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第2話 期待してるわよ
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次の日、ミーナはいつもよりかなり早く仕事場にやってくると同僚への挨拶もそこそこにルプナの部屋に飛び込んだ。
「ルプナ様、私何も聞いてないんですけれども!?少子化担当大臣てなんですか?異世界転生の件は全て私に委任するってどういうことですか??」
ルプナはミーナを見るなりとびきりの笑顔を作り、秘書の入れたコーヒーを優雅に飲みながら答えた。
「会見で言った通りよ。あなたを少子化担当大臣に任命したの。内容は異世界転生に関する件全般と考えてもらっていいわ。きっとあなたならいい仕事すると思っているわよ。期待しているからね」
「いやいや、突然すぎますよ!!」
ルプナはミーナの抗議など気にもせず話を続ける。
実に執政者らしい振る舞いであった。
「いい。会見ではああ言ったけど絶対に日本人の転生はダメよ。他の国なら許容するから、なんとしてもこれ以上の日本人の流出は止めなさい」
「いや、あの…」
「他の神々に日本人を転生させろと言われるかもしれないけれど、絶対だめだから。もちろん、できないとは答えてはダメよ。わかっていると思うけれど」
「まさか…私が他の神々と直接やりとりするんですか!?」
ミーナは女神ルプナに仕える部下、つまり天使と呼ばれる存在である。
他の神々と対等にやりとりするなど並みの天使には考えられるものではなかった。
「ええ、そうよ。大変だと思うけれど、これもあなたが次のステップに行くためでもあるのよ。がんばってね」
そう言ってルプナはコーヒーを飲み押すとそそくさとオフィスを出て行ってしまった。
秘書もルプナの後に慌てて続く。
「ルプナさまぁぁ!!ちょっと待ってくださいぃぃぃ!?」
ルプナはその声に振り向きもしなかった。
– – – – – – – – –
「ルプナ様?よろしかったのですか?」
普段のルプナはもう少し優しい。
そのことを知っている秘書は今回のミーナへ完全に突き放した塩対応について困惑していた。
するとルプナはニヤリと笑う。
「あなたも見たでしょう。私が話をしているときのあの子の獰猛な笑みを。あの子はいつも困難な事があると笑うのよ。あの子、ああ見えて腹がすわってるのよね」
「…そうなのですか?話しっぷりは大変困惑していたように感じましたが?」
見事に騙されてるわねと、クスクス笑うルプナ。
「あれはただ自分を低く見せようとしてるだけ。本当は自信家なのよ?そうでなければ私があの子を大臣なんて大役に指名するわけないじゃない」
実はミーナはどうしようもないことがあると絶望のあまり失笑してしまう悪癖を持っていた。
だが、その絶望の際に浮かべる笑みはそれはそれは凶悪で、周りから見ると気概があり必ず成し遂げるという強い意志のある獰猛な笑みに見えていた。
そのことにミーナ本人だけが気がついていなかった。
「ルプナ様、私何も聞いてないんですけれども!?少子化担当大臣てなんですか?異世界転生の件は全て私に委任するってどういうことですか??」
ルプナはミーナを見るなりとびきりの笑顔を作り、秘書の入れたコーヒーを優雅に飲みながら答えた。
「会見で言った通りよ。あなたを少子化担当大臣に任命したの。内容は異世界転生に関する件全般と考えてもらっていいわ。きっとあなたならいい仕事すると思っているわよ。期待しているからね」
「いやいや、突然すぎますよ!!」
ルプナはミーナの抗議など気にもせず話を続ける。
実に執政者らしい振る舞いであった。
「いい。会見ではああ言ったけど絶対に日本人の転生はダメよ。他の国なら許容するから、なんとしてもこれ以上の日本人の流出は止めなさい」
「いや、あの…」
「他の神々に日本人を転生させろと言われるかもしれないけれど、絶対だめだから。もちろん、できないとは答えてはダメよ。わかっていると思うけれど」
「まさか…私が他の神々と直接やりとりするんですか!?」
ミーナは女神ルプナに仕える部下、つまり天使と呼ばれる存在である。
他の神々と対等にやりとりするなど並みの天使には考えられるものではなかった。
「ええ、そうよ。大変だと思うけれど、これもあなたが次のステップに行くためでもあるのよ。がんばってね」
そう言ってルプナはコーヒーを飲み押すとそそくさとオフィスを出て行ってしまった。
秘書もルプナの後に慌てて続く。
「ルプナさまぁぁ!!ちょっと待ってくださいぃぃぃ!?」
ルプナはその声に振り向きもしなかった。
– – – – – – – – –
「ルプナ様?よろしかったのですか?」
普段のルプナはもう少し優しい。
そのことを知っている秘書は今回のミーナへ完全に突き放した塩対応について困惑していた。
するとルプナはニヤリと笑う。
「あなたも見たでしょう。私が話をしているときのあの子の獰猛な笑みを。あの子はいつも困難な事があると笑うのよ。あの子、ああ見えて腹がすわってるのよね」
「…そうなのですか?話しっぷりは大変困惑していたように感じましたが?」
見事に騙されてるわねと、クスクス笑うルプナ。
「あれはただ自分を低く見せようとしてるだけ。本当は自信家なのよ?そうでなければ私があの子を大臣なんて大役に指名するわけないじゃない」
実はミーナはどうしようもないことがあると絶望のあまり失笑してしまう悪癖を持っていた。
だが、その絶望の際に浮かべる笑みはそれはそれは凶悪で、周りから見ると気概があり必ず成し遂げるという強い意志のある獰猛な笑みに見えていた。
そのことにミーナ本人だけが気がついていなかった。
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