俺達の行方【続編】

穂津見 乱

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初めての快感

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剛の身体を浴室の壁に押し付ける。左膝を抱え上げ、その腰をグッと引き寄せながら押し上げるように腰を動かす。剛の両手に包み込まれたお互いの熱い昂りがこすれ合い身悶える。そこに加えてくる剛の手の刺激。グッと握られて先端を弄られる。

《うわっ!すげぇ…めちゃくちゃ気持ちいい…!ヤバイ!ヤバすぎる~!》

「あ…ぁ…、ハァ…ハァ…ぁぁ…っ……」

脳天まで痺れるような快感が身体を突き抜けてゆく。呼吸が荒くなる。息を吐く度に小さく喘いでしまう俺。身体を震わせ息を乱しながらも、快感を求めて腰が動き続ける。

目の前の端正な顔、俺の愛おしい恋人、その男らしくて逞しい身体、その熱い息、甘く漏らす喘ぎ声、その全てを目に焼き付けるように見つめる。

完全受け身の剛は、俺の与える刺激に肌を震わせ、身体を小さく捩り、悩ましげな表情を見せる。軽く開いた口唇から僅かに覗く白い歯、唾液に濡れた赤い舌が艶かしく口唇を舐める。時折、キュッと下口唇を噛み締めては小さく呻き、苦しそうに喘いでは熱っぽい瞳が俺を見つめる。

「あ……あっ……、うぅ…っ……あぁ、弘…人…」

俺の名を呼ぶ声までもが甘い喘ぎ声のように響く。

「ハア…ハア…ハア……、剛……すげぇ…気持ちいい……、あ…あぁ…っ!」

時折、剛の手がググッと握り込んできてはグイグイと扱き上げるように動く。その度に腰がギュンと疼く。内なる熱いものを絞り出しされそうな強い快感に襲われて身体の奥がジーンと痺れる。その度に剛の身体に身を寄せる。

「あ、あ…あぁ…っ!……剛……」

何度目かの波に襲われてブルブルと全身が震える。腰を突き抜けるような強い痺れに膝がガクガクする。

剛の身体も小刻みに震えている。火照った肌は熱く、滲む汗で濡れている。大きく上下する胸板、荒く乱れる呼吸、剛の興奮が激しさを増す。握り込んでくる手にも力がこもり強く締め上げてくる。

「あぁ…っ、弘人…っ、うぅ……ハァ、ハァ…ハァ…もう、イキたい……ぁあ……」

切なく懇願するような甘い声がとろけてゆく。

「剛…、俺も…もう……、イキそう…、あっ、ああ…っ……もぅ、出る……」

その色気全開の声に脳がやられる。剛の手に締め上げられた我が身がヒクヒクする。全身がガクガクと大きく震える。

「弘人、握れ…っ!」

剛の手が素早く動いて俺の左手首を掴む。そのままグイッと引っ張られた手に感じる剛のその身、熱く硬くはちきれそうになっているそこは、内なる興奮を爆発させようと唸っている。俺は夢中で握り締める。

「思いっ切り出せ。俺も直ぐにイクから…。」

剛の手がググッと握り込んできて我が身を一気に扱き上げてくる。同時に、俺の左手ごと大きな手が包み込んで激しく動いた。

「はぁ…あぁっ!…あっ、ん……っ……うぅ……」

勢い良く弾ける感覚に脳内が真っ白になる。その後も絞り出されるような排出の快感に全身が痺れて息が詰まる。苦しいけれど気持ち良すぎる強い快感。

「ああっ!……はぁ…ぁ…っ…、んん…ぅぅぅ……」

全身が引き絞られるようにブルブル震える。締め上げる喉の奥から絞り出すような声が漏れる。もの凄い快感が俺の全身を駆け抜けてゆく。勝手に身体がビクビク痙攣する。

「ぅっ…んん…っ、ああ…っ!」

剛が息を詰めて小さく低く喉を唸らせる。ブルブルッと身体を震わせて悩ましげな声を上げた。同時に俺の手の中でドクンと脈打ち、内なる欲情が熱く激しく溢れ出す。更にググッと手を握り込まれて全てを吐き出すように動く。ドクン、ドクンと脈打つように溢れながら、俺の吐き出した欲情と剛の欲情が混ざり合うように重ねた手を熱く伝ってゆく。

暫くはそのままの状態で快感の余韻に身を浸す。荒い息づかい、火照った肉体、激しく脈打つ鼓動、手を濡らすヌルリとした生温かい感覚、その上からしっかりと握りしめてくる剛の手、何もかもが俺を包み込んで全てを満たしてくれる。

《すげぇ…こんなの初めてだ。思いっ切りイッた気がする…》

心臓の音が大きく鳴り響く。息苦しくて肩で大きく息をする。まだ、身体の震えが止まらない。脱力した身体に快感の余韻が染み渡る。時折、勝手にブルッと震える。気怠さと快感とが俺を包み込む。


俺の自慰行為は排出の快感だけだ。内なる興奮を抑える為に、荒々しく強引に吐き出させる。それが年頃の男の自然な生理的現象だと思っていた。

剛の身体を知ってからはその欲望と興奮が強くなった。それまでは何となくだった自慰行為が、剛を想う欲情に変わった。あの日の剛を思い出すだけで熱く疼く自分の身体、剛が傍に居るだけでムラムラしてしまう俺の中の男の欲望、それを吐き出して抑えなければならなくなった。疼いて半勃ちなるそれを荒々しく扱いて吐き出させる。その後に感じる罪悪感と虚しさが俺の胸を締め付けた。自分だけでは満たせない心と身体を持て余して涙が出た日もあった。そして、男の生理現象を恨んだものだ。

剛と一緒に過ごせる休日が何よりも楽しみだった。短い間だけ触れ合う時間、それが俺の全てを満たしてくれるのだ。ドキドキして身体が熱くなる。もっと求めたくなる。そんな自分を抑えながら、剛の優しさに包まれて幸せに身を浸す。一緒に居るだけで幸せを感じるその瞬間が最高だった。

《ヤバイな…。俺、これから先、我慢出来るかな…?!》

興奮しきった脳と熱く燃える心と身体が生み出す強烈な快感を知ってしまったのだ。そして、俺は剛の手によって思い切りイカされてしまった。剛の絶頂の顔を見る事も出来なかったのだ。


「弘人、最高に良かったぜ。」

少し気怠そうな剛の声、快感の余韻を残して低く甘く響く。そして、俺の髪の毛にチュッ、チュッと軽くキスをして頬ずりしてくる。その仕草が可愛らしい。愛おしい奴…。

まだ余韻に浸りきった俺の身体はグッタリしたままだ。呼吸を整えるのが精一杯で声も出ない。ただ黙って何度も頷くだけだった。

「弘人、思いっ切りイッたな。俺の顔、見れなくて残念か?」

剛がクスリと笑いながら言う。かなり満足そうな声だ。意地悪な奴…。

「悪いな、弘人…。そろそろ、足、下ろしてくれるか?」

「あ…、悪い。」

俺は剛の膝を抱え込んだままだった。慌てて腕を放す。身体がヌルリと滑り青臭さが立ち込める。2人の激しい欲情がお互いの身体を淫らに濡らしている。

《うわわっ!超恥ずかしい~!剛の顔見れねぇ~!》

興奮した脳が暴走してエロ心が炸裂した自分を思い出す。顔が一気に紅潮する。

「どうした?弘人…?」

剛のゆったりした優しい声。

「いや…、別に。」

俺は小さくボソリと答える。

剛がゆっくりと動いて俺の身体を抱きしめてきた。その手がヌルリとする。合わさった肌もヌルヌルする。2人でやった凄い結果に、思わず笑いが出てしまう。

「フフッ…フフフッ。」

「何だよ?何、笑ってんだ?!」

「剛、すげぇ出たな。」

「な、何だよ?!お前もだろ?」

「………フフッ。」

「笑うな!俺は身体がデカイ分だけ多いんだよ!」

「え…?そうなのか?」

「………。……知らねぇ。」

「剛、エロいぞ。」

「な、何?!………3日分だ。まだ、出せるぜ!」

「………。」

「………。……フフッ。」

「お前、スケベだな。」

「当たり前だろ。俺はスケベでエロい!」

そして2人で大笑いする。
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