叶わなかった未来

幸花

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叶わなかった未来6

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ー解き(壱)ー

時計の音が鳴り止んだと同時に、私は口を開いた。
「あなたは、このクリニックの医師の男に殺された」
カノジョは私の言葉に小さく頷く。
「私は、ピアノを弾くことが好きだった。父は有名なピアニストで、いつかコンサート舞台で父と一緒にデュエットで弾くことが、私の夢だった。けれど、私の未来はこの男に奪われた」
カノジョが体を横にずらすと、後ろの襖が開き、そこには医師の男と妻、眼鏡の女性がいた。三人は体を寄せ合い、カノジョの姿に怯え出す。
待合室で母親だと紹介された女は、カノジョの母親ではなかった。彼らの本当の子供は、硝子の空間に閉じ込められていた、あの少年だ。
少年はカノジョの人質であり、少年が家族の元に戻らなければ、彼らはここから永遠に出ることはできない。
「あれは仕方がないことだったんだ!どうか、コウジを返してくれ」
男がカノジョに言う。
だが、カノジョは彼らの言葉が、聞こえていないとでもいうように、私に視線を戻した。
「ねえ、どうして、あなたは廊下で迷わなかった?私は“階段を降りて”と嘘を言ったのに」
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