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転生〜統治(仮題)
世界政府総会2
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冒険者ギルド副本部長のデニスの策略でSSSランクに推薦される事となったのだが、それでいきなり採決となる程単純ではない。思った通り、議長からお呼びが掛かった。
「前代未聞の提案ですし、当事者もこの場にいらっしゃる事です。フォレスタニア皇帝陛下。こちらへお越し頂けますか?」
全員の視線が集中する中、ルークは椅子から立ち上がる。階段まで移動するのも面倒なので、正面の仕切りを飛び越えて1階へと飛び降りる。突然の出来事に、各国の参加者全員が驚きの声を上げた。
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
周囲の反応もお構い無しに、一切音を立てる事無く着地すると流れるような動作で歩き出す。デニスと向かい合う形で立つと、ルークは声を上げた。
「まず始めに、フィルフィアーナは我が妃となった。よって冒険者ギルドに籍を置く事は適当とは言えないだろう。他国の反感を買うのは必至と考えるが?」
「フォレスタニア皇帝陛下のおっしゃる事はごもっともですね。」
「それに伴い、我が妃フィルフィアーナの意思に基づき、デニス副本部長を本部長に推薦する。」
これは総会が始まる前に、フィーナと話し合って決めた事である。
「デニス副本部長、何か異論はございますか?」
「・・・いいえ、ありません。」
オレの言葉に納得した議長がデニスへ問い掛けると、デニスは何も言い返さなかった。その様子に、議長が採決をとる。
「それでは冒険者ギルド本部長フィルフィアーナ様の退任、並びにデニス副本部長の本部長就任に意義のある方は挙手をお願いします。」
3バカが手を挙げると思っていたのだが、予想に反して誰1人として手を挙げる事は無かった。どうやら冒険者ギルドに対する影響力が無い、というのが理由らしい。
「全会一致で承認されました。現時点を以て、冒険者ギルド本部長にデニス様が着任となります。冒険者ギルドの理念の下、世界の安寧に努めて頂きますようお願い申し上げます。副本部長の人選はお任せしますので、決まり次第通達をお願いします。続きまして、フォレスタニア皇帝陛下のSSSランク昇格ですが、まずは皇帝陛下のご意志を確認致したい所存です。」
いよいよオレにとってのメインイベントである。何を話すべきかは決まっているので、言いたい事だけ言って戻らせて貰うとしよう。
「先日、冒険者ギルドに対してギルドカードの返却を済ませている。既に冒険者で無い以上、この件についても適当とは言えないものと考える。あぁ、ついでに宣戦布告もしていたか。」
「確かに詳細は聞き及んでおります。各国への通達も済ませておりますから、皇帝陛下の意見は妥当だと判断せざるを得ま 「異議あり!」 ・・・カイル王国フィリップ国王陛下?」
思ってもみない方向から異議申し立てを食らった。まさかのフィリップ国王である。どんな狙いがあるのか、じっくりと聞く事にしよう。
「うむ。(ルークよ、すまんが許してくれ) 現在我が国は、魔物の脅威に晒されておる。先日、フォレスタニア皇帝陛下に救援を要請して事なきを得たのじゃが、今後も続く事が予想される。魔物の討伐依頼ならば、まずは冒険者ギルドに依頼するのが筋と言えよう?」
「フィリップ国王陛下のおっしゃる事は理解出来ますが・・・。」
「なんじゃ?」
言い淀んだ議長に対し、フィリップ国王が追求する。オレはと言えば、ただ静観する他あるまい。
「カイル王国の問題と現在の議題、どのような関係があるのでしょうか?」
「ふむ。我々は各国や冒険者ギルドに対し、救援を要請した。じゃが、実際に手を貸してくれたのは皇帝陛下のみ。それも個人、すなわち冒険者としてじゃ。つまり、冒険者ルークがいなくなっては困るのじゃよ。」
なんとも強引な理論だ。それならば帝国軍として協力すれば済む話。オレやカレンが先陣を切って殲滅したと言い張れば、誰も文句は言えないのだから。しかし、それでは困る者達がいたようだった。
「冒険者ギルドとしても、カイル王国の問題に対処可能な人材が不足しているのが事実。さらに高ランク冒険者の中で所在のハッキリしている者は、フォレスタニア皇帝陛下と王妃殿下方のみなのです。」
「最高ランクの冒険者で確実に連絡が取れる者など、どれ程遡っても他にはおるまい。そしてどの国も、冒険者に頼らざるを得ない案件が少なからず存在するのじゃ。」
デニスの言う事は確かな事実。現に今も、我がブランシェ家の2人と連絡を取れずにいる。他人の事を言えた義理ではないが、高ランク冒険者は何処で何をしているのか定かではないのだ。
フィリップ国王の言う事もそうだ。だがこちらに関しては、必ずしも冒険者である必要はない。
「それならば、冒険者の代わりに軍を動かせば済む話ではありませんか?」
「お主・・・一国の軍隊を上回るではないか。それに近い実力の冒険者が他にもおる。ならば冒険者に依頼した方が良いに決まっておるじゃろ?」
「それは・・・」
「くだらん!!」
フィリップ国王をどう論破すべきか悩んでいると、突然の罵声が轟いた。全員が声のした方を向くと、1人の男性が立ち上がっている。
「サウダイール国王陛下。どうかなさいましたか?」
「そこのジジイの発言がくだらないと言ったんだよ。単独で一国の軍隊を上回る者などいる訳がないだろ!!」
「同感だな。そこのガキが帝国を滅ぼしたって話も、全部でまかせに決まってる。どうせミリスとカイルが裏で手を回したんだろ?」
「なるほどな!そうでなければ帝国に勝てる訳が無い!!」
突然ネザーレアとフロストルの国王達が噛み付いて来た。
「サウダイール国王陛下にザブラス国王陛下。侮辱するような発言は慎んで下さい。」
「貴様、誰に口を利いている!」
「まぁ落ち着けよ、サウダイール。あのガキが黙り込んじまったぜ?」
議長が静止するも、2人の国王は大人しくする気が無いらしい。それにしても、どうやら2人は仲がいいようだ。地球で言えば、仲良くつるんでる悪ガキみたいなものか。・・・おっさんだけど。
「・・・オレの事か?相手にするのも馬鹿らしかっただけだ。」
「何だと!?」
「ガキが調子に乗りやがって!!」
「おやめ下さい!!」
目上の者達の間に入り、必至に止めようとしている議長に同情したので、それ以上口を開くのはやめる事にした。しかし、2人の国王の怒りは収まりそうにない。
「亜人共を嫁にしているような下賤な者には、我々の恐ろしさをわからせる必要があるな!」
「決めたぞ!貴様の目の前で、嫁達を死ぬまでいたぶってやろう。あそこの人族2人はかなりの上玉だからな・・・性奴隷として一生可愛がってやるぞ!!」
黙っているつもりであったが、嫁さん達の事を言われては黙っていられなかった。だがオレがキレるよりも早く、完全にブチ切れた者がいたのである。
「黙れ下等生物。貴様ら如きが、我が家族に・・・我に手を出そうと言うか?」
静かで低いその声は、普段の面影を一切残してはいなかった。叫んでいる訳でもないのに、この広い会場内全ての耳に届いたその声は、明確な殺意を抱いている。
聞き慣れた声だと言うのに、まるで別人だと思いたくなるような声の主へと視線を向ける。どんな時でも笑みを絶やさないその顔からは一切の温もりが消え、その瞳はゴミを見るように2人の国王に向けられている。
「我が家族、最愛の夫を侮辱した罪・・・死で償え。」
「カレ・・・ン・・・さん?」
抑え切れずに漏れ出したカレンの殺気に会場全体が包み込まれる中、隣に座っていたスフィアが声を掛ける。あまりの豹変ぶりに、オレでさえ声を出せずにいたのだが、流石はスフィアといった所か。これまでに潜り抜けた修羅場の数を物語っているだろう。
「そう言えば、ネザーレア・フロストルの両国は国民全てが亜人を虐げていたのだったな?・・・ならば国ごと消してやろう。」
声を掛けて来たスフィアには目もくれず、カレンは物騒な発言を続ける。その内容を噛み砕き、オレの脳にもスイッチが入る。
「ちょっと待った!そういう事ならオレも混ぜて貰う。オレとカレンが同時に2国へ攻め込むってのはどう?」
「・・・いいでしょう。でしたら私は、フロストル王国を消させて頂きます。」
散々酷い事を言ったのはフロストルの国王だった事もあり、カレンもそこだけは譲れなかったのだろう。早い者勝ちって事で諦めるしかなさそうだ。それにしても、オレに対しては普段通りの言葉遣いで安心したよ。
「まぁ仕方ないか。あ~、軍を率いて攻め込んだって言ったっけ?また言われるのも癪だしな。でも相手が準備する時間も必要か・・・。良し!じゃあ、今日の内にオレとカレンはグリーディアに転移する。そして明日の朝、そこから両国へ同時に侵攻する。それでどうかな?」
「構いませんよ。では皆さん、参りましょうか?」
「え?ちょ、ちょっと待って下さい!議長!!総会の延期を希望します!・・・3日後に再招集という事で!!」
オレとカレンが勝手に話を進め、挙句の果てにカレンが帰ると言い出した事で、スフィアは慌てて総会の延長を希望する。オレとしては、このまま終わってくれた方が楽だったのだが。
「わ、わかりました。確かにその方が良さそうですね・・・。」
「そこの下等生物共・・・首を洗って待っているがいい。塵一つ残らず消し去ってくれる。」
カレンが去り際、呆然としているネザーレアとフロストルの国王達に捨て台詞を吐く。オレ達はそれを見届けてから、揃って退出する。残された者達はしばし放心状態であった。
「なんという事じゃ・・・まさかカレン様の怒りを買うとは。じゃが、どの道ルークも怒らせる事となったじゃろうし、結果は変わらんか。ふむ、一先ず冒険者ギルドとの関係改善に尽力するとしよう。」
椅子に腰を下ろし、頭を抱えたフィリップ国王が呟く。然程大きな声でもなかったのだが、静まり返った会場内に響き渡る事で、全ての者達の時間が動き出す。当然真っ先に騒ぎ始めるのは、神の怒りを買った2国の王達であった。
「くそぉ!コケにしやがって!!」
「行くぞ!今すぐ戦の準備だ!!」
正に怒り心頭といった2人の様子に他の面々が無言で見つめる中、ネザーレアとフロストルの出席者達がドタバタと退出して行く。再び訪れた静寂の中、今後の展開を見通したフィリップ国王が議長に呼び掛ける。
「議長よ、今はこの有様じゃ。スフィア王妃の提案通りにしてはどうかな?」
「そ、そうですね。それでは皆様、3日後に再度お集まり頂くという事で。異論のある方は挙手をお願い致します!・・・・・無いようですので、本日はこれにて閉会と致します!!」
全体を見回し、手を挙げている者がいなかった事で閉会を宣言した。
今後の動向に頭を抱える者、然程関心の無い者、不穏な笑みを浮かべる者。様々な思惑が渦巻く中、世界政府総会は一旦閉幕したのであった。
「前代未聞の提案ですし、当事者もこの場にいらっしゃる事です。フォレスタニア皇帝陛下。こちらへお越し頂けますか?」
全員の視線が集中する中、ルークは椅子から立ち上がる。階段まで移動するのも面倒なので、正面の仕切りを飛び越えて1階へと飛び降りる。突然の出来事に、各国の参加者全員が驚きの声を上げた。
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
周囲の反応もお構い無しに、一切音を立てる事無く着地すると流れるような動作で歩き出す。デニスと向かい合う形で立つと、ルークは声を上げた。
「まず始めに、フィルフィアーナは我が妃となった。よって冒険者ギルドに籍を置く事は適当とは言えないだろう。他国の反感を買うのは必至と考えるが?」
「フォレスタニア皇帝陛下のおっしゃる事はごもっともですね。」
「それに伴い、我が妃フィルフィアーナの意思に基づき、デニス副本部長を本部長に推薦する。」
これは総会が始まる前に、フィーナと話し合って決めた事である。
「デニス副本部長、何か異論はございますか?」
「・・・いいえ、ありません。」
オレの言葉に納得した議長がデニスへ問い掛けると、デニスは何も言い返さなかった。その様子に、議長が採決をとる。
「それでは冒険者ギルド本部長フィルフィアーナ様の退任、並びにデニス副本部長の本部長就任に意義のある方は挙手をお願いします。」
3バカが手を挙げると思っていたのだが、予想に反して誰1人として手を挙げる事は無かった。どうやら冒険者ギルドに対する影響力が無い、というのが理由らしい。
「全会一致で承認されました。現時点を以て、冒険者ギルド本部長にデニス様が着任となります。冒険者ギルドの理念の下、世界の安寧に努めて頂きますようお願い申し上げます。副本部長の人選はお任せしますので、決まり次第通達をお願いします。続きまして、フォレスタニア皇帝陛下のSSSランク昇格ですが、まずは皇帝陛下のご意志を確認致したい所存です。」
いよいよオレにとってのメインイベントである。何を話すべきかは決まっているので、言いたい事だけ言って戻らせて貰うとしよう。
「先日、冒険者ギルドに対してギルドカードの返却を済ませている。既に冒険者で無い以上、この件についても適当とは言えないものと考える。あぁ、ついでに宣戦布告もしていたか。」
「確かに詳細は聞き及んでおります。各国への通達も済ませておりますから、皇帝陛下の意見は妥当だと判断せざるを得ま 「異議あり!」 ・・・カイル王国フィリップ国王陛下?」
思ってもみない方向から異議申し立てを食らった。まさかのフィリップ国王である。どんな狙いがあるのか、じっくりと聞く事にしよう。
「うむ。(ルークよ、すまんが許してくれ) 現在我が国は、魔物の脅威に晒されておる。先日、フォレスタニア皇帝陛下に救援を要請して事なきを得たのじゃが、今後も続く事が予想される。魔物の討伐依頼ならば、まずは冒険者ギルドに依頼するのが筋と言えよう?」
「フィリップ国王陛下のおっしゃる事は理解出来ますが・・・。」
「なんじゃ?」
言い淀んだ議長に対し、フィリップ国王が追求する。オレはと言えば、ただ静観する他あるまい。
「カイル王国の問題と現在の議題、どのような関係があるのでしょうか?」
「ふむ。我々は各国や冒険者ギルドに対し、救援を要請した。じゃが、実際に手を貸してくれたのは皇帝陛下のみ。それも個人、すなわち冒険者としてじゃ。つまり、冒険者ルークがいなくなっては困るのじゃよ。」
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「冒険者ギルドとしても、カイル王国の問題に対処可能な人材が不足しているのが事実。さらに高ランク冒険者の中で所在のハッキリしている者は、フォレスタニア皇帝陛下と王妃殿下方のみなのです。」
「最高ランクの冒険者で確実に連絡が取れる者など、どれ程遡っても他にはおるまい。そしてどの国も、冒険者に頼らざるを得ない案件が少なからず存在するのじゃ。」
デニスの言う事は確かな事実。現に今も、我がブランシェ家の2人と連絡を取れずにいる。他人の事を言えた義理ではないが、高ランク冒険者は何処で何をしているのか定かではないのだ。
フィリップ国王の言う事もそうだ。だがこちらに関しては、必ずしも冒険者である必要はない。
「それならば、冒険者の代わりに軍を動かせば済む話ではありませんか?」
「お主・・・一国の軍隊を上回るではないか。それに近い実力の冒険者が他にもおる。ならば冒険者に依頼した方が良いに決まっておるじゃろ?」
「それは・・・」
「くだらん!!」
フィリップ国王をどう論破すべきか悩んでいると、突然の罵声が轟いた。全員が声のした方を向くと、1人の男性が立ち上がっている。
「サウダイール国王陛下。どうかなさいましたか?」
「そこのジジイの発言がくだらないと言ったんだよ。単独で一国の軍隊を上回る者などいる訳がないだろ!!」
「同感だな。そこのガキが帝国を滅ぼしたって話も、全部でまかせに決まってる。どうせミリスとカイルが裏で手を回したんだろ?」
「なるほどな!そうでなければ帝国に勝てる訳が無い!!」
突然ネザーレアとフロストルの国王達が噛み付いて来た。
「サウダイール国王陛下にザブラス国王陛下。侮辱するような発言は慎んで下さい。」
「貴様、誰に口を利いている!」
「まぁ落ち着けよ、サウダイール。あのガキが黙り込んじまったぜ?」
議長が静止するも、2人の国王は大人しくする気が無いらしい。それにしても、どうやら2人は仲がいいようだ。地球で言えば、仲良くつるんでる悪ガキみたいなものか。・・・おっさんだけど。
「・・・オレの事か?相手にするのも馬鹿らしかっただけだ。」
「何だと!?」
「ガキが調子に乗りやがって!!」
「おやめ下さい!!」
目上の者達の間に入り、必至に止めようとしている議長に同情したので、それ以上口を開くのはやめる事にした。しかし、2人の国王の怒りは収まりそうにない。
「亜人共を嫁にしているような下賤な者には、我々の恐ろしさをわからせる必要があるな!」
「決めたぞ!貴様の目の前で、嫁達を死ぬまでいたぶってやろう。あそこの人族2人はかなりの上玉だからな・・・性奴隷として一生可愛がってやるぞ!!」
黙っているつもりであったが、嫁さん達の事を言われては黙っていられなかった。だがオレがキレるよりも早く、完全にブチ切れた者がいたのである。
「黙れ下等生物。貴様ら如きが、我が家族に・・・我に手を出そうと言うか?」
静かで低いその声は、普段の面影を一切残してはいなかった。叫んでいる訳でもないのに、この広い会場内全ての耳に届いたその声は、明確な殺意を抱いている。
聞き慣れた声だと言うのに、まるで別人だと思いたくなるような声の主へと視線を向ける。どんな時でも笑みを絶やさないその顔からは一切の温もりが消え、その瞳はゴミを見るように2人の国王に向けられている。
「我が家族、最愛の夫を侮辱した罪・・・死で償え。」
「カレ・・・ン・・・さん?」
抑え切れずに漏れ出したカレンの殺気に会場全体が包み込まれる中、隣に座っていたスフィアが声を掛ける。あまりの豹変ぶりに、オレでさえ声を出せずにいたのだが、流石はスフィアといった所か。これまでに潜り抜けた修羅場の数を物語っているだろう。
「そう言えば、ネザーレア・フロストルの両国は国民全てが亜人を虐げていたのだったな?・・・ならば国ごと消してやろう。」
声を掛けて来たスフィアには目もくれず、カレンは物騒な発言を続ける。その内容を噛み砕き、オレの脳にもスイッチが入る。
「ちょっと待った!そういう事ならオレも混ぜて貰う。オレとカレンが同時に2国へ攻め込むってのはどう?」
「・・・いいでしょう。でしたら私は、フロストル王国を消させて頂きます。」
散々酷い事を言ったのはフロストルの国王だった事もあり、カレンもそこだけは譲れなかったのだろう。早い者勝ちって事で諦めるしかなさそうだ。それにしても、オレに対しては普段通りの言葉遣いで安心したよ。
「まぁ仕方ないか。あ~、軍を率いて攻め込んだって言ったっけ?また言われるのも癪だしな。でも相手が準備する時間も必要か・・・。良し!じゃあ、今日の内にオレとカレンはグリーディアに転移する。そして明日の朝、そこから両国へ同時に侵攻する。それでどうかな?」
「構いませんよ。では皆さん、参りましょうか?」
「え?ちょ、ちょっと待って下さい!議長!!総会の延期を希望します!・・・3日後に再招集という事で!!」
オレとカレンが勝手に話を進め、挙句の果てにカレンが帰ると言い出した事で、スフィアは慌てて総会の延長を希望する。オレとしては、このまま終わってくれた方が楽だったのだが。
「わ、わかりました。確かにその方が良さそうですね・・・。」
「そこの下等生物共・・・首を洗って待っているがいい。塵一つ残らず消し去ってくれる。」
カレンが去り際、呆然としているネザーレアとフロストルの国王達に捨て台詞を吐く。オレ達はそれを見届けてから、揃って退出する。残された者達はしばし放心状態であった。
「なんという事じゃ・・・まさかカレン様の怒りを買うとは。じゃが、どの道ルークも怒らせる事となったじゃろうし、結果は変わらんか。ふむ、一先ず冒険者ギルドとの関係改善に尽力するとしよう。」
椅子に腰を下ろし、頭を抱えたフィリップ国王が呟く。然程大きな声でもなかったのだが、静まり返った会場内に響き渡る事で、全ての者達の時間が動き出す。当然真っ先に騒ぎ始めるのは、神の怒りを買った2国の王達であった。
「くそぉ!コケにしやがって!!」
「行くぞ!今すぐ戦の準備だ!!」
正に怒り心頭といった2人の様子に他の面々が無言で見つめる中、ネザーレアとフロストルの出席者達がドタバタと退出して行く。再び訪れた静寂の中、今後の展開を見通したフィリップ国王が議長に呼び掛ける。
「議長よ、今はこの有様じゃ。スフィア王妃の提案通りにしてはどうかな?」
「そ、そうですね。それでは皆様、3日後に再度お集まり頂くという事で。異論のある方は挙手をお願い致します!・・・・・無いようですので、本日はこれにて閉会と致します!!」
全体を見回し、手を挙げている者がいなかった事で閉会を宣言した。
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