【完結】兄ちゃんに飼われた夏休み

ナツキ

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1、捕まる

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「兄ちゃん……どういうことだよ」


玲央は目の前に広がる光景に唖然としていた。

「やあ、久しぶり。待ってたよ」

兄の光太はベッドに横たわる、ミオの身体を優しく撫でていた。その手は太ももを這い、やがてスカートの中まで入り込もうとしていた。

「ミオちゃん!!」

玲央は慌てて駆けつけ、兄の右手を掴んだ。光太をにらみ、続いてミオちゃんの顔を確認すると、彼女は意識がないようで無反応だった。

「兄ちゃん、やめてよ。ミオちゃんに何したの」

「お前がちっとも来ないからじゃないか」

光太は平然と、この状況を弟のせいにした。

「お前が代わりになるなら、ミオちゃん解放してあげるけど?」

「……ッ!!」

「どっちでもいいよ?  ミオちゃんも、オレに喜んでついてきたんだからなあ」

「……ぅうっ」

玲央は焦った。4ヶ月ほど前、兄が進学と同時に一人暮らしを始めたことで、ようやく離れられたのに、幼なじみを利用して再び接触をしてきたのだ。悪夢のような日々が思い出され、血の気が引いた。

「なん……で」

「サッカーが忙しい、という理由でオレを避け続けていただろ。土日に帰っても、不自然なほど部活、部活で家にいなかったもんなぁ。でもさ、母さんに聞いたよ?」

玲央は、6月に足を怪我していた。そして、それはすぐには復帰できないほどの重傷だった。

「今サッカー休んでるんだって?」

冷ややかな、怒りを含んだ言い方だった。

玲央はあきらめ、「わかった」とだけ返事し、ミオを連れて帰ることにした。

「タクシー呼ぶよ。玲央は、送り届けたらうちに泊まる用意して戻ってこい。ああ、その前にこれをつけていこうな」


光太の指差す方には、アナルプラグが置かれていた。

玲央は小さく、力なく頷いた。











ガチャ、とドアが開いた。

「いらっしゃい、待ってたよ」

中に入ると、光太は玲央を抱きしめた。

「あぁ、やっとオレのものだ」

そう言って、玲央の予想とは裏腹に丁重にもてなしてくれた。

「夕飯作ったから食べよう。玲央の好きなものばかりだろ」

テーブルには、兄の言う通り自分の好物ばかり並べられていた。

怯えながら、ローソファーに腰かけると、光太は嬉しそうにお茶をついでくれた。

「いっしょに食べるの久しぶりだな」

「今まで来れなくて、ごめんね兄ちゃん」

いいよいいよ、と光太は嬉しそうに返事した。






「それで、今のサッカー部はどういう感じ?」

当たり障りのない会話をしばらくしたあと、光太は部活について尋ねた。玲央は、自分が光太を退けた部活について語るのは不安だったが、彼から聞いてくれたので喜んで答えた。


「結局、故障者が増えちゃって。5、6人できなくなったかな。それで控えも足りなくなって、今コーチが同好会の方から引き抜きしようとしてるよ。一ノ瀬涼、ていうめちゃくちゃ上手い奴がいるんだ」

「へえ……」

「もう一人あまねくんて奴もいるんだけど、こいつは勉学優先らしくて無理そうなんだ。涼は特進科だけど、先生の期待を背負ってないらしくて、部活の方にも顔出してくれそうなんだ」

「そっか」

光太はしばらくは穏やかに傾聴するも、やがて笑顔が揺らぎはじめ、瞳の奥に嫉妬が現れたが、玲央はそれに気付かない。

玲央はひたすら、サッカー部のメンバーについて語り続けていた。

「さっき言った、新しいメンバーの涼てやつはすげーイケメンで、フィールドに出るとなおさらかっこ良さが増すよ。オーラが違うんだよなぁ。━━━━ッ?!」



テーブルについた玲央の左腕に、光太は自分のフォークをそっと当てる。

「その、一ノ瀬ってお前のなんなの」

ハッと気付いたときには、すでに遅かった。
光太の嫉妬が、右手に持ったフォークに狂気をはらんで鋭利に突き立てる。

玲央は慌てて弁解しようとしたが、軽く当てられていたフォークがメリメリと皮膚を侵していき悲鳴を上げた。

「兄ちゃっ……い、痛い」

「なに自慢してるんだよ」

「して、してないよ」

「オレがさー、大学で一から人間関係築くのに必死になってるときに、玲央は楽しーくお仲間とサッカーしてたんだなぁ?  一ノ瀬ってのが、お前の気に入りなのか?  さっきから褒めまくってたもんなあ!!」

「ち、違うよっ、ごめん……」

めり込んだフォークの先から血が滴り、なお力を緩めようとしない光太に、玲央は恐怖のあまり硬直した。見開いた目は兄を見つめたまま、瞬きすらできなくなっていた。次第に心拍数も上がり、まるでか弱い小動物のようにバクバクバクと高鳴っていた。




忌まわしい過去が、甦る。


高3だった兄に、犯され続けたあの日々が……
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