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第4章 ホテルの個性的な客達
第68話 アデレード、初めて二日酔いになる
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次の日の早朝、いつものようにディマが散歩に行くため、アデレードを起こす。前足や鼻を使って優しく主人の体を揺らしたり、舌で顔を舐めたりした。
「うーん、ディマ……ちょっと待って……」
アデレードは異様にだるい体を起こそうとした。
「あ、いった……」
体の重さに加えて、頭もがんがんと痛い。
どうしてかしら?
とりあえず、アデレードはゆっくりした動きでベッドから起き上がり、出掛ける支度を整えて、階段を下りる。厨房の方から音がするので、メグとクリスが朝食の準備をしているのだろう。クリスは客がいる間は隣村から通いではなく、薪や木炭を置いてある倉庫に泊っている。3階の部屋が空いているので使ってくれと言ったら、固辞されてしまった。変なところに律儀である。
朝食は2人に任せて大丈夫ね。
「ディマ、今日は村の方へ行きましょう」
何だか倦怠感が強くて、とても斜面を上げる気になれない。アデレードはディマを連れて村の方へ歩いていく。しかし、歩く度に、頭が何だかくらくらしてきた。我慢できなくなって、村の入口辺りで思わずしゃがみ込む。早起きの村の住民達が気が付いて心配そうに声を掛けてきた。
「お嬢さん、どうしたんだい?」
「気分が悪いの?」
「顔が真っ青だよ」
「……頭が痛い……」
住民の呼び掛けにアデレードが絞りだすようにか細い声で答える。
「そりゃ、大変だっ」
「ラシッド先生のところまで行けるかい?」
ディマがアデレードの周りを心配そうにうろうろしていたが、誰かが近づいて来たのを見つけ走っていく。
「あらっ伯爵様」
「丁度良かったよっ」
ディマに袖を引っ張られてカールがアデレードの傍までやってくる。
「フロイライン、どうした?」
カールが心配そうに身を屈め声を掛けた。
「頭が痛いんだって」
「先生の家に連れて行こうとしていたところで」
「分かった。フロイライン・アデレード、失礼」
カールはそう言って、軽々とアデレードの体を抱き上げる。
「えっ……」
「嫌だろうが、少し間にだけ我慢してくれ」
「い、嫌だなんてっ」
こんなに気分が悪くなかったら嬉しいくらいだ。だが、今は恥ずかしいやら申し訳ないやらで感情が混乱している。
でも伯爵の体の温もり、匂い……この時間が少しでも長く続けば良いのに。
ラシッド医師の家へ向かうほんの僅かな時間だけ、カールの胸にそっと、アデレードは頭を寄せた。
「お嬢さん、これは二日酔いですね」
「えっ……」
「二日酔い?」
ラシッドがやってきたアデレードを診断し、そう結論付けた。それを聞いたカールとアデレードは目を瞬かせる。
「要するに飲み過ぎですね。そんなに何を飲んだんです?」
「えーっと、ホテルで揃えたお酒類を全部、味見してたのです。でも、確かに最後の方はふらふらしていましたわね。部屋に戻るのも大変だったような……」
「それだけで済んで良かったですよ、お嬢さん。一度にたくさんのお酒を飲むと、急に意識が無くなり、最悪死ぬことだってあるのですから。気を付けて下さい」
ラシッドが真剣な声音でアデレードを諭す。
「しかし、何故そんなことをしたんだ、フロイライン?」
「実は今、ホテルにお客様がいらっしゃってるんです。伯爵もよくご存知のフラウ・シュミットが」
「フラウ・シュミットが?」
カールは、意外な人物の名前を聞き、驚いた顔をした。
「はい。それで昨日、夕食の際に、ホテルにあるお酒のことをどれだけ知っているのかと問われて……」
「なるほど。それで飲んでみたわけか」
「そうですわ」
「先生の言う通りだ。無茶をする」
そう言われて、アデレードはしゅんとする。
「ホテルに滞在している間に、ここに来て良かったと思って欲しくて……」
「だからと言って、そう極端なことをすることもあるまい」
「……」
「まぁまぁ。伯爵、お嬢さんも反省していますし、ね」
ラシッドが渋い顔をしたカールを宥める。
「水を飲んでゆっくり休んだら、二日酔いは治まりますから。ここで寝ていくと良いですよ」
「はい……」
「ディマは私がホテルまで連れて行こう」
そう言ってカールは立ち上がった。アデレードの愛犬は今、子ども達が楽しそうに世話している。
「ご迷惑お掛けして申し訳ありませんわ。伯爵、それに先生も」
「気にするな」
「調子の悪い人の相手をするのが、医者の仕事ですから」
恐縮しっぱなしのアデレードに2人はさらりと答えた。
「うーん、ディマ……ちょっと待って……」
アデレードは異様にだるい体を起こそうとした。
「あ、いった……」
体の重さに加えて、頭もがんがんと痛い。
どうしてかしら?
とりあえず、アデレードはゆっくりした動きでベッドから起き上がり、出掛ける支度を整えて、階段を下りる。厨房の方から音がするので、メグとクリスが朝食の準備をしているのだろう。クリスは客がいる間は隣村から通いではなく、薪や木炭を置いてある倉庫に泊っている。3階の部屋が空いているので使ってくれと言ったら、固辞されてしまった。変なところに律儀である。
朝食は2人に任せて大丈夫ね。
「ディマ、今日は村の方へ行きましょう」
何だか倦怠感が強くて、とても斜面を上げる気になれない。アデレードはディマを連れて村の方へ歩いていく。しかし、歩く度に、頭が何だかくらくらしてきた。我慢できなくなって、村の入口辺りで思わずしゃがみ込む。早起きの村の住民達が気が付いて心配そうに声を掛けてきた。
「お嬢さん、どうしたんだい?」
「気分が悪いの?」
「顔が真っ青だよ」
「……頭が痛い……」
住民の呼び掛けにアデレードが絞りだすようにか細い声で答える。
「そりゃ、大変だっ」
「ラシッド先生のところまで行けるかい?」
ディマがアデレードの周りを心配そうにうろうろしていたが、誰かが近づいて来たのを見つけ走っていく。
「あらっ伯爵様」
「丁度良かったよっ」
ディマに袖を引っ張られてカールがアデレードの傍までやってくる。
「フロイライン、どうした?」
カールが心配そうに身を屈め声を掛けた。
「頭が痛いんだって」
「先生の家に連れて行こうとしていたところで」
「分かった。フロイライン・アデレード、失礼」
カールはそう言って、軽々とアデレードの体を抱き上げる。
「えっ……」
「嫌だろうが、少し間にだけ我慢してくれ」
「い、嫌だなんてっ」
こんなに気分が悪くなかったら嬉しいくらいだ。だが、今は恥ずかしいやら申し訳ないやらで感情が混乱している。
でも伯爵の体の温もり、匂い……この時間が少しでも長く続けば良いのに。
ラシッド医師の家へ向かうほんの僅かな時間だけ、カールの胸にそっと、アデレードは頭を寄せた。
「お嬢さん、これは二日酔いですね」
「えっ……」
「二日酔い?」
ラシッドがやってきたアデレードを診断し、そう結論付けた。それを聞いたカールとアデレードは目を瞬かせる。
「要するに飲み過ぎですね。そんなに何を飲んだんです?」
「えーっと、ホテルで揃えたお酒類を全部、味見してたのです。でも、確かに最後の方はふらふらしていましたわね。部屋に戻るのも大変だったような……」
「それだけで済んで良かったですよ、お嬢さん。一度にたくさんのお酒を飲むと、急に意識が無くなり、最悪死ぬことだってあるのですから。気を付けて下さい」
ラシッドが真剣な声音でアデレードを諭す。
「しかし、何故そんなことをしたんだ、フロイライン?」
「実は今、ホテルにお客様がいらっしゃってるんです。伯爵もよくご存知のフラウ・シュミットが」
「フラウ・シュミットが?」
カールは、意外な人物の名前を聞き、驚いた顔をした。
「はい。それで昨日、夕食の際に、ホテルにあるお酒のことをどれだけ知っているのかと問われて……」
「なるほど。それで飲んでみたわけか」
「そうですわ」
「先生の言う通りだ。無茶をする」
そう言われて、アデレードはしゅんとする。
「ホテルに滞在している間に、ここに来て良かったと思って欲しくて……」
「だからと言って、そう極端なことをすることもあるまい」
「……」
「まぁまぁ。伯爵、お嬢さんも反省していますし、ね」
ラシッドが渋い顔をしたカールを宥める。
「水を飲んでゆっくり休んだら、二日酔いは治まりますから。ここで寝ていくと良いですよ」
「はい……」
「ディマは私がホテルまで連れて行こう」
そう言ってカールは立ち上がった。アデレードの愛犬は今、子ども達が楽しそうに世話している。
「ご迷惑お掛けして申し訳ありませんわ。伯爵、それに先生も」
「気にするな」
「調子の悪い人の相手をするのが、医者の仕事ですから」
恐縮しっぱなしのアデレードに2人はさらりと答えた。
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