書きなぐり草子

砕田みつを

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拍動を、体全体で、強く、一々と感じる。

夕日が視界に粒子を散りばめて、鬱陶しささえ覚えてしまう。

あぁ、俺は今、生きているんだ。生きて、しまっているんだ。とありありと感じさせられる。

心臓から送り出された血液が頭で跳ね、手首で跳ね、踝で跳ねる。自動的な循環によって持続させられる俺の命。俺の悲しみも、憂いもそんなもの知ったものかと言わんばかりに強く脈打つ。

生きている実感は、死んでいる俺に、生きることを強いているようにも思えた。

俺はまだ何も成していない。為してもいない。このまま死ぬことは俺が許しても『俺』が許さないのだろう。きっと、そうだ。

『俺』は俺だから。
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