幽霊嫌いの俺と幽霊少女

gausu

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幽霊嫌いの俺と幽霊少女

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俺は幽霊が嫌いだ。あんな対話ができるかわからない奴ら怖いに決まっている。いや怖いんじゃない嫌いなだけだ!





「じゃあお前は対話ができたら怖くないのか?」





彼は親友の中村大輝が雑に聞いてくる。彼は俺が幽霊嫌いと知っているしこの話題は何度も話した。







「それは分からん!実際に会ってみないとな!だから俺は幽霊が怖いんじゃなくてそう言う執念みたいなものを死後までもって、しかもこっちの話を聞かない輩が嫌いなんだ!断じて怖いわけじゃない!」





大輝はあきらめたようにため息をつく。







「そんな事言うなら祐樹!お前旧校舎に行って来いよ!なんかな?最近出るらしいぜ?友達になって?とか言って了承した奴を殺すらしい」





「おいおい冗談やめろよ!嘘つくなよ誰かが死んだなんて話聞いてないぞ?」





大輝は驚いた顔をする。





「いや、あっただろ?半年前だぞ?」





あ、あったわ。俺は大輝をそこそこ強い力で叩く。







「おい!マジやめろよ!俺の7限の選択科目旧校舎なんだよ!」



大輝は叩かれた背中をさすりながら謝った。

そして5限6限と進みついに7限だ。いや、怖くないぞ?幽霊が嫌いなだけだ!



俺に友達と呼べる人間は大輝しかいない。だが大輝は保険の選択科目だ。故に俺は一人で旧校舎に来た。





「はぁ~なんで調理の科目取ちゃったんだろうな?ほんと失敗だったわ~」



俺は他の人がピーマンを刻むのを見ながらそうぼやく。だがそれを同じ班の女の子が聞いていた。





「いやいや?結構役に立つと思うけどね?それとも門脇君は将来、奥さんにそういうの全部やらせるの?」



そうだな大事かもな、俺が結婚できるとは思えないが…逆に自炊とか大事だしまじめにやるか!!気持ちを切り替えまじめに取り組もうとした瞬間



「はい~今日の調理実習終わりです!片付けした班から帰って良し」



えぇ~タイミング悪!





「門脇君何もしてなかったから片付けよろしく!」





先生の掛け声を聞くとみんな帰る。あ…旧校舎に一人...



30分かけようやく片付けが終わる。



あ”~まじ疲れた早く旧校舎を出ようと駆け足で下駄箱まで向かう。だが旧校舎のドアを開けようとしたが閉まっていた。やばい!ゆゆゆ幽霊が出る旧校舎に一人!何で閉まってんだよ!ちゃんと確認しろ!あほ教師!





「誰か!いないか~?開けてくれ!」



そう叫び一時間が経過した。もう最終下校時刻を大幅に過ぎている。終わった。ここで幽霊とパーリナイだ。



他の出口を探そう。そう思い科学室などをしばらく探すと物音がした。



「ぎゃあぁぁゆゆゆ幽霊!」





俺は全力で下駄箱に走る!





「出してくれ!頼む!お願いだぁぁぁ」





「何してるんですか?」





そう言ったのは幽霊ではなく女の子だった。なんだよ!あ~びっくりした。



「君はなんでここに?君も閉じ込められた口か?」



女の子は戸惑いながら答える





「え、あ、うんそうだよ、閉じ込められちゃった。困ったね」





全然困ってなさそうなんだけど…ってかもう7時だ。お腹すいたな。調理実習で使ったものの余りがあるかもしれない。今回は学校が悪い、勝手に食べても問題ないだろう。



俺は調理準備室にあるコメを勝手に持ち出しチャーハンを作った。いや~早速役に立つとは、調理の選択科目取ってよかった。





俺は、旧校舎玄関で見つけた女の子とご飯を食べる。話題がない・・・とりあえず自己紹介しよう。





「・・・あ、俺、門脇祐樹っていうんだ。短い間だけどよろしく。」



女の子もチャーハンを食べる手を止め自己紹介を始めた。



「私、桜木千穂よろしく・・・チャーハンおいしいね。そういえばスマホで助けとか求められないの?」



おっといけない俺はスマホの存在を完全に忘れていた。誰にかけようか?

結局一番初めに思い付いたのは親友だった。通話をかけようとするがつながらない・・・圏外だ。嘘だろ?



窓の近くに寄って振ってみたがつながらない。窓を開けようとして驚いた。接着剤を付けたようにがっちりと固まって動かない。



おいおい!ついに出るのか!幽霊!俺がカタカタ震えていると桜木はご飯を食べ終えたようで俺の皿も洗い始めた。



だが不自然なことがある。皿は水をはじいている。そこに違和感はない、だが皿を洗う彼女の手が水を弾かずそのまま透けて流れていく。





俺は呼吸するのを忘れた。





「桜木!おおおおお前!幽霊だったのか!」



走って逃げようとしたが扉は開かない。そして桜木はこう言った。逃がさないよ?





逃がさないっていやいや?やばいって!俺は走り調理室から出ようとする。だが扉は開かない



「逃がさないって言ってるでしょ?」



桜木が迫ってくる。



「ふざけんな!お前となんか絶対ともだちにはならないぞ!悪霊退散!」



桜木があきれた声で話し始める。



「だから!私はあなたを守っているの!ここから出たらほんとに死ぬよ?優子ちゃんに呪い殺されないように私が守ってあげる。私みたいな被害者を増やさないためにね」



はっとした、半年前交通事故で死んだ女子生徒か・・・最近噂になっているのはこいつだ。

なのになぜその優子という奴は知られていない?



「簡単だよ・・・優子ちゃん生者はみんな殺して友達にしようとするからね。しかも死因はごく一般的なものに限られる。」





俺の考えを読んだようで疑問に答えた。考えを読めるのか?



「ううん?読めないけど?私小さい頃から人の顔色ばっか読んでたから何となくわかるようになっただけ、とりあえず匿うからおとなしくして!」



しばらくおとなしくしているとおぞましい気配がする!これが優子!今俺のいる教室の前だ。





「千穂ちゃん?いるの?出てきてよ?あそぼ?ん?生者の臭い!まさかいるの?千穂ちゃん開けて?その子とも友達になりたいな?」



怖いことを言う。桜木はしーと指を口の前に添え静かにと伝えてくる。



「いないよ?優子ちゃん。私今日は一人になりたいの。ほっといて」



そう言うと優子は怒り始める。



「嘘つかないで!何で嘘つくの?私は嘘を生者が嫌いだから嘘つきとは友達になれないから殺したのに何でよ!いるでしょ出てこい!人間!人間が私の友人を奪うなぁ!」





どんどんと扉を叩く音がする壊れそうだ!だが俺は怒っていた。こいつ人の命をなんだと思っている。



自分が生者を信じれないから殺すだと?俺が嫌いな典型例だ。こいつは消そう。

俺はカバンに入った。お祓い用の塩と対霊専用のグローブを出す。これがあれば攻撃が可能だ。



その一式を見て桜木は俺に飛び掛かる。



「何をする!離せ!奴は害だ!ここで消す!」



桜木は必死に俺を止める。



「やめて!そんな力業よくないよ!私だって優子ちゃんはよくないって思ってる。だからこそ!そんな力技の解決はダメ!」



「だけどどうするんだ!奴はこのままだと人を殺し続けるぞ!」





私が話す!そう言うと彼女は戸の前に立つそして語り始めた。



「私は、あなたの事を友達って思っているよ?仮に私が生きててもそう思う、友達って無理やりなるものじゃないと思うの。優子ちゃんに生前どんなことがあったかわからない。でもね?自分が信じられないからって人に自分の都合を押し付けるのよくないと思う!」



「私は、優子ちゃんの友達だから!友達だから間違っていることは間違っているって言うよ!優子ちゃんがやっているのはただの人殺し!」





そこまで言うと桜木は深呼吸した。



「嘘だ!千穂は私にそんなこと言わない!そこの人間に騙されているんだ!」



急激に呪力が増大する。これはまずい!呪力はそれ単体でも恐ろしい力を持つそれがここまで集まると元の優子の人格は消え願いだけをかなえようと暴走する化け物になるはずだ。



そしてその影響は現世に反映される。彼女の願いそれは友達が欲しいなのだ、だが正者は信用できないと言っていた。つまり間もなくこの世界は死者の国になる可能性がある。という事になる。



優子が実体化し旧校舎は崩壊した。どんどん巨大化する優子に対し桜木が止めに入る。

だが無情にも吹き飛ばされ優子に捕まり食べられそうになる。



「ツカマエタ!アハハハハワタシタチハトモダチィィ」



もうまともな理性もない仕方ないな。

俺は、陰陽師も行ったとされる「九字護身法」「九字」の呪文を使った悪霊退散、霊的儀式を開始する。

俺は、とある霊を撃退するために本格的に退霊の技術を習得していた。かなり強い霊感があり霊的なことへの才能があった。



「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前」



そう言って彼女に対霊効果のある剣を突き出した。効果は劇的だ。あっという間に邪気が挿し口から飛び散り、胸に穴の開いた優子が出てきた。



「うぐっ助けて千穂ちゃん」



苦しいみただサクっと楽にしよう。そう思い近づくが桜木が俺を静止させる。



別れの言葉を言うようだ。しばらく席を外しておこう。5分ほどして帰ってくると優子は成仏していた。



「やるじゃないか桜木・・・お前も成仏させてやろうか?」



「ううん。いい遠慮する。そろそろ警察来るだろうし早めに退散しな?」



そう彼女の警告を受け俺は学校を後にした。





後日

「なぁ!旧校舎壊れるところを見たやつがいたらしいんだけどな。化け物がいたんだってよ!これはかなり信憑性高いところからの情報さ、写真もある!」



そういって俺の親友、大輝が楽しそうに話しているのを横目に思い出す。

あの後朝になって桜木を探したが見つからなかった。成仏したらしい。そんなことを考えていると周りが騒がしいことに気が付いた。



教室の戸に目を向けるとそこには事故で死んだと言われていた桜木千穂がいた。



「や!勇者君!」



桜木は俺にそう言った。これが俺と桜木の出会いだっった。









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投稿を始めたのが最近という事もあり完結したモノを出すには初めてです。

短編を書こうと思い立って2時間程度あまり設定を深く考えずに書いてしまいました。

面白いと思っていただけたら幸いです。

またこの作品が好評だった場合は長編の物として構成を若干変え投稿する予定です。

なので面白かったと思っていただける方はぜひブックマークと☆評価お願いします。感想もお待ちしています
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