社畜にもなれなかった俺が、JSに転生して経営の才能が開花した件 〜駄菓子屋からはじめて100億円企業を創るまで〜

中田翔子

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第一章 起業

駄菓子屋オープン

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(「駄菓子屋? 良いけど、別にあんたたち無理しなくても……でも、そうね。生きていかなければ、ならないものね」) 

 そう言って叶はこの家で商売をすることを認めてくれた。その代わり、学校にはきちんと行くことを念押しされた。やれやれ。

「縋野さん、帰ろー」

 冴と芽依が今日も帰り道に誘ってくれた。転校初日以来、毎日声をかけてくれる。面倒見のいい子たちだ。

 例によって、南門を抜け、車通りの少ない住宅街の細道を横並びで歩く。そして、我が家のある通りへ差し掛かる。

「あ、あのさーー」
「縋野さんの家行きたい!」

 勇気を出して口を開いたが、冴の一段と明るい声に重なって霧散した。ああ、また失敗だ。……ん、あれ?

「いま、うちに来たいって言った?」

「うん、いまからお邪魔してもいい?」

「冴、そんな急に押しかけたら悪いよ」

「いや、私は別にーー」

言いかけて口を噤む。ううん、ちゃんと言わなきゃ。言わなきゃ伝わらない。

「うちに、来て欲しい。私の家、駄菓子屋なんだ」

「!!!」


「いらっしゃい、だニャン」

 チャッピーがにゃんにゃんメイドの格好で出迎える。彼女には恥じらいというものがない。

 この駄菓子屋は、店といっても町屋の一室を棚やカゴを使って駄菓子屋風に設えただけの部屋である。店と称するのが恥ずかしくなるが、背に腹はかえられない。

「縋野さんのお姉さん?」

 芽依が訝しげに訊ねる。

「ううん、親戚の……人」

 ーー苦しい言い訳。

「(これが噂のお友達ですかニャン。かわいい子たちですニャン)」

「(うるさい仕事しろ)」


 冴は部屋全体をぐるりと見渡すと、置いてある菓子の一つ一つを見定めるように確認していく。いつも賑やかな彼女が、店に入ってからまだ一度も声を発していない。

(やっぱりこんな付け焼き刃なお菓子コーナーじゃダメか)

 そう思った矢先、冴が思い口を開いた。

「縋野さん」

 神妙な面持ちである。

「なんか、普通の駄菓子屋と置いてるもの違うね」

 そりゃそうだ。ド●キやスーパーの特売で買い集めた個包装のお菓子たちがほとんどなのだから。

「うちは珍しいものを集めてるから」

 ーー苦しい言い訳。

「私……」

「や、やっぱり品揃えいまいちだったよね!ごめんごめん、違う駄菓子屋行こっか」

「こういうお菓子大好き!」

「……へ?」

「なんか、ルー●ラとかホワイトロ●ータとか、家に友達連れてきた時にしかお母さん出してくれないんだよ。高級菓子だからって。でも、それを駄菓子屋さんで買えるなんて……神」

(たまたまド●キでセールしてただけなんだが……)

「それに駄菓子屋に重要な5円チョコとか10円ガムとかもしっかり押さえてるのはなかなか。100円以内で3つは買いたいって時に重宝するんだよな」

(なんなんだ、この超ホワイトなロリータたちは)

「ごめんね、冴ってば駄菓子のことになったらつい熱くなっちゃって。でも、私もこのお店、なんか好きだな。家みたいで落ち着くし」

「ううん、ありがとう、芽依ちゃん」

 芽依が一瞬キョトンとした顔をする。しまった。いつも心の中では芽依と呼んでいたからつい癖で、馴れ馴れしい呼び方をしてしまった。普段はちゃんと「高井さん」と呼んでいるのに。俺の馬鹿。距離感を測れないくそコミュ障。そりゃ急に名前で呼ばれたらびっくりするよな。急に距離詰めてきたって思うよな。

「あ、いや、高井さ……」

「私も名前で呼んでいい? 泉ちゃん」

「あっ!ズルいぞメイ!私も泉って呼ぶ!私は冴でいいからな」

 なんなんだ、このホワイトなロリータたちは。時間はあっという間に過ぎていった。別れのとき、今日はあんまり寂しくなかった。
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