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転生〜統治(仮題)
グリーディア公国2
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ルークが人間ロケットと化したのを見送った後、カレンもまた行動を開始した。
「力加減を間違えてしまいました。少し心配ですし、私も参りましょうか。」
まるで散歩にでも出掛けるように呟くと、テラスからその姿を消す。次の瞬間、ルークが向かった方向とは少し離れた位置にカレンの姿があった。前回ルークと競争した時の失敗を糧に、今回は脚力を抑えての移動である。とは言っても、居合わせた者達の実力では視認すら出来なかったのだが。
グリーディアに放たれた密偵2人を一瞬で両断し、すぐさまルークの状況を確認する。が、既に手遅れだったようで、轟音と共に土煙が巻き上がる。
「このホコリの中、ルークに近付くのは控えるべきですね。落ち着くまで待つとしましょう。そうしましょう!」
ちなみに、カレンの呟きは完全な言い訳である。ルークが無事なのはわかりきっている為、急ぐ必要が無いというのは完全な建前。本音は、自分から汚れに行くのが嫌だっただけである。カレンは綺麗好きなのだ。
普通ならば、すぐにでも安否を確認しに来ない嫁に腹を立てるのかもしれないが、今回のルークは違った。それどころではなかったのだ。
「カレンのお陰で酷い目にあった。しっかし・・・こんなボロボロの格好じゃ、人前には出られないよな。う~ん、着替えに戻るか!」
こちらも軽いノリで呟くと、着替える為に転移魔法で自分の部屋に移動する。ちなみに、体にはかすり傷1つ無い。服だけがボロボロなのは、服を強化しなかったからである。カレンであれば服も強化してしまうのだが、ルークにそんな考えは無かったので無理もない。
自身の部屋に戻ると、誰かに気付かれる前に着替えようとする。しかし、視界の端に奇妙な光景が写り込んできた事で歩みを止めてしまう。
「すぅ~、はぁ~。あぁ!ルーク様の香り!!おっとヨダレが。」
「エミリア・・・何してんの?」
ルークのベッドに入り、もぞもぞと動きながら匂いを嗅いでいるエミリアの様子に頭を抱える。再確認するまでもなく、この子は変態である。
「静かにして下さい!折角邪魔が入らないのですから、今の内にルーク様の香りを堪能しなければなりません!!」
「そ、そうなんだ・・・程々にね?」
「ありがとうございます。すぅ~、はぁ~。おっとヨダレが。」
ルークの姿を確認する事もなく、エミリアは再び自分の世界に入り込んでしまう。ボロボロの姿を見られたら、エミリアの理性が吹き飛ぶ恐れがある為、ルークはそそくさと着替えを済ます。
(エミリアの事は好きだけど、帰ったら生活魔法で綺麗にしよう。なんとなくだよ?なんとなく。)
未だに気付かないエミリアを横目に、ルークは突撃跡地へと転移する。それから数分後、エミリアが何かに気付く。
「あれ?誰かこの部屋に来ましたか?・・・きっと気のせいですね。あぁ!ルークさまぁ~!!」
普段のエミリアはかなり優秀である。しかしルークと結ばれた事で、被り続けて来た猫を全て脱ぎ捨ててしまっていた。その事実を知るのはルークのみである。ちなみにエミリアのルークの匂いを堪能するという行為、もといマーキングは1時間程続いたようである。
ルークが離れていたのはほんの2、3分だった為か、未だにホコリが舞い上がっていた。このまま待つのも退屈なので、無視して移動する事に決める。
選択肢は3つ。歩く、飛ぶ、転移するのいずれかである。しかしルークはここで、ほんの少し状況を整理する。
「派手に地面へ突っ込んでおいて、綺麗な格好ってどうなんだ?う~ん、このホコリの中ならそれっぽい汚れはつくかな?となると、転移は無しか。視界が悪いから、歩くのは論外。なら・・・飛ぶか!」
風魔法で飛ぶという選択をしたルークは、静かに浮かび上がる。視界が確保されていない以上、不用意に飛び回る訳にはいかなかった。一気に上昇していく最中、ある事実に気が付く。
「飛ばされてる最中に風魔法を使ってたら・・・その前に転移魔法で・・・。どれも今更かぁ。この反省は、次の機会に活かすとしよう。まずは・・・カレンにおしおきだな!」
上空高くまで舞い上がり周囲を確認すると、大分離れた所にカレンの姿があった。急降下してカレンの目の前に降り立つと、カレンが声を掛けて来た。
「ルーク、ご苦労様でした。」
「カレンもね。あ、そうだ!カレンに聞いておきたい事があるんだけど?」
ーービクッ
カレンが体を大きく震わせてから、ほんの一瞬固まってしまう。しかし平静を装い聞き返して来る。残念だが、カレンの有罪は決定しているのだ。
「な、何ですか?」
「オレを飛ばしてくれたのは感謝してる。でもさぁ・・・あの威力で腹を殴られてたら、大怪我じゃ済まなかったとは思わない?」
「え?・・・ルルル、ルークでしたら無傷だったと思いますよ?」
こらカレン!ちゃんとオレの目を見て言いなさい。
「あのスピードで地面に突っ込んだら、普通は跡形も無くなってると思うのはオレだけかなぁ?」
「む、昔は人を飛ばして、地面に開いた穴の大きさを競っていましたよ?」
そんなアホな競技、後にも先にも成り立つはずがないだろ!参加者=犠牲者じゃねぇか!!
「ふ~ん?・・・そう言えばオレを飛ばす時、『あ』って言ったのはどうしてかなぁ?」
「そ、それは・・・着替え!着替えを持って来るのを忘れたんです!!」
口調が変な所を見るに、かなり動揺しているのだろう。そもそも嘘が下手過ぎる。あまり上手いのも問題だが、もう少し考えて欲しいものである。
「それじゃあ最後の質問。あんなに激しく土煙を上げてるのに、随分と離れた所で眺めてたのはどうして?」
「それは・・・ほら!視界が悪い中を進んで、間違えてルークを攻撃してしまう恐れがありましたから!!」
敵が生きてても、みんな吹き飛んでましたよね?しかし必死だな。こうなったら誘導尋問しかないか。
「それもそうかぁ。それにまぁ、服が汚れちゃうもんね?」
「そうなんですよ。あんなホコリだらけの中を進むなんて、考えただけでも悍ましい・・・はっ!?」
「ほぉ~?」
「あ、いえ、その・・・すみませんでした!!」
ついに認めたな?全く、狡賢い子供じゃあるまいし。
「最初から素直に謝ってくれてたら、こんな事を言わずに済んだのにね?」
「・・・・・こんな事?」
「おしおきします。罰として、カレンは次の新作スイーツ抜きね。」
「え?・・・え?・・・・・えぇぇぇぇぇ!?」
このお仕置き、実は絶大な効果を発揮した。オレはそこまでの罰ではないと思っていたのだが、どうやらカレンには違ったらしい。オットル女王の下へ戻るまでの間、ずっと泣きつかれたのである。
しかし、そんな事で撤回する訳にはいかない。頑なにカレンの頼みを断り続けた。その結果、カレンがとんでもない事を言い出すのだが、それはもう少し後の話である。
カレンにしがみつかれながらの空中散歩を経て、オットル女王の下へと戻る。当然、オレが地面に突っ込んだのが見えたらしく、物凄く心配されてしまった。
「皇帝陛下!無事か!?」
「えぇ、この通り無傷ですよ。それと、地面に穴を開けてしまってすみませんでした。帰るまでには元通りにしますから。」
戦闘前に魔力を使うのは避けたい。あの穴を塞ぐのは骨が折れるだろうし。
「いや、それには及ばん。ここからでも視認出来るあの大穴は残しておく。」
「え?あれはこちらの不手際ですから、責任を持って元通りにしますけど?」
「有り難い申し出ではあるのだが、王都を訪れた者達にも見せてやりたいのだよ。あれ程の大きさだ、真似しようと思ったらどれだけの労力が必要になる事か。それに、皇帝陛下にとっては牽制にも使えるはずだ。だれも損はしないさ。」
オットル女王が言うには、それはオレとカレンの力の大きさを示す為の、良い見本になるという事だった。数十人が同時に魔法を放っても、同規模の穴を開けるのは難しいと言う話だ。
他国の戦力と考えればあまりにも脅威である。しかし今回は、結果的に見れば味方だ。そのような者と親交のある偉大なオットル女王、という流れに持って行く魂胆らしい。オレに対しても、馬鹿な真似をしようなどと考える者が減るのでは、という一石二鳥な狙いがあるらしい。
あまりにも深い考えに、この時は関心したものだ。それがまさか、観光名所になるなどとは夢にも思わなかった。わかってたら止めたよ?
「ところで、突然飛び出して行った理由を説明して貰いたいのだが・・・。」
「あぁ、忘れてました。この城ですが、ネザーレアとフロストルに情報が筒抜けだったんですよ。これが証拠です。カレン?」
オレには一切余裕が無かったのだが、カレンには証拠を回収する余裕があった。カレンに頼んで取り出して貰ったのは2つの魔道具。
「1つは遠くを見る魔道具。もう1つは遠くの音を聞く魔道具みたいですね。差し上げますので確認して下さい。」
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
全員が驚愕している。無理は無いだろう。まさか会議の内容が筒抜けになっていようとは、完全に想定していなかったのだ。そして全員が整理しきれない内に、カレンが推測を述べる。
「密偵による遠距離からの情報収集だけとは思えません。潜入されていると見るべきでしょうね。」
「やはりか。ずっと後手に回っている事が不可解だったのだが、確証が掴めなくてな・・・。」
「ふふふ。今更ですけどね?明日にはその2国も無くなるのですから。」
優しく微笑みながらも、カレンは相変わらず物騒な事を言う。そう言えば、詳しい話をするって事だったっけ。全員が返答に窮していたので、オレから進行を買って出た。
「では、詳細を説明しましょうか。」
「そ、そうだな。すまないが、宜しく頼む。」
グリーディアの者達とカレンが着席するまでの間、何を話すべきか考える。オレ達に必要な情報は、侵攻ルートと捕虜、奴隷の扱いだろうか。出来る限りの情報を入手しなければ、カレンが纏めて消し飛ばしてしまうからね。
「力加減を間違えてしまいました。少し心配ですし、私も参りましょうか。」
まるで散歩にでも出掛けるように呟くと、テラスからその姿を消す。次の瞬間、ルークが向かった方向とは少し離れた位置にカレンの姿があった。前回ルークと競争した時の失敗を糧に、今回は脚力を抑えての移動である。とは言っても、居合わせた者達の実力では視認すら出来なかったのだが。
グリーディアに放たれた密偵2人を一瞬で両断し、すぐさまルークの状況を確認する。が、既に手遅れだったようで、轟音と共に土煙が巻き上がる。
「このホコリの中、ルークに近付くのは控えるべきですね。落ち着くまで待つとしましょう。そうしましょう!」
ちなみに、カレンの呟きは完全な言い訳である。ルークが無事なのはわかりきっている為、急ぐ必要が無いというのは完全な建前。本音は、自分から汚れに行くのが嫌だっただけである。カレンは綺麗好きなのだ。
普通ならば、すぐにでも安否を確認しに来ない嫁に腹を立てるのかもしれないが、今回のルークは違った。それどころではなかったのだ。
「カレンのお陰で酷い目にあった。しっかし・・・こんなボロボロの格好じゃ、人前には出られないよな。う~ん、着替えに戻るか!」
こちらも軽いノリで呟くと、着替える為に転移魔法で自分の部屋に移動する。ちなみに、体にはかすり傷1つ無い。服だけがボロボロなのは、服を強化しなかったからである。カレンであれば服も強化してしまうのだが、ルークにそんな考えは無かったので無理もない。
自身の部屋に戻ると、誰かに気付かれる前に着替えようとする。しかし、視界の端に奇妙な光景が写り込んできた事で歩みを止めてしまう。
「すぅ~、はぁ~。あぁ!ルーク様の香り!!おっとヨダレが。」
「エミリア・・・何してんの?」
ルークのベッドに入り、もぞもぞと動きながら匂いを嗅いでいるエミリアの様子に頭を抱える。再確認するまでもなく、この子は変態である。
「静かにして下さい!折角邪魔が入らないのですから、今の内にルーク様の香りを堪能しなければなりません!!」
「そ、そうなんだ・・・程々にね?」
「ありがとうございます。すぅ~、はぁ~。おっとヨダレが。」
ルークの姿を確認する事もなく、エミリアは再び自分の世界に入り込んでしまう。ボロボロの姿を見られたら、エミリアの理性が吹き飛ぶ恐れがある為、ルークはそそくさと着替えを済ます。
(エミリアの事は好きだけど、帰ったら生活魔法で綺麗にしよう。なんとなくだよ?なんとなく。)
未だに気付かないエミリアを横目に、ルークは突撃跡地へと転移する。それから数分後、エミリアが何かに気付く。
「あれ?誰かこの部屋に来ましたか?・・・きっと気のせいですね。あぁ!ルークさまぁ~!!」
普段のエミリアはかなり優秀である。しかしルークと結ばれた事で、被り続けて来た猫を全て脱ぎ捨ててしまっていた。その事実を知るのはルークのみである。ちなみにエミリアのルークの匂いを堪能するという行為、もといマーキングは1時間程続いたようである。
ルークが離れていたのはほんの2、3分だった為か、未だにホコリが舞い上がっていた。このまま待つのも退屈なので、無視して移動する事に決める。
選択肢は3つ。歩く、飛ぶ、転移するのいずれかである。しかしルークはここで、ほんの少し状況を整理する。
「派手に地面へ突っ込んでおいて、綺麗な格好ってどうなんだ?う~ん、このホコリの中ならそれっぽい汚れはつくかな?となると、転移は無しか。視界が悪いから、歩くのは論外。なら・・・飛ぶか!」
風魔法で飛ぶという選択をしたルークは、静かに浮かび上がる。視界が確保されていない以上、不用意に飛び回る訳にはいかなかった。一気に上昇していく最中、ある事実に気が付く。
「飛ばされてる最中に風魔法を使ってたら・・・その前に転移魔法で・・・。どれも今更かぁ。この反省は、次の機会に活かすとしよう。まずは・・・カレンにおしおきだな!」
上空高くまで舞い上がり周囲を確認すると、大分離れた所にカレンの姿があった。急降下してカレンの目の前に降り立つと、カレンが声を掛けて来た。
「ルーク、ご苦労様でした。」
「カレンもね。あ、そうだ!カレンに聞いておきたい事があるんだけど?」
ーービクッ
カレンが体を大きく震わせてから、ほんの一瞬固まってしまう。しかし平静を装い聞き返して来る。残念だが、カレンの有罪は決定しているのだ。
「な、何ですか?」
「オレを飛ばしてくれたのは感謝してる。でもさぁ・・・あの威力で腹を殴られてたら、大怪我じゃ済まなかったとは思わない?」
「え?・・・ルルル、ルークでしたら無傷だったと思いますよ?」
こらカレン!ちゃんとオレの目を見て言いなさい。
「あのスピードで地面に突っ込んだら、普通は跡形も無くなってると思うのはオレだけかなぁ?」
「む、昔は人を飛ばして、地面に開いた穴の大きさを競っていましたよ?」
そんなアホな競技、後にも先にも成り立つはずがないだろ!参加者=犠牲者じゃねぇか!!
「ふ~ん?・・・そう言えばオレを飛ばす時、『あ』って言ったのはどうしてかなぁ?」
「そ、それは・・・着替え!着替えを持って来るのを忘れたんです!!」
口調が変な所を見るに、かなり動揺しているのだろう。そもそも嘘が下手過ぎる。あまり上手いのも問題だが、もう少し考えて欲しいものである。
「それじゃあ最後の質問。あんなに激しく土煙を上げてるのに、随分と離れた所で眺めてたのはどうして?」
「それは・・・ほら!視界が悪い中を進んで、間違えてルークを攻撃してしまう恐れがありましたから!!」
敵が生きてても、みんな吹き飛んでましたよね?しかし必死だな。こうなったら誘導尋問しかないか。
「それもそうかぁ。それにまぁ、服が汚れちゃうもんね?」
「そうなんですよ。あんなホコリだらけの中を進むなんて、考えただけでも悍ましい・・・はっ!?」
「ほぉ~?」
「あ、いえ、その・・・すみませんでした!!」
ついに認めたな?全く、狡賢い子供じゃあるまいし。
「最初から素直に謝ってくれてたら、こんな事を言わずに済んだのにね?」
「・・・・・こんな事?」
「おしおきします。罰として、カレンは次の新作スイーツ抜きね。」
「え?・・・え?・・・・・えぇぇぇぇぇ!?」
このお仕置き、実は絶大な効果を発揮した。オレはそこまでの罰ではないと思っていたのだが、どうやらカレンには違ったらしい。オットル女王の下へ戻るまでの間、ずっと泣きつかれたのである。
しかし、そんな事で撤回する訳にはいかない。頑なにカレンの頼みを断り続けた。その結果、カレンがとんでもない事を言い出すのだが、それはもう少し後の話である。
カレンにしがみつかれながらの空中散歩を経て、オットル女王の下へと戻る。当然、オレが地面に突っ込んだのが見えたらしく、物凄く心配されてしまった。
「皇帝陛下!無事か!?」
「えぇ、この通り無傷ですよ。それと、地面に穴を開けてしまってすみませんでした。帰るまでには元通りにしますから。」
戦闘前に魔力を使うのは避けたい。あの穴を塞ぐのは骨が折れるだろうし。
「いや、それには及ばん。ここからでも視認出来るあの大穴は残しておく。」
「え?あれはこちらの不手際ですから、責任を持って元通りにしますけど?」
「有り難い申し出ではあるのだが、王都を訪れた者達にも見せてやりたいのだよ。あれ程の大きさだ、真似しようと思ったらどれだけの労力が必要になる事か。それに、皇帝陛下にとっては牽制にも使えるはずだ。だれも損はしないさ。」
オットル女王が言うには、それはオレとカレンの力の大きさを示す為の、良い見本になるという事だった。数十人が同時に魔法を放っても、同規模の穴を開けるのは難しいと言う話だ。
他国の戦力と考えればあまりにも脅威である。しかし今回は、結果的に見れば味方だ。そのような者と親交のある偉大なオットル女王、という流れに持って行く魂胆らしい。オレに対しても、馬鹿な真似をしようなどと考える者が減るのでは、という一石二鳥な狙いがあるらしい。
あまりにも深い考えに、この時は関心したものだ。それがまさか、観光名所になるなどとは夢にも思わなかった。わかってたら止めたよ?
「ところで、突然飛び出して行った理由を説明して貰いたいのだが・・・。」
「あぁ、忘れてました。この城ですが、ネザーレアとフロストルに情報が筒抜けだったんですよ。これが証拠です。カレン?」
オレには一切余裕が無かったのだが、カレンには証拠を回収する余裕があった。カレンに頼んで取り出して貰ったのは2つの魔道具。
「1つは遠くを見る魔道具。もう1つは遠くの音を聞く魔道具みたいですね。差し上げますので確認して下さい。」
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
全員が驚愕している。無理は無いだろう。まさか会議の内容が筒抜けになっていようとは、完全に想定していなかったのだ。そして全員が整理しきれない内に、カレンが推測を述べる。
「密偵による遠距離からの情報収集だけとは思えません。潜入されていると見るべきでしょうね。」
「やはりか。ずっと後手に回っている事が不可解だったのだが、確証が掴めなくてな・・・。」
「ふふふ。今更ですけどね?明日にはその2国も無くなるのですから。」
優しく微笑みながらも、カレンは相変わらず物騒な事を言う。そう言えば、詳しい話をするって事だったっけ。全員が返答に窮していたので、オレから進行を買って出た。
「では、詳細を説明しましょうか。」
「そ、そうだな。すまないが、宜しく頼む。」
グリーディアの者達とカレンが着席するまでの間、何を話すべきか考える。オレ達に必要な情報は、侵攻ルートと捕虜、奴隷の扱いだろうか。出来る限りの情報を入手しなければ、カレンが纏めて消し飛ばしてしまうからね。
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