4 / 476
第2話:百万回死んだ男。
しおりを挟む「こっちの条件を呑んでくれるなら……生き返らせてあげてもいいよ?」
「ほ、本当か!? 俺は何をすればいい!?」
どうせ復讐さえ終わればどうなったっていいと思ってたんだ。俺に出来る事なら何でもしてやる。
「なぁに簡単簡単。次の人生を最後にしてほしいんだよね」
「……え?」
「実はね、君の魂の強度はちょっと異常なんだよね。今まで自分が何回死んだか知ってる?」
そんなの知る訳ない。俺にはかろうじて一個前の記憶がある程度なのだ。それも死の間際にふいに思い出しただけで……。
「実に九十九万九千九百九十九回だよ。えっとね、正確には今回で百万回死んだね」
……百万回死んだ……?
「待ってくれ、百万回ってのが異常なんだろうなって事くらいは分かるけど……それって他の人とどのくらい違うんだ……?」
「普通の人はだいたい四~五回かな? 多くても十回いけるかどうかってところだと思うよ」
それはさすがにおかしい。俺の魂がそんなにも強力だというのであればもうちょっと人生に良い事があったっていいじゃないか。
「このままだとね、まだまだ君は死んで生まれ変わってを繰り返すだろうね。正直言って我々はその魂のエネルギーはとても興味深いと思っていて、出来る事ならこちら側に徴収したいくらいなんだ」
魂を徴収……? ちょっと言っている意味が分からない。
「不思議そうな顔だねぇ。君にも分かるように簡単に説明してあげようか。このまま転生を繰り返すようなら神として拾い上げてこちら側に来てもらおうかって話が出てるくらいなんだよ」
俺が神様になる……? それは、ちょっと興味があるな……。
「でもね、君が生き返りを条件に次死んだらその魂を差し出すというのであれば、こちらとしては君を神にせずその膨大な魂の結晶のみを手に入れる事が出来る訳だね」
「……それがお前らにとって何の役に立つんだよ……」
神様は顔色一つ変えずのっぺりとした表情のまま言葉を続ける。
「お前って……一応ボク神様なんだけど? ……まぁいいや。利用方はいろいろさ。研究に使うもよし、結晶から抽出したエネルギーを他の命の精製に回すもよし。こちらとしては規則を破ってでも手に入れる価値がある」
このまま神になるか、生き返って復讐に生きるか。
……悩むまでもない。
「だったら俺の命なんてくれてやる。最後の人生、やりたいように暴れてやるぜ」
「言っておくけどそのまま生き返らせるだけだよ?」
「都合のいいチート能力の一つでもくれよ」
神様はそこで初めて不思議そうな顔をした。
「チート能力って……なんだい?」
「ほら、とんでもない特殊能力とか絶大な魔力とかさ」
「なに都合のいい事言ってるのさ。こっちは生き返らせるだけでも精一杯だっていうのに。君の魂を得る為にこちらはかなり無理してエネルギーそっちに回すんだよ? これは先行投資、君の魂が得られるのが分かっているからなんとか都合を付けようって話なんだから多くの望むのは違うんじゃないかな?」
ちぇっ。やっぱり異世界転生でチート能力を手に入れて無双するなんて都合のいい夢物語なんだな。
現実は転生ってもんに夢も希望もないって事がよく分かった。
まぁ今回は転生じゃなくて生き返りだけどな。そもそも転生チートなんてもんがあるならおれはイシュタリアに転生した時点でそれくらいのボーナスを貰ったっていいはずだ。
「それでいい。そのかわりちゃんと生き返らせてくれよ?」
「さっきも言ったけれどそのまま生き返らせるだけだよ。それでいいね?」
「……分かった」
神様は掌をこちらに向けて、何かぶつぶつ唱える。するとポゥっと光る紙が現れた。
「今契約書作ったからこれに手を触れてくれる? 契約内容は、生き返る代わりに次回死んだ時は自分の魂を差し出します。って書いてあるよ。嘘偽りはないから安心してね」
……俺は見た事もない文字がびっしり書かれたその契約書を若干訝しみながらも、手のひらを触れさせた。
バシュッと一瞬目の前がフラッシュして、「うん、これで契約成立っと。じゃあ生き返らせてあげるねーせいぜい頑張ってどうにかしてみてよ」と手を振る神様の声が、だんだんと遠のいていく。
「……ハッ!?」
……いき、かえった……?
本当に生き返った!?
で、も……あのクソ神野郎……!!
「騙しやがったな……!!」
口から血を噴き出しながら怒りの声を振り絞る。
あの神は全て計算づくだったのだ。
俺が【そのまま】生き返って、またすぐ死ぬのを。
俺は崖から落とされて大怪我した状態で生き返った。
こんなの……どうしろって言うんだよ。
完全に嵌められた。
生き返ったはいいけどすぐに死んで、無条件で俺は神様にこの魂を差し出さなくてはならない。
また意識が薄れていく。
クソが……ッ!!
ついてないにも程があるだろ……!!
転生なんて糞くらえだ……!
「……はぁ、はぁ……っ……」
ヤバい。本格的に、死ぬ……。
あぁ、そうだ、なんで簡単に諦めてるんだ俺は。回復魔法使えばいいじゃんか。
使える中で最大の回復魔法を自分にかける。……が、魔力が足りなくて発動出来ない。
クソっ、ならこれでどうだ……?
「ミドルヒール……!」
この程度の魔法では一気に回復する事は出来ず、俺はまず真っ先に内臓関係を修復する事にした。
それだけで命だけは繋ぎとめる事が出来る。
少し休んで、今度は折れた骨だ。
それを繰り返し、なんとか歩けるくらいにまで回復。
「ふ、ふふ、ふははは! 俺は生きのびたぞ! アドルフ、エリアル! 覚えてやがれ……! 必ずてめぇらを見つけて八つ裂きに……あれっ?」
気が付いた。
とてつもない違和感に気が付いた。
俺は、どうして回復魔法なんて使えたんだ?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!
カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。
その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。
「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」
次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。
彼女は知っている。
このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。
未来を変えるため、アメリアは
冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。
これは、かつて守れなかった主人のための転生。
そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。
王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
挿絵はA I画像を使用
10/20 第一章完結
12/20 第二章完結
2/16 第三章完結
他サイト掲載
(小説家になろう、Caita)
魔法使いじゃなくて魔弓使いです
カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです
魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。
「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」
「ええっ!?」
いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。
「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」
攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる