S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ

文字の大きさ
31 / 162
第1部 第3章 心優しき魔法使い -海水淡水化装置-

第31話 番外編④ 無知なる者の空回り

「くっそぉ! どうなってんだ、全然売れねえじゃねえかよ!」

 ジェイクは苛立ちをそのまま口にした。

 工房に住み込み始めて一週間、ジェイクにしては真面目に働いた。

 出来が良くはないとはいえ、まともに使える剣を数十本も仕上げたのだ。作業工程を飛ばせる【クラフト】は、普通より何倍も早く作ることができる。そこだけはシオンが使っていたときと同じだった。

 だが買い手がつかない。

 地方の町や村では、鍛冶屋が工房と店舗を構えていることが多いが、このリングルベンほどの大都市になれば、製造と販売は別の店が担うことが多い。

 すなわち、鍛冶屋が工房で生産した武具を武器屋に卸して、武器屋が客に販売する流れだ。

 ジェイクが作った剣は、どこの武器屋にも買い取ってもらえなかった。

 シオンから受け継いだ【クラフト】で作ったと言えば、みんな目の色を変えて商品を見に来てくれたが、実物を見るなり鼻で笑って帰っていくばかりだった。

「しょうがないじゃない。出来が悪いってことなんでしょ」

「それでもよぉ、使えねえわけじゃねえんだ。初心者向けにゃあ、むしろ手頃のはずだぜ」

 そもそも客層が違うのだと、ジェイクは気がついていない。

 ジェイクが工房を構えたのは、優秀な鍛冶屋がひしめく区画である。それらと取引する武器屋は高級志向であり、粗悪品を安く売るような店はもっと別の区画にある。取引先の選定が間違っているのだ。

 だが、シオンの【クラフト】頼りで活動してきたジェイクたちには、武器屋に客層の違いがあることなどわからない。

「職人ギルドに登録し忘れてるってことはないよな?」

「当たり前だ。ここを買ったときに一緒にやってある」

 エルウッドの問いにすぐ答えて、ハッと気づく。

「そうか、わかったぞ。職人ギルドは閉鎖的らしいからな。新参者の俺らに嫌がらせしてやがるんだ!」

「そんなことして、なんか得があんのか?」

「やつらビビってんだよ。俺の【クラフト】が成長したら、自分たちの武具が売れなくなると思って、今から潰しにかかってきてやがるんだ」

「それは考え過ぎじゃない?」

 ラウラはそう言うが、ジェイクはもうそれ以外に考えられなくなっていた。

「このままじゃやつらに潰されちまう。なんとか手を打たねえと……」

 エルウッドは「ふう」とため息をついて、立ち上がった。

「それよりまず冒険者ギルドだ。今のうちに、なんか依頼を受けとかないと最初の支払いに間に合いそうにないだろ」

 工房を買うためにした借金は、毎月一回の百二十回払いとなっている。ジェイクは、稼いだら回数を無視して一括で返済しようと考えていたが、その最初の一回すら危うい。

「くそっ、今はそうするしかねえか……」

 ジェイクは一旦工房を閉め、冒険者の仕事をすることにした。

 ――そしてA級やB級の依頼を複数こなし、数カ月分の返済金と、当面の生活費を稼いできたのだが……。

「ジェイク! あなた、本当になにを考えてるの!?」

「見りゃわかるだろ、改築だよ改築!」

 ジェイクはラウラやエルウッドに相談することもなく、稼いだ資金のほとんどと、さらなる借金を投入して、工房の改築を始めてしまったのだ。

「職人ギルドが邪魔して売れねえならよ、俺たちが直接売るしかねえだろ! そのためには販売所が必要なんだよ。こいつは必要な投資ってやつだぜ」

 自信満々に語るジェイクに、ラウラもエルウッドもなにも言えなくなった。
感想 35

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。