眩しい君の隣へ。

初恋

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第15話 ねぇ,どうする?

連れていかれたのは,警察署と呼ばれる場所だった。
どうやら,普段から気にしていたらしい近隣のおばさんが,ただならぬ物音に通報したらしかった。
ここのすぐ近くにある明の家なんて,簡単に到着する。
色々聞かれて,答えたり答えなかったりして。
今日のことは
『痴話喧嘩』
と言うことにした。
それで明がどうなるのかなんて分からないけど,取り敢えず怖がったふりで身体は見せなかった。
上手く別れてあげられなくて,ごめん。
そんな風に,思いながら。
後で見せろと言われても,全部今日の傷と言うことにする。
こうゆうの,学校にも報告しなきゃなんだよな。
私は面倒に思う。
そんな風にしていると

「保護者は?」

と聞かれた。
背筋がピキンと凍る。
息が詰まって,私は固く口を閉じた。
普通に考えたら当たり前なのに,浮かばなかった。
連絡されたくないから。

「母が,1人」
「電話番号は」
「分かりません」
「住所は」
「分かりません」

警察に嘘を付く。
それはとても勇気のいることだったけど,質問に答えなかったことと同じように,私はハッキリと答えた。

「他に誰か」

警官が渋い顔をして。
今しかないと思った私は,咄嗟に

「それなら,友人が1人。彼なら来てくれます」

他に呼べる番号も持っていなかったから,勝手に名前を出した。
そして,本当に来るのが若槻と言う男子。
警官を威嚇しながら,ありがたく回収された。

「なに,してんの!!」

まず最初に,私は怒られる。

「ごめんって,仕方なかったんだよ」

無表情で答えると,若槻は絶句する。

「仕方ないわけ…だからって……」

何か言おうとして,上手く行かなかったのか。
若槻はロボットみたいに停止する。

「若槻?」

私はうつむいた若槻を覗き込んだ。

「! …また,泣いてるし」
「何でこんな時間に,1人で…せめて一目のあるところで…」

概要を聞かされたんだなって,その言葉を聞いて分かった。
痴話喧嘩。
それだけ聞けば,何となく流れも分かっただろう。

「明を,悪者にしたくなくて」

私がそうさせたみたいなもの。
今まで反抗もせず,なすがまま。
私を傷つけながら,明は最初よりもっと酷く壊れたと思う。

「心配,するだろ普通。何で傷増やしてくるの」

ぎゅうっと抱き締められて,痛いのに嬉しい。
私も泣きたくなった。

「若槻,ねぇ,どうする?」
「何,が」

鼻声が可愛い。
守ってあげたかったとか,格好いいこと思ってるのかな。

「私,今フリーだよ」
「…」

ごしごしと,若槻が目元を拭う。
正面から私を見据えた若槻は

「誰よりも大事にする。次何があっても,ちゃんと守る。だから…」

俺だけの彼女になって。
若槻はそう言った。
私は満面の笑みで笑う。

「千鶴の彼女,なる!!」
「ぇ…」
「名前,呼ばれたいんだよね,私に」
「うん」

やっぱり照れた顔が1番好きかもしれない。
私にだけ,特別?
私,いつか千鶴が胸を張れるような彼女になるからね。
それまで,待ってて。

         ー眩しい君の隣へー Fin
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