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第四章 夏合宿で開いた門
3.
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オールグリーン。良かった、何も無かった。
チサが調査したかったという心霊写真の撮影場所、計六ヶ所。なんとか日のある内に回りきり、チサには不本意だったかもしれないけれど、ナニかに出会うこともなく無事に南風荘に帰ってくることが出来た。
シャワーを浴び、夕飯作りに参加した頃には民宿の『趣のある』雰囲気にも慣れてきて、普通に夏合宿を楽しめるようになった。
十数名でギュウギュウになってしまう大広間、自分達で作ったカレーをチサと二人、並んで食べる。
「何にも無くて、残念だったね、チサ」
「…」
「…え?何で頷いてくれないのかな?恐いんだけど」
無言のまま、それでも肯定の時には首を縦に振ってくれるチサが、微動だにしない。『何も無かった』わけではない、ということ―?
「…まだ、何とも言えないから、もう少し調べてから、言う」
「う、わかった」
出来れば、何もないままおうちに帰りたい。この話題にこれ以上触れるのはやめておこう。
「そう言えば、チサ、幸助に何か言った?」
「?」
「なんか、チサに勉強見てもらった日からスゴい勉強し出したんだよね」
普段は部活にしかエネルギーを消費しない、あの幸助が。
「何も言っていない」
「そうなの?じゃあ、勉強見てもらって何かに目覚めたのかな?どちらにしろ、チサのおかげだね」
「…」
「うちの親が、チサを崇め出したから、合宿終わったら、一度ご飯食べに来てよ」
「…」
今度は小さくコクンと頷いたチサの向こうから、こちらに近づいてくる二人が視界に入った。
「お疲れ様。隣、いいかな?」
「どうぞ、どうぞ」
チサとは反対側の隣の席を勧めて、花守さんに座ってもらう。その向かいの席に座っていた先輩三人組に譲られる形で、目に痛い柄が私の正面を陣取った。
先程まで着ていた物とは違う、これまたド派手な柄に、もっといい感じのデザインもあるだろうにとは思うけど。まあ、人の趣味にアレコレ言っちゃいけない。
「何の話してたの?」
「調査、何にも見つからなくて残念だったねっていうのと、うちの弟が、チサに男を見せる為に一念発起して勉強頑張っているって話を」
「橋架、弟居んのか」
部長の問いかけに頷いた。
「弟さんって、駅で会った?」
「そう」
「なんだ、秀、会ったことあんのか?」
「会ったというか、挨拶だけだね」
―その節は、うちの幸助が大変な失礼を
心の中でもう一度謝っておく。
「『男を見せる』ってことは、彼はチサさんのことが好きなの?」
「うん。ね?チサ」
「…わからない。だけど、幸助は、明莉が自分のことを勝手にしゃべるのは嫌がると思う」
「!?」
しまった―
調子こいてやってしまった。姉のお節介が、ただの余計なお世話に。
幸助の、本気の怒り顔が浮かんだ―
「…聞かなかったことにしておく」
「っ!ありがとうー!チサー!」
呆れたようなため息混じりではあったけれど、チサの救いの言葉に思わずしがみつく。良かった。幸助に嫌われるのは凹む。私は若干ブラコン気味だから。親友と弟がくっつくといいなーと、余計なお世話をやくほどには。
「…何?こいつ、飲んでんの?酔ってんの?」
「お茶しか飲んでないみたいだけど」
何か言われたけど、今はツッコミも反撃もしない。どさくさ紛れに、普段は嫌がられるチサとのハグを思いっきり堪能しておいた。
オールグリーン。良かった、何も無かった。
チサが調査したかったという心霊写真の撮影場所、計六ヶ所。なんとか日のある内に回りきり、チサには不本意だったかもしれないけれど、ナニかに出会うこともなく無事に南風荘に帰ってくることが出来た。
シャワーを浴び、夕飯作りに参加した頃には民宿の『趣のある』雰囲気にも慣れてきて、普通に夏合宿を楽しめるようになった。
十数名でギュウギュウになってしまう大広間、自分達で作ったカレーをチサと二人、並んで食べる。
「何にも無くて、残念だったね、チサ」
「…」
「…え?何で頷いてくれないのかな?恐いんだけど」
無言のまま、それでも肯定の時には首を縦に振ってくれるチサが、微動だにしない。『何も無かった』わけではない、ということ―?
「…まだ、何とも言えないから、もう少し調べてから、言う」
「う、わかった」
出来れば、何もないままおうちに帰りたい。この話題にこれ以上触れるのはやめておこう。
「そう言えば、チサ、幸助に何か言った?」
「?」
「なんか、チサに勉強見てもらった日からスゴい勉強し出したんだよね」
普段は部活にしかエネルギーを消費しない、あの幸助が。
「何も言っていない」
「そうなの?じゃあ、勉強見てもらって何かに目覚めたのかな?どちらにしろ、チサのおかげだね」
「…」
「うちの親が、チサを崇め出したから、合宿終わったら、一度ご飯食べに来てよ」
「…」
今度は小さくコクンと頷いたチサの向こうから、こちらに近づいてくる二人が視界に入った。
「お疲れ様。隣、いいかな?」
「どうぞ、どうぞ」
チサとは反対側の隣の席を勧めて、花守さんに座ってもらう。その向かいの席に座っていた先輩三人組に譲られる形で、目に痛い柄が私の正面を陣取った。
先程まで着ていた物とは違う、これまたド派手な柄に、もっといい感じのデザインもあるだろうにとは思うけど。まあ、人の趣味にアレコレ言っちゃいけない。
「何の話してたの?」
「調査、何にも見つからなくて残念だったねっていうのと、うちの弟が、チサに男を見せる為に一念発起して勉強頑張っているって話を」
「橋架、弟居んのか」
部長の問いかけに頷いた。
「弟さんって、駅で会った?」
「そう」
「なんだ、秀、会ったことあんのか?」
「会ったというか、挨拶だけだね」
―その節は、うちの幸助が大変な失礼を
心の中でもう一度謝っておく。
「『男を見せる』ってことは、彼はチサさんのことが好きなの?」
「うん。ね?チサ」
「…わからない。だけど、幸助は、明莉が自分のことを勝手にしゃべるのは嫌がると思う」
「!?」
しまった―
調子こいてやってしまった。姉のお節介が、ただの余計なお世話に。
幸助の、本気の怒り顔が浮かんだ―
「…聞かなかったことにしておく」
「っ!ありがとうー!チサー!」
呆れたようなため息混じりではあったけれど、チサの救いの言葉に思わずしがみつく。良かった。幸助に嫌われるのは凹む。私は若干ブラコン気味だから。親友と弟がくっつくといいなーと、余計なお世話をやくほどには。
「…何?こいつ、飲んでんの?酔ってんの?」
「お茶しか飲んでないみたいだけど」
何か言われたけど、今はツッコミも反撃もしない。どさくさ紛れに、普段は嫌がられるチサとのハグを思いっきり堪能しておいた。
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