俺達の行方【続編】

穂津見 乱

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いよいよ始まる〈3〉

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「弘人……好きだ…。愛してる…。」

剛がうっとりと呟く。髪の毛にフワフワと頬ずりしては優しくキスをしてくれる。なんとも甘くて優しい時間だ。2人して幸せに満たされているのを感じる。

《あぁ……すげぇ……幸せ……》

その温もりに包まれて、ずっとそうしていたくなる。だが、そういう訳にもいかないらしい。剛の口唇が首から肩へ、腕から背中へとゆっくり移動し始める。肌を這うように下へ下へと滑りながら甘く吸い付いてくる。時折、舌先で誘うように舐めてくる。
少しずつ身体をズラしてゆく剛をもっと近くに感じていたいと思ってしまう。

「剛、ちょっと待って。悪い、もうちょっとだけ…近くに居て欲しい。」

剛の腕に抱かれながらこんな事を言う俺は我儘で贅沢なのかもしれない。

「ああ、いいぜ。弘人、もっとイチャイチャするか?」

それでも、剛は分かってくれているらしい。ヒョイと覗き込んで来て頬にチュッと吸い付いてくる。少し戯れつくように耳を甘噛みしてくる。

「あ、あぁ…っ、剛…、それダメっ……」

思わず甘えた声が出る。どうやら、俺にも「甘えん坊」の要素があるらしい。剛の前ではすっかり乙女だ。

「フフッ、すっげぇ可愛いな。も~う、食ってやる~!」

剛も嬉しそうに笑う。ふざけるように耳や首や肩にカプカプと噛みつく真似をしてくる。その犬のような仕草が強烈に可愛らしい。

「も~う、やめろって~!バカ、くすぐったいって~!」

「やだ!やめな~い!」

軽くふざけ合ってはクスクスと小さく笑い合う。それが凄く幸せでならない。

「剛って、ホント可愛いな。もう、最高!」

「そうか~?俺に可愛いって言うのは弘人だけだぜ?」

「まぁな。普段の剛って甘えた所が無いからな。男らしくて頼もしい。」

「弘人もすげぇ男らしくて頼もしいぜ。それに、今日はヤバイぐらいに可愛いすぎて…もう、最高~!」

ますます調子に乗って大型犬のように戯れ付いてくる。

「だから~、噛みつくなって~!」

「お前を全部食ってやる~!」

「も~う、剛~!興奮しすぎだろ~!?」

「当たり前だ!今は最高に幸せだからな。興奮せずにいられるかよ!」

「うん。俺も、最高に幸せ!」

まったりと過ごすのも好きだが、こうして戯れ合っている時が何よりも嬉しくて楽しい。出逢った頃から変わらない剛は最高の親友でもある。その絆が更に固く強く深く結ばれて行くのだ。これ以上の幸せなどないだろう。これ以上に最高の関係などないだろう。

「じゃあ、やるか!」

「おう!……って、バカ!いきなりそういう事を言うなよ!?」

「ハハハ、相変わらずだな!弘人。」

ふざけながらもさり気なくリードしてくれる。俺の気持ちを汲み取りながら、しっかりと導いてくれている。

「なぁ、剛…?」

「ん…?何、弘人?」

「さっきみたいに…またやるのか?」

「前立腺か?男同士でやる時は、挿れた方が相手の前立腺を先っぽで擦ってやるのがいいらしいぜ。それがお互いに気持ち良くなれるやり方みたいだ。
でも、最初からは難しいだろうな。挿れるだけでも大変だからな。」

「えぇ?!男同士はそんな風にするのか?!」

「う~ん、まぁ、そうらしい。でも、最初はそれどころじゃないだろうけどな。弘人を気持ち良くしてやりたいけど…俺も初めてだから分かんねぇしな。」

「そうだよな…。剛も俺も初めてだからな…。痛いのは覚悟してる。お前のを見てるから…。」

「ハハハ…、挿れるのはキツかったけど、すげぇ感動したぜ。それに、嬉しかった。」

「うん、俺もすげぇ感動した。だから、今度は…剛が俺の中に挿れてくれ。」

「勿論だ。キツくても頑張れるか?」

「ああ、俺も…勿論だ!」

「分かった。でも、どうしても無理ならちゃんと言えよ。」

「いいよ、剛…。全部、お前に任せる。だから、俺を受け取れ!」

「ああ、勿論だ!お前の全部…俺が貰うぜ。弘人、愛してる。」

しっかりと見つめ合う視線、お互いの瞳の奥にある情熱の炎が燃え上がる。重ね合う口唇から熱い吐息が漏れた時、互いに求め合う心と身体がより深い繋がりへと歩みを進める。

「弘人、後ろからやるけどいいか?」

俺の身体をクルリとうつ伏せにしてグイッと腰を引き上げながら剛が言う。

四つん這いの格好になる俺は両肘を着いてどうにか頭を持ち上げる。だが、剛の顔が見えない不安を感じてしまう。覚悟はしていても、何をどうされるのかが全く分からないというのは落ち着かないものだ。せめて、剛の顔を見ていたい。

「剛、顔が見えないのは嫌だ。」

「フフッ、分かってる。それは俺も同じだ。挿れる時は、お前の顔を見ながらやりたい。」

そういえば、剛と初めてセックスをした時に、剛も同じ言葉を口にしていたのを思い出す。あの時の俺にはそんな余裕さえも無かったような気がする。

「分かった。俺も…お前に任せる。」

今でも忘れはしないあの日の思い出。あれから約2年近く経った今、こうして再び結ばれる時を迎えたのだ。

……この繋がりは永遠の約束……

……二度と離れない永久の誓い……

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