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第439話:シルヴァ&リリィVSギャルン。
しおりを挟む「こうやって貴方と直接戦うのは初めてですねぇ」
「こちらとしては一生御免こうむりたかったがね、いい加減にちょっかい出されるのもうんざりしていたところだ。丁度いいからここで僕らの関係も終わりにしようじゃないか」
「ぼ、僕らの関係って!? お二人はどういう関係なんですーっ!?」
こんな重要な場面でもアホな事を言っているリリィに呆れながらも、こいつはこれでいいのかもしれないとも感じる。
「リリィ、何を勘違いしているか知らないが僕はこいつの事が大嫌いなんだ」
「ふふ、奇遇ですね……私も貴方の事が大嫌いですよ。可能な限り追い詰めて追い詰めて命乞いでもさせてやりたい所ですねぇ」
「僕がお前に命乞いだと……? すると思うかい?」
「しないでしょうね。だから……私もやり方を変えさせてもらいますよ」
ギャルンの身体がまるで砂のようにサラサラと崩れて消えた。
それを見てシルヴァはリリィを庇いながら身構える。
「……そこか」
シルヴァが掌を上に翳し、風魔法を唱える。
天井からギャルンが急降下してくるのを事前に察知して合わせたようだが、ギャルンは魔法を受けた瞬間に再び砂のようになって消えてしまった。
「な、なんなんですあの人……ひっ!?」
「リリィ!?」
「おっと動かないでいただきましょうか」
皆の意識が天井方面に向かっている間に、ギャルンはリリィを羽交い絞めにし、その節くれだった真っ黒な指をリリィの首元へ当てる。
「シヴァルド……貴方が動けばこの女は死にます」
「し、シルヴァ様……」
「誰が喋っていいと言いましたか?」
つぷりと、ギャルンの爪がリリィの首に刺さり、紅い雫が垂れる。
「ギャルン……君はその女性を甘く見過ぎではないか?」
「ふん、この女の中にマリウスが居るのは分かっていますよ。しかしそのマリウスもほとんど残滓程度しか残っていないではありませんか」
……? ギャルンは何を言ってるんだ?
『今のマリウスは彼女と完全に混ざってしまっていてほとんど六竜だった頃の気配が消えてしまってるのよ』
なるほど……だったら、むしろこれはチャンスなのでは?
「どうせ表に出てくる事も出来ない状態なのでしょう? 先日はこの女に邪魔をされて煮え湯を飲まされましたが、逆に言えば不意打ちしか出来ない程度の力しか無いという事……」
「ギャルン、何度でも言うぞ。お前は彼女を甘く見過ぎだ」
「戯言を……ッ!?」
リリィに突きつけた手が肘のあたりまで消し飛んだ。
「ひぇぇぇ……気持ち悪いですーっ!」
「なんだ!? この力は……しかしマリウスの気配など……」
「お前なんか嫌いですーっ!!」
ただの大声。
リリィがギャルンに向かって「嫌いだ」と叫んだだけ。
しかし、その言葉は怪音波となり、衝撃波となり、ギャルンを吹き飛ばす。
ギャルンは抗う事も出来ずに壁まで吹き飛び激しく打ち付けられた。
相変わらず意味不明だなあいつの魔法は……。
『多分嫌いだからどっかいけ、程度の感覚で叫んでるわよね……』
それが新しい魔法として機能してるんだから恐ろしい。
「なっ、なんなのだその女はァっ!! 今何をしたっ!?」
ギャルンが壁にめり込んだ身体を無理矢理引きずりだし、吼える。
「だから何度も言っているだろう? 甘く見過ぎだ、とな」
「これがマリウスの力だとでも? ふざけるなよ……マリウスの力はこんな得体のしれないモノでは無かったはずだ!」
ギャルンの奴狼狽して口調を取り繕う事も忘れてやがる。ざまぁみやがれ。
「わらわはお前の事大っ嫌いです! シルヴァ様を傷付けようとする奴はみんなみんなみんなぶっ殺してやるですーっ!!」
ぶわりとリリィの赤いツインテールが風もないのになびく。
そしてその背後に、よく分からない物が現れた。
よく分からない物、としか形容しようがない。
なんて言えばいいんだろう。無理矢理言葉で表すのならば腕が六本あってずんぐりむっくりした体形の鎧武者みたいなの。
それで顔のあるあたりと腹のあたりに大きな目玉がついている。
「魔物召喚……? いえ、使い魔召喚? ……違う。なんだそれは……その【生命体】はなんだと聞いているッ!!」
「知るかばーかばーか! やっちゃえーっ!」
リリィの合図でずんぐりむっくり鎧武者がリリィを飛び越えぐるぐると回転しながらギャルンに飛び掛かった。
ギャルンは再び身体を砂のように変え逃げようとする。
「僕の事も忘れないでもらおうか」
シルヴァがすかさずギャルンの周りに結界を張ってその場から逃げられないようにした。
しかし結界を張ってしまったらあの鎧武者の攻撃も通らないのでは? と疑問に思ったのだが、ギャルンを包み込んだ結界は瞬間的に縮み、ギャルンを締め付ける。
身体を薄い膜が包み込んで締め上げているような形になり、ギャルンの身体が実体化する。
「ぐっ、キサマらぁぁぁっ!!」
叫ぶギャルンへ鎧武者が迫り、その六本の腕が全て鋭い刀に変化して六方向から一斉に切りつけた。
「い、忌々しい……ッ」
その言葉を最後にギャルンの身体はバラバラに砕け、切り裂かれたはずの結界はそれぞれ細かくなったギャルンの身体を圧縮し、圧し潰した。
「シルヴァ様、わらわやりましたよーっ!」
「ああ、想像以上の活躍だったぞ」
シルヴァがリリィの頭を撫で、リリィはまるで猫のように頭をシルヴァにこすりつけている。
今度こそ完全にギャルンの身体は滅びたはず。
この後まだギャルンが現れるかどうかで奴の秘密が分かるかもしれない。
シルヴァ、気をつけろよ……? まだ終わってないかもしれないぞ。
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