なことにえらく腹が立っていた。
――五月蝿ぇよ、そんなに嫌ならそっちが失せろ。消し飛ばすぞ?
ん? 消し飛ばす?
俺にそんな力があったんだっけ。
――ボケてんのか? 俺様にんな減らず口を叩くほど馬鹿じゃあ無かっただろう? ……まあいい、力の差を見せつけてやるよ。
田島が膨れる。
その姿はみるみるうちに人のそれとはかけ離れていく。
手足のあった場所には触手が。
いつの間にか黄色い衣服を着ていた"田島だったはずの何か"は、手を床に翳した。
「ヨ愚ノ息子、ハィタ、ノ名ニ恥ジヌ我ヵ゛眷属ョ……今此ノ場ニ顕現セョ!!」
黒。
黒く……それ以外は何がどうなっているのか分からないモノが下からせり出してきた。
机やら椅子やらロッカーやら俺の非公開ラノベ秘蔵コレクションその1~5が入った箱やらが飲み込まれていく。
いやちょっと待てお前俺の秘蔵コレクション飲み込んでんじゃねぇよ殺すぞ。
今まで誰にも見せなかったから凄ぇ綺麗なんだぞ。
許せん。
持っている武器など精々ハサミ位だというのに、一瞬本気でその黒い何かに立ち向かいかける。
が、直後、理性を取り戻した。
……え?
そういえばなにこの急に出てきた化け物。
田島って何者?
「逃げるんだニャご主人!」
途端、崩れかける校舎の窓を割って入ってきたのは猫耳少女。
うはwwwご主人とか萌えるwww尊いwwwww拙者www拙者みなぎってきたでござるよwwwwwwフォヌカポゥwwwwww
とか言いたいレベルで可愛いしドストライクなのに、何故かイライラする。
取り敢えず逃げろっつってるしお言葉に甘えるか。
「ぎ、ぎニャー!」
逃げ始めた瞬間に悲鳴と共に飛んできたのは、下半身を失った猫耳少女。
「ご主人……モコは、モコは幸せでございました……。いつも役立たずの極みでご迷惑をお掛けしました……最後に、敵を少しでも足止め出来「五月蝿い黙れゴミ猫」
反射的に罵倒の言葉を浴びせる俺。
えぇ!?
俺、酷くね?
辛辣とかじゃなくてなんでこんなえげつないわけ? 外道の権化?
「っふ、君の秘蔵コレクションとやらはボクが回収しておいた。だが、とても興味深かったので少し借りることにするよ。無くなったものだと思って強く生きたまえ。」
そしてお前は誰だ。
どっから湧いた。
あとコレクション返せ。
「なに、どこにでも居る貧乳娘の兄さ。名乗るほどの者でもない。」
その白タキシードは名刺のような胸元からモノを取り出すと、軽くキスする。
嫌な予感しかしない――予感すらしない内に、足元の蠢く黒い何かが消えうせた。
「短い間だろうが、心地よい空の旅を楽しむが良い。――では、また会おう!」
ヘイト稼ぎの天才か?
あれだな、ハンティング系ソシャゲに居るヘイト管理役の数倍上手いが。
いやもう一言で言えば殺したい。
長ったらしく言えば奴の内臓を×××××して指を一本一本××した後に脳みそを少しずつ××××したい。
違う、そんなことよりこの状況をどうにかしないと。
猫耳は何が何でも救わねばならない。根拠はないが多分生きてるし。
時間を止めるにしても猫耳を救えるほどの時間は……
時間を止める?
何を考えてるんだ俺は。無理に決まってるだろう異世界でもあるまいし。
ん? 異世界?
「大丈夫ですか朧さん!」
心なしかさっきの白タキシードに似た少女が、俺と猫耳にパラシュートを括り付けた。
ナイス!
お前もどっから湧いたか知らんがいい仕事だ貧乳娘よ。
「だ、誰が貧乳娘じゃボケェー!」
げ、まずいこの娘キレてる。
何それミサイル? ミサイルなの?
「発射ぁーー!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
***
「くぁwせdrftgyふじこlp」
奇声を発しながら跳ね起きると、そこは草原だった。
近くで眠っていたのは猫耳……モコだ。
――夢か。
なんて悪夢だ。有り得ない。というか俺の頭大丈夫か。
無性にイライラするので、八つ当たりとは知りつつもモコを蹴り起こす。
「ほら、起きろゴミ猫。朝から猫鍋になりたいなら永遠に寝てろ。」
「ひ、ひぇっ猫鍋だけは勘弁を!」
猫鍋って単語に対する反応速度速すぎだろ。
トラウマになってそうだな。知ったこっちゃないが。
さて、と。
本格的に黄衣の王の攻略法でも考えないとな。
作 三黒
主に小説家になろうにて連載中。
自分の作品よりこっちの方が筆が進むのはなんででしょうかね。
――おい朧、貴様が生きているだけで空気が汚れる。死ね。
――汚いから私と同じ世界に居ないでくれる?
あぁ、懲りない奴らだ。
普段なら"温厚な"俺はここで黙って本でも読むんだが、今日は妙なことにえらく腹が立っていた。
――五月蝿ぇよ、そんなに嫌ならそっちが失せろ。消し飛ばすぞ?
ん? 消し飛ばす?
俺にそんな力があったんだっけ。
――ボケてんのか? 俺様にんな減らず口を叩くほど馬鹿じゃあ無かっただろう? ……まあいい、力の差を見せつけてやるよ。
田島が膨れる。
その姿はみるみるうちに人のそれとはかけ離れていく。
手足のあった場所には触手が。
いつの間にか黄色い衣服を着ていた"田島だったはずの何か"は、手を床に翳した。
「ヨ愚ノ息子、ハィタ、ノ名ニ恥ジヌ我ヵ゛眷属ョ……今此ノ場ニ顕現セョ!!」
黒。
黒く……それ以外は何がどうなっているのか分からないモノが下からせり出してきた。
机やら椅子やらロッカーやら俺の非公開ラノベ秘蔵コレクションその1~5が入った箱やらが飲み込まれていく。
いやちょっと待てお前俺の秘蔵コレクション飲み込んでんじゃねぇよ殺すぞ。
今まで誰にも見せなかったから凄ぇ綺麗なんだぞ。
許せん。
持っている武器など精々ハサミ位だというのに、一瞬本気でその黒い何かに立ち向かいかける。
が、直後、理性を取り戻した。
……え?
そういえばなにこの急に出てきた化け物。
田島って何者?
「逃げるんだニャご主人!」
途端、崩れかける校舎の窓を割って入ってきたのは猫耳少女。
うはwwwご主人とか萌えるwww尊いwwwww拙者www拙者みなぎってきたでござるよwwwwwwフォヌカポゥwwwwww
とか言いたいレベルで可愛いしドストライクなのに、何故かイライラする。
取り敢えず逃げろっつってるしお言葉に甘えるか。
「ぎ、ぎニャー!」
逃げ始めた瞬間に悲鳴と共に飛んできたのは、下半身を失った猫耳少女。
「ご主人……モコは、モコは幸せでございました……。いつも役立たずの極みでご迷惑をお掛けしました……最後に、敵を少しでも足止め出来「五月蝿い黙れゴミ猫」
反射的に罵倒の言葉を浴びせる俺。
えぇ!?
俺、酷くね?
辛辣とかじゃなくてなんでこんなえげつないわけ? 外道の権化?
「っふ、君の秘蔵コレクションとやらはボクが回収しておいた。だが、とても興味深かったので少し借りることにするよ。無くなったものだと思って強く生きたまえ。」
そしてお前は誰だ。
どっから湧いた。
あとコレクション返せ。
「なに、どこにでも居る貧乳娘の兄さ。名乗るほどの者でもない。」
その白タキシードは名刺のような胸元からモノを取り出すと、軽くキスする。
嫌な予感しかしない――予感すらしない内に、足元の蠢く黒い何かが消えうせた。
「短い間だろうが、心地よい空の旅を楽しむが良い。――では、また会おう!」
ヘイト稼ぎの天才か?
あれだな、ハンティング系ソシャゲに居るヘイト管理役の数倍上手いが。
いやもう一言で言えば殺したい。
長ったらしく言えば奴の内臓を×××××して指を一本一本××した後に脳みそを少しずつ××××したい。
違う、そんなことよりこの状況をどうにかしないと。
猫耳は何が何でも救わねばならない。根拠はないが多分生きてるし。
時間を止めるにしても猫耳を救えるほどの時間は……
時間を止める?
何を考えてるんだ俺は。無理に決まってるだろう異世界でもあるまいし。
ん? 異世界?
「大丈夫ですか朧さん!」
心なしかさっきの白タキシードに似た少女が、俺と猫耳にパラシュートを括り付けた。
ナイス!
お前もどっから湧いたか知らんがいい仕事だ貧乳娘よ。
「だ、誰が貧乳娘じゃボケェー!」
げ、まずいこの娘キレてる。
何それミサイル? ミサイルなの?
「発射ぁーー!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
***
「くぁwせdrftgyふじこlp」
奇声を発しながら跳ね起きると、そこは草原だった。
近くで眠っていたのは猫耳……モコだ。
――夢か。
なんて悪夢だ。有り得ない。というか俺の頭大丈夫か。
無性にイライラするので、八つ当たりとは知りつつもモコを蹴り起こす。
「ほら、起きろゴミ猫。朝から猫鍋になりたいなら永遠に寝てろ。」
「ひ、ひぇっ猫鍋だけは勘弁を!」
猫鍋って単語に対する反応速度速すぎだろ。
トラウマになってそうだな。知ったこっちゃないが。
さて、と。
本格的に黄衣の王の攻略法でも考えないとな。
作 三黒
主に小説家になろうにて連載中。
自分の作品よりこっちの方が筆が進むのはなんででしょうかね。
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