★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
53 / 476

第49話:お嫁さん。

しおりを挟む

 緊迫した空気が流れる。
 アドルフは完全にこちらを敵と認め、こちらの動きを見定めようとしている。

 生憎と私が緊張しているのはお前じゃなく後ろのキララとかいうどっかの猟奇女を思い出す名前の勇者で魔王な属性てんこ盛り女のせい。

 私はあいつから目を逸らす事が出来ない。

「何処を見ている……? 命のやり取りをしているというのに随分余裕じゃないか」
「それだけお前が弱いって事よ」
「……」

 静かにアドルフの眼に殺意がこもる。

「やはり腕くらい切り落とさないと君の心は折れないみたいだなッ!!」

 アドルフが剣を高く構え、叫ぶ。。

「紅蓮修羅覇道轟雷け……」
「長い」

 奴が何かスキルを発動し、赤く輝いた剣をこちらに振り下ろそうとした瞬間にその手首を切り飛ばした。

「……えっ?」
「えっ、じゃないわよ。覚悟しなさい」

「えっ、えっ……?」

 アドルフは自分の手首から噴き出す真っ赤な液体を見つめ呆然としていた。
 あの女は、その赤を見つめて満面の笑み。

 あの口角を吊り上げた狂気じみた笑顔は記憶の中にある二度と見たくない表情とまったく同じだった。

「なっ、何をしたぁぁぁっ!? お、俺の腕っ、腕がっ!!」
「うるさい」
「ひぃぃぃっ!!」

 アドルフは私が斜め下から切り上げたのを、その場から逃げ出すように飛びのいたおかげで腕一本吹き飛ぶだけに留めた。

「ぎゃあああぁぁぁぁっ!!」

 こちらに向かってくるようなら楽に死ねた物を……。

「腕が無くなっちゃったのは貴方の方だったわね」
「腕、腕がぁぁっ!! お、お前何者なんだっ!! 俺は、俺はレベル53だぞっ!? 負けるはずが、こんなはずがないんだっ!!」

 顔面を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながらアドルフが泣き喚く。
 いつの間にか53までレベルアップしていたとは……この成長加速も勇者の能力なのかしら?

「もういいわ、さっさと死になさいよ」
「き、キララっ!! 助けてくれっ! お前ならこの女を殺せるだろう!? 早くっ! 俺が殺されてしまうっ!!」

「……うふふっ♪ これは貴方達の戦いでしょう? 私が手を出すのはおかしくない?」
「そ、そんなっ! 話が違う! 俺はお前に従う代わりに富と、名誉を……!」
「勇者のパーティに入れたのよ? そして一時でも魔王直属の部下になれた。これ以上の誉れがあるかしら? むしろ貴方にしては上出来すぎる肩書だと思うけれど?」
「そ、そんな……!」

「……と、言いたいところだけれど、貴方に聞きたい事が出来ちゃったのよねぇ……さっきミナトって言った? そのミナトってどんな人? 教えてよ」

 先程までの笑顔が完全に消え、表情を無くしたキララが血塗れのアドルフに迫る。

「そ、そんな事はいいからっ、この女を……!」
「……そんな事? 私には何より大事な事なのよ。話すか今ここで死ぬか選びなさい」
「な、なんなんだよ……お前までミナトか!? いったいミナトの野郎がなんだって言うんだ!!」
「うるさいわね。ミナト君の事を話すか死ぬか選べって言ってるのよ」

 倒れてもがいているアドルフへ近付き、しゃがみ込んだキララがアドルフの膝に指先を触れさせると、まるで内部から爆発したかのように奴の膝から下が破裂した。

「ぎゃぁぁぁぁっ!! 痛いっ! いだいぃぃぃっ!!」
「話すの? 話さないの?」

 こいつ、間違いない……。
 二度と会う事が無い筈だったあの女。
 キキララ……。どうしてこの女がこんな場所に居るの?
 しかも勇者……? そして魔王だなんて……。

 そこで頭に一つの可能性が浮かぶ。
 まさか六竜の力を手に入れた私をどうにか殺す為に神が送り込んで来たの……!?

『……なるほどね、大体事情は察したわ。でも好都合よ。このままあの男に喋らせましょう』
 ママドラの言う通り、これは都合がいいかもしれない。

「話すっ! 話すからぁぁぁっ!! だから、だから助けてくれぇぇぇっ!!」

「……ほら、もう血は止まったわよ。ちゃんとミナト君の事を話したらその腕と足も治してあげるわ」
「……! 血が止まった……痛みも無い! 助かった!!」
「早く言え。死にたいの?」
「わ、分かった、分かったから! ミナトは俺が以前パーティを組んでた男の名前だ」

「……今どこに居るの?」

 キララは眉間に皺を寄せ、アドルフに問う。
 あぁ……アドルフ、お前の事は私が……いや、俺が殺してやりたかったよ。

「ミナトは、もう居ない。死んだんだ!」
「どういう事? 誰が? いつ? 彼は何故死んだの?」

 キララが一歩前に出る。

「あいつは……エリアルの男だったんだ。俺がエリアルと遊んでやったらあの女、あっさりとミナトの奴を崖から突き落としたよ。……ま、待て! あのミナトがキララの言うミナトと同一か分からないだろ!? ほら、話したんだから治して……」

 アドルフが逃げるようにずるりと後ずさる。

「ミナト君を殺したのね……? 貴方が」
「お、俺じゃない! 突き落としたのはエリアルだ!!」
「そのエリアルをけしかけたのはお前でしょう?」
「み、ミナトが何だって言うんだ! お前はミナトのなんなんだ……!」

「私が、ミナト君の……? そんなの……」

 俺の背筋に尋常じゃない悪寒が走るのと、アドルフの体が氷漬けになったのはほぼ同時だった。

 キララが一瞬だけ恍惚の表情を浮かべ、呟く。

「そんなの、お嫁さんに決まってるじゃない」





――――――――――――――――――――――――――


アドルフ終了のお知らせ……かどうかは御察しという事で。
ざまぁはちゃんとある、とだけお伝えいたします(笑)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】侍女が王女に転生?!英雄と結婚して破滅の国を救います!

カナタカエデ
ファンタジー
八十歳で生涯を終えた、元王宮侍女カリナ。 その最期の瞬間――枕元に、かつて仕えた王女アメリアが現れた。 「お願い…私の人生をやり直して。国を、私を、救って――」 次に目を開くと、カリナは十八歳の“王女アメリア”として転生していた。 彼女は知っている。 このままでは王国は滅び、愛する主君が破滅する未来を。 未来を変えるため、アメリアは 冷徹と噂される英雄ヴァルクとの政略結婚を選ぶ。 これは、かつて守れなかった主人のための転生。 そのはずなのに――彼への想いは、気づけば変わり始めていた。 王女と英雄が紡ぐ、破滅回避ラブファンタジー開幕。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 挿絵はA I画像を使用 10/20 第一章完結 12/20 第二章完結 2/16 第三章完結 他サイト掲載 (小説家になろう、Caita)

魔法使いじゃなくて魔弓使いです

カタナヅキ
ファンタジー
※派手な攻撃魔法で敵を倒すより、矢に魔力を付与して戦う方が燃費が良いです 魔物に両親を殺された少年は森に暮らすエルフに拾われ、彼女に弟子入りして弓の技術を教わった。それから時が経過して少年は付与魔法と呼ばれる古代魔術を覚えると、弓の技術と組み合わせて「魔弓術」という戦術を編み出す。それを知ったエルフは少年に出て行くように伝える。 「お前はもう一人で生きていける。森から出て旅に出ろ」 「ええっ!?」 いきなり森から追い出された少年は当てもない旅に出ることになり、彼は師から教わった弓の技術と自分で覚えた魔法の力を頼りに生きていく。そして彼は外の世界に出て普通の人間の魔法使いの殆どは攻撃魔法で敵を殲滅するのが主流だと知る。 「攻撃魔法は派手で格好いいとは思うけど……無駄に魔力を使いすぎてる気がするな」 攻撃魔法は凄まじい威力を誇る反面に術者に大きな負担を与えるため、それを知ったレノは攻撃魔法よりも矢に魔力を付与して攻撃を行う方が燃費も良くて効率的に倒せる気がした――

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...