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サンクチュアリ
やぶへび
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蒼音は先行する恐怖を押し殺し、先陣きって腰まで伸びる藪の中に足を踏み入れ、斜面を登っていった。
琴音はため息をついてその後に続いた。
「はぁ~・・・・
本当は嫌だけど、二人が行くならあたしも行くしかないのね」
いろいろと反論したいところではあったが、二対一なら仕方がない。
もともと運動能力のある琴音だが、探検隊の真似事をする羽目になろうとは、思ってもみなかった。
そして涼介がその後に続いた。
勿論、茜音も蒼音のそばに漂いながらついていったが、先ほどの失態を反省し何も言わず黙っていた。
斜面は子供でも十分這い上がることが出来たが、両手を使って一歩ずつ足を運び、へばりつくように這わねならず、衣服が少し泥で汚れた。
ただし油断は禁物だ。
無闇に止まったり、振り返ったりするなどもってのほか。
下を見ればその高さに慄き、足がすくみかねないからだ。
「桜井さん大丈夫?」
後ろから続く琴音のことが気になり、蒼音は足をとめ、考えなしに大きく上半身をひねり振り返ってしまった。
「いいよ別に、これくらい平気」
すまなさそうに振り返る蒼音を見上げて、琴音は気を使って返事をしてくれた。
「園田君止まるなよ!止まるとしんどいから」
琴音の後ろに続く涼介は、下方から横に顔を出し、蒼音にむけて声をあげた。
「あ、うんごめん急ぐよ・・・」
とその時・・・・
「っと・・・・ととと・・・・
うわぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
ズササササササッ・・・・・・・・!!!!!
「きゃー・・・・!」
「うわあ・・・・・・・!」
振り返ったままの蒼音の上半身のバランスがぐらりと崩れ、斜面に沿って滑落してしまったのだ!
しかも、あろうことか・・・後ろに続く二人を巻き添えにしながら。
ザザザ___________________
どうにもこうにも滑落は止まらなかった。
視界がめまぐるしく飛び去り、何がどうなっているのかわからなかった。
木の根や石や、あちらこちらに身体をぶつけ、登山道をも斜めにそれて、より傾斜のつよい崖下に落ちていってしまった。
「っった・・・・・・いたたたた」
ツルや木の根にひっかかり滑落がようやく止まった。
転げ落ちた場所で恐る恐る身体を起こした蒼音は、身体中にびりびりと走る痛みをこらえて辺りを見回した。
蒼音のすぐ背中についていた茜音も一緒になって転げ落ちてきたが、幽霊なのが幸いして無傷で済んだ。
「たたた・・・・っく・・・いた」
すぐ脇の木の根に涼介が横たわり、うめき声を上げていた。
彼も腕やすねに擦り傷を負っているようだが、幸い重傷ではないらしい。
どうにか上半身を起こし、辺りの様子をうかがった。
初めにいた斜面から、随分と滑り落ちてしまったらしい。
どうやら、彼らは右も左もわからない山深い谷間に転げ落ちたようだ。
突然の事故により、己の置かれた状況が飲み込めない二人は、ほんのしばしの間惚けていた。
だがすぐに異変に気がついた。
「あれ桜井さんは・・・・!?」
「おいっ琴音は・・・・・!?」
二人は青ざめて顔を見合わせた。
琴音はため息をついてその後に続いた。
「はぁ~・・・・
本当は嫌だけど、二人が行くならあたしも行くしかないのね」
いろいろと反論したいところではあったが、二対一なら仕方がない。
もともと運動能力のある琴音だが、探検隊の真似事をする羽目になろうとは、思ってもみなかった。
そして涼介がその後に続いた。
勿論、茜音も蒼音のそばに漂いながらついていったが、先ほどの失態を反省し何も言わず黙っていた。
斜面は子供でも十分這い上がることが出来たが、両手を使って一歩ずつ足を運び、へばりつくように這わねならず、衣服が少し泥で汚れた。
ただし油断は禁物だ。
無闇に止まったり、振り返ったりするなどもってのほか。
下を見ればその高さに慄き、足がすくみかねないからだ。
「桜井さん大丈夫?」
後ろから続く琴音のことが気になり、蒼音は足をとめ、考えなしに大きく上半身をひねり振り返ってしまった。
「いいよ別に、これくらい平気」
すまなさそうに振り返る蒼音を見上げて、琴音は気を使って返事をしてくれた。
「園田君止まるなよ!止まるとしんどいから」
琴音の後ろに続く涼介は、下方から横に顔を出し、蒼音にむけて声をあげた。
「あ、うんごめん急ぐよ・・・」
とその時・・・・
「っと・・・・ととと・・・・
うわぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
ズササササササッ・・・・・・・・!!!!!
「きゃー・・・・!」
「うわあ・・・・・・・!」
振り返ったままの蒼音の上半身のバランスがぐらりと崩れ、斜面に沿って滑落してしまったのだ!
しかも、あろうことか・・・後ろに続く二人を巻き添えにしながら。
ザザザ___________________
どうにもこうにも滑落は止まらなかった。
視界がめまぐるしく飛び去り、何がどうなっているのかわからなかった。
木の根や石や、あちらこちらに身体をぶつけ、登山道をも斜めにそれて、より傾斜のつよい崖下に落ちていってしまった。
「っった・・・・・・いたたたた」
ツルや木の根にひっかかり滑落がようやく止まった。
転げ落ちた場所で恐る恐る身体を起こした蒼音は、身体中にびりびりと走る痛みをこらえて辺りを見回した。
蒼音のすぐ背中についていた茜音も一緒になって転げ落ちてきたが、幽霊なのが幸いして無傷で済んだ。
「たたた・・・・っく・・・いた」
すぐ脇の木の根に涼介が横たわり、うめき声を上げていた。
彼も腕やすねに擦り傷を負っているようだが、幸い重傷ではないらしい。
どうにか上半身を起こし、辺りの様子をうかがった。
初めにいた斜面から、随分と滑り落ちてしまったらしい。
どうやら、彼らは右も左もわからない山深い谷間に転げ落ちたようだ。
突然の事故により、己の置かれた状況が飲み込めない二人は、ほんのしばしの間惚けていた。
だがすぐに異変に気がついた。
「あれ桜井さんは・・・・!?」
「おいっ琴音は・・・・・!?」
二人は青ざめて顔を見合わせた。
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