★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

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第349話:準備は全て整った。

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「ギャルン、どこだ出てこい! 今度こそ確実にぶっ殺してやる……!」

「ふふふ……貴女にそれができますかね?」

 ギャルンはそう言い、地面から染み出してきた。
 その表現が一番しっくりくる。
 形など無い。

 突然地面から黒いブクブクしたとろみのある液体がじわじわと染み出してきて、それがゆっくりと人型に変わっていく。

「趣味の悪い登場の仕方だな」

「まったく……今回は予想外の事ばかりで参りましたよ。まず貴方がたがこんなに早くここを嗅ぎ付けるとは思っていなかった事、そして……ミナト氏のその力」

 ギャルンはどうやら俺の【復讐】の正体についてはまだ分かりかねているようだった。

「それはなんです……? あの時の一撃は本当に驚きました」

「あれで死なねえってどうなってんだテメェ」

「ふむ……まぁそれはいいでしょう。イリスをこんなに早く返すつもりはなかったのでそちらの方が痛手です」

 こんなに早く返すつもりはなかった?

「その言い方だと返すつもりがあった、って聞こえるが?」

「ええ、用が無くなれば力を奪ってから人質にでも、と考えていましたが……予定が狂いましたね」

「それは返すつもりがあるとは言わねえだろうが……」

 俺の中に再びギャルンに対しての殺意が湧き上がる。
 ラムも同じようにギャルンに対し厳しい視線を向けていた。
 それはそうだろう。ダンゲルをあんなふうにしたのは間違いなくこいつなのだから。

「そして……イヴリンが勝手な事をしてくれたおかげで予定が駄々狂いです」

「お前はイヴリンを魔王とは認めていないと言ったな? ネコの身体をイヴリンに与えるつもりだったんじゃないのか?」

 ギャルンは能面も付けていない真っ黒な空洞の顔で笑う。

「ふふふ、勿論貴重な器ですからね。中に入ってもらう予定ではいましたよ。だがそれは今では無かった」

 ギャルンはアルマがネコの中に居ると分かっていたのだろう。
 だからこそそれをどうにかする為にまず捕縛しようとした。

「まぁ私がイヴリンにあの半獣少女をさらってくるように言ったんですがね。人選を間違えましたね」

 ……イリスに、ではなくイヴリンに?
 だからイリスは別の奴から頼まれたと言っていたのか。

「お前がイヴリンを見捨てたのが分からねぇ……ネコの中に入れるつもりだったなら助けるだろ普通」

「おやおや、貴女がイヴリンの心配ですか? おかしな話ですねぇ。イヴリンが消滅して貴女に何かマイナスになる事がありますか?」

 ねぇな。あんな奴消えてもらうに越したことはない。だからこそ、だ。

「俺に得しかねぇからおかしいと言ってるんだよ。お前が俺に塩を送る意味がわからん」

「ふむ……別に貴女に塩を送った訳ではありませんよ。遅かれ早かれイヴリンには消えてもらう予定でしたから。この場に勇者が居て、偶然にもイヴリンを消滅させる事が出来そうだったのでそのままお願いしただけの事です
 」

 イヴリンすらギャルンの駒だったってのか?
 しかし何の為に? むしろイヴリンが邪魔で始末する為に動いていた……?

「既に彼女は充分役に立ってくれましたのでね。殺しても殺しても復活する邪魔者をどう始末するかというのは課題の一つでしたからとても都合が良かった。そして、最後に大きな仕事をしてくれましたからね」

「……なんの事だ?」

「ふふ、それはまだ言えませんよ」

「お前も消えちゃえーっ!」

 我慢できなくなったのか、ギャルンに向かってティアがダンテヴィエルを振り下ろした。

 しかしそれはするり……いや、ぬぷりとギャルンを通り抜ける。
 確かに切れてはいるが、まるで水を切っているようにすぐに元の形へ戻ってしまう。

「今の私には何も効きませんよ。ここに居るのは私の思念体のみ。肉体は先ほど破壊されてしまいましたのでね、また時間をかけて作り直さないと」

 思念体だけで動き回れるとかイヴリンと変わんねぇじゃねぇかよ。

「だったらこれならどうじゃっ!?」

 ギャルンの周りにラムが結界を張り、その中に閉じ込める。

「生憎と……それも無駄です」

 ギャルンはするりと結界をすり抜けてしまう。

「なんじゃと……!?」

「貴女はとても優秀な賢者だが……今の私の状態を正しく理解していない。思念体とは便宜上言ったまでの事。実際はこの場に私という存在を投影しているだけに過ぎない」

「……つまりお主はここには居ない、という事じゃな」

「聡明で助かりますね。話が早い。つまり私には貴女がたに手出しをする事も出来ないが、代わりに私を害する事も出来ないという事です」

 だったらこいつ何をしに来たんだよ。
 もしかしてイヴリンを見捨てたのもただの方便で、助けたくても助けられなかっただけなんじゃねぇのか?
 こいつの本心がまったく分からん。

「またろくでもねぇ事企んでるんだろ? いい加減鬱陶しいんだよお前」

「ふふ、大丈夫、安心して下さい」

 そう言いながらギャルンは両腕を広げ、宣告した。

「予定外の事も多々ありましたが、ある意味工程を幾つか飛ばす事に成功しました。むしろ感謝したいくらいですよ」

「次俺の前に姿を現してみろ。今度こそ必ず殺す。存在ごと消し去ってやる」

 イリスを取り戻した以上、もうギャルンに【復讐】は発動できないだろう。
 しかし俺には仲間達がいる。俺だけで出来ない事でもみんなが居れば必ず達成できる。

「準備は全て整いました。後は仕上げをごろうじろ、というやつですよ。せいぜい残り僅かな平和を謳歌するといいでしょう」

 言いたい事を言うだけ言ってギャルンの身体はどぷん、と地面に溶けて消えた。

 毎回毎回不吉を残して去りやがって……。
 次こそだ、次こそ必ず……!



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