異世界で悪霊となった俺、チート能力欲しさに神様のミッションを開始する

眠眠

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第2章 恋のキューピッド大作戦 〜 Shape of Our Heart 〜

クリスを探して

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 クリスくんが失踪して5日が経過した。彼はまだ発見されていない。俺も友達発見器を使ってクリスくんを捜索したが、結局彼を見つけることはできなかった。

 友達発見器は、俺と友達になった人物が今どこにいるか知ることのできる能力だ。どこ、というのは絶対的な位置ではなく、俺を基準とした相対的な位置を指す。しかも、人物の方向しか分からないので、どこまで遠くにいるかは分からない。俺は発動している間に人物がどれだけ移動したかで、おおよその距離を見積もっている。近いと大きく動き、遠いとほとんど動かないのだ。

 クリスくんが失踪したと分かった後、俺はすぐに彼の居場所を探った。反応があり、僅かに移動していたため、死んでいるということは無さそうだ。ただ、移動量が少ないことから、ちょっとばかし遠いところに居るようだ。

 取り敢えず、できるだけ彼に近付こうと俺は移動を続けた。エイビス研究所を出発し、王城を横切り、内部の城壁をくぐり抜け、気がつくと農地に来ていた。そして、奇妙なことに、彼の反応は地面の下から感じる。

(ここが、真上か……)

 辺りを見回すが、何の変哲もない農地であった。帝都、南西部の一角に拵えられた畑の中である。友達発見器によると、彼はこの真下に居るのだが……。

 すり抜けを試みたが、地面に跳ね返された。当然だ。分厚い大地である。だが、反応は確かに下にある。おそらく、この真下に大きな空間があり、そこに彼は居るようだ。

(……まさか、星の裏側にいる、なんてことは無いよな……)

 あり得ない話ではないが、ないと信じたい。失踪して、友達発見器を使用するまで1日と経っていないのだ。それほど遠くにいけるとも思えない。

 友達発見器で彼の居場所を追い続けていると、彼がそれなりの距離を動いていることが分かった。星の真裏に居るのであれば、ほぼ動かないはずなので、ひとまず俺は安堵する。

(つまり、クリスくんは帝都の地下に居るってことだけど……)

 辺りを見回しても農地ばかり。さて、どうやって地下へと進もうか。


 帝都の中心へと戻りつつ、地下へと近づけそうな道を俺は探した。

(ここは、どうだ?)

 帝都の道路にマンホールを見つけた。すり抜けで通過して下へと進むと、汚い水が流れていた。下水道か、雨水を通す排水路だろう。人が通れそうな道もある。ここからなら、クリスくんの元へと近づけるかもしれない。

 俺は友達発見器を頼りに、汚い水の流れる道を進んでいった。


(この道も行き止まりか……)

 俺はため息をついて来た道を戻り始める。また、捜索はやり直しだ。帝都の地下水路は入り組んだ迷路のようになっていた。そのため、クリスくんの方へ近付こうとしても、行き止まりだったり、大きく迂回して別の方向へと進んでしまい、彼の元へは到達できなかった。

(うーん、地図が要るな。けど、地下水路に地図なんてあるのかな……)

 そんなことを考えつつ、俺はレイジーちゃんの元へと向かうことにした。


「悪霊さん。クリス、見つかった?」
(いや、駄目だった。帝都には居るみたいなんだけど、簡単には彼の元へと行けそうにない)

 俺は今日の捜索結果を彼女に話す。レイジーちゃんは俺の話を真剣に聞いてくれた。

 クリスくんが失踪し、重要参考人として指名手配されたと聞いた彼女は、予想に反して、あまり心配そうな様子を見せなかった。理由を尋ねると、「クリスはまだ、死んでない。それに、またすぐ会える気がする」と答え、彼女は笑った。クリスくんのことを信じている、といった様子であった。

 レイジーちゃんのお世話は現在、カール准教授のメンバーが行っている。毎回別の人間だった。食事や必要品だけ置いて、すぐに逃げるように去って行く。未だ、レイジーちゃんのことを恐れているらしい。

 コバヤシ先輩は、タカヤナギ教授が亡くなったことによる後処理に追われていた。研究所には通っているようで、レイジーちゃんのところにも何度か来ていた。帝都の警察組織にも何度か聴取を受けたらしい。

 ちなみに、帝都の警察組織は軍とは別物だ。警察は主に人同士のいざこざを扱い、軍はモンスターとのいざこざを扱っている。

「駄目そう?」

 一通り俺の話を聞いた彼女が訊いてくる。

(そうだなー。地図でもあればいいんだけど、地下水路の地図なんてどこにあるのやら……)

 地下水路を管理している者なら持っているかもしれないが、誰が管理しているのだろう。管理会社か、そうでなければ行政かな。

「アンナは?」
(アンナ?)

 レイジーちゃんが思いついたように口を開く。

「アンナは、役所の受付って聞いた。役所なら、地図を持ってるかも」
(なるほど。そうだな聞いてみるか)

 俺はアンナの元へと向かった。
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