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10.魔王様、準備する。
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魔王様視点です。
此処は、さくら達の家のすぐ横に生えている巨木の上。
幹に背中を預けて座り、枝に伸ばした脚を組みながら眼下にある家を見つめる。
無事、さくら達親子を助ける事が出来た。
間に合って良かった、これ以上の魂の疲弊は何としても避けたかった。
生来の気性なのであろう「おっとり」としたさくらの性格が幸いし、あれだけの回数の「死」という本来ならただ一度であろうはずの経験を 幾度もしたにもかかわらず その負荷に耐え、未だに正気を保てている事に安堵する。
必ず守る。
これからは、毛ほどの傷もつけさせまいと心に誓った。
私が此処に降りる際、神達から忠告を受けた。
相変わらず「会議」は定期的に行なわれていて、もはや回数を数える事は しなくなっていた。
神達が言うには、そろそろ文明が発達しつつあると言う事だった。
さくら達がこの世界に降りた時には、存在していなかったモノだ。
すでにかなり高度な文明に発達しているとの事だった。
人族の神曰く 今この森の近くにある文明は、「解りやすく言うと、文化圏はヨーロッパ辺りで、時代は中世と言った感じでしょうか。」だそうだ。
我々がいるこの広大な森には神達の魔法がかけられていて、外の世界とは時間の流れる速さが違う。
この森の時間は恐ろしくゆっくりと、外の世界の時間は、かなりの速さで流れている。
さくら達親子を守り、生活する環境を育てる為の措置だ。
外の世界の者達は時の流れの異なる此処を「原初の森」と呼び、あまりに様相の変わらないこの森は、信仰の対象とさえなっている。
その為、人々がこの場所に近づく事は滅多にないのだ。
しかし、それもいつまで続くか分からない…。
最近、人々の意識がこの森に向いている様に感じられるのだ。
単なる好奇心か、或いは…別の何かなのか。
杞憂に過ぎぬかも知れないが、そんな事を頭の片隅に置いておく。
森を出るとしても、この特殊な場所は残しておいた方がいいだろう。
有事の際に、さくら達を隠せる場所が必要になるだろうから。
私がさくら達の所へ降りた理由の一つが
さくらの子に力の制御の仕方を教える事だ。
力の制御が上手くできない さくらの子を私が教え導く事で、力と精神を安定させ さくらの身の安全を確実なものにしたいのだ。
まだ幼く、力が暴走ぎみなあの娘に魔力の流れや、力の使い方を学ばせる事で
いずれは 都市や町に行き、普通の人間と変わらぬ生活をさせてやりたい。
そう、さくらは考えているようだ。
それが、さくらの願いであるのならば
私が反対する理由は無い。
さくらの願いが叶うよう、動くだけだ。
あの娘の力は、私と同種の危険極まりない力だ。
下手をすると、また 世界が消える。
文明が発達して生命が多く息づくようになっている今、この世界を消滅させる訳にはいかない。
また、その様な事態に陥った場合の
さくらの精神的負荷も問題だ。
娘と再会した際に 世界を2つも消滅させたと聞いて、軽く意識を飛ばしていたと聞いている。
あの時は、人的被害が無かった事が幸いした様だ。
明日の昼食会でこれからの流れをさくら達にも伝えようと思っている。
取り敢えず、今は明日の為の準備をするとしよう。
神達の愛し子の為に何を用意しようか?
自然と笑みを浮かべている自分に気付く事なく地上に降り立つと、森へと向かって歩き出す。
後ろから着いてくる精霊達を置き去りにしない様にゆっくりと。
此処は、さくら達の家のすぐ横に生えている巨木の上。
幹に背中を預けて座り、枝に伸ばした脚を組みながら眼下にある家を見つめる。
無事、さくら達親子を助ける事が出来た。
間に合って良かった、これ以上の魂の疲弊は何としても避けたかった。
生来の気性なのであろう「おっとり」としたさくらの性格が幸いし、あれだけの回数の「死」という本来ならただ一度であろうはずの経験を 幾度もしたにもかかわらず その負荷に耐え、未だに正気を保てている事に安堵する。
必ず守る。
これからは、毛ほどの傷もつけさせまいと心に誓った。
私が此処に降りる際、神達から忠告を受けた。
相変わらず「会議」は定期的に行なわれていて、もはや回数を数える事は しなくなっていた。
神達が言うには、そろそろ文明が発達しつつあると言う事だった。
さくら達がこの世界に降りた時には、存在していなかったモノだ。
すでにかなり高度な文明に発達しているとの事だった。
人族の神曰く 今この森の近くにある文明は、「解りやすく言うと、文化圏はヨーロッパ辺りで、時代は中世と言った感じでしょうか。」だそうだ。
我々がいるこの広大な森には神達の魔法がかけられていて、外の世界とは時間の流れる速さが違う。
この森の時間は恐ろしくゆっくりと、外の世界の時間は、かなりの速さで流れている。
さくら達親子を守り、生活する環境を育てる為の措置だ。
外の世界の者達は時の流れの異なる此処を「原初の森」と呼び、あまりに様相の変わらないこの森は、信仰の対象とさえなっている。
その為、人々がこの場所に近づく事は滅多にないのだ。
しかし、それもいつまで続くか分からない…。
最近、人々の意識がこの森に向いている様に感じられるのだ。
単なる好奇心か、或いは…別の何かなのか。
杞憂に過ぎぬかも知れないが、そんな事を頭の片隅に置いておく。
森を出るとしても、この特殊な場所は残しておいた方がいいだろう。
有事の際に、さくら達を隠せる場所が必要になるだろうから。
私がさくら達の所へ降りた理由の一つが
さくらの子に力の制御の仕方を教える事だ。
力の制御が上手くできない さくらの子を私が教え導く事で、力と精神を安定させ さくらの身の安全を確実なものにしたいのだ。
まだ幼く、力が暴走ぎみなあの娘に魔力の流れや、力の使い方を学ばせる事で
いずれは 都市や町に行き、普通の人間と変わらぬ生活をさせてやりたい。
そう、さくらは考えているようだ。
それが、さくらの願いであるのならば
私が反対する理由は無い。
さくらの願いが叶うよう、動くだけだ。
あの娘の力は、私と同種の危険極まりない力だ。
下手をすると、また 世界が消える。
文明が発達して生命が多く息づくようになっている今、この世界を消滅させる訳にはいかない。
また、その様な事態に陥った場合の
さくらの精神的負荷も問題だ。
娘と再会した際に 世界を2つも消滅させたと聞いて、軽く意識を飛ばしていたと聞いている。
あの時は、人的被害が無かった事が幸いした様だ。
明日の昼食会でこれからの流れをさくら達にも伝えようと思っている。
取り敢えず、今は明日の為の準備をするとしよう。
神達の愛し子の為に何を用意しようか?
自然と笑みを浮かべている自分に気付く事なく地上に降り立つと、森へと向かって歩き出す。
後ろから着いてくる精霊達を置き去りにしない様にゆっくりと。
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