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①
9/おかずな人とシコい兄
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ガムとの約束なんかもうどうでもいい。
モモちゃんとのやわらかいえっちも、ガムとの倒錯的なそれからも、ナギとの情事に比べたら雲泥の差だ。
甘く官能的な誘惑に負けて、オレは用務員室奥に設置された仮眠室へと足を踏み入れた。
「んっ……ま、って……」
戸棚で見えなかったそこに辿り着くやいなや、ナギは飢えていた動物のように愛撫し始めた。
性欲にまみれたオレが待てと言いたくなるくらいにナギはがっついている。
グチュグチュと汚らしい獣のような深いキスをされ、オレは酸素が足りずにたどたどしく喘いだ。
「んあっナ、ナギィッ……」
咥内を犯されながら乳首を摘まれ、股間は右膝で刺激され、ビクビクと身体が痙攣した。
「クオン……」
オレの悶える様子に余裕な顔をして微笑むから、オレは息も絶え絶えに煽ってやった。
「っ……お前、かっこいいくせに、なんでこんな下品なキスすんの」
「気持ちいーんじゃないの?」
わざとらしく驚いた声を上げるもんだから腹が立ったけど、オレはもっともっと気持ちよくなりたかったので兄に服従する。
「気持ちいーに決まってるじゃん……」
「クオン……」
プチュ……クチュ……
「はぁ……クオン……ちんぽこすってやるから、脱ぎなよ」
「ん……」
オレはキスを受けながらハーフパンツとトランクスを下ろし、ナギの手を誘導する。
激しい獣のキスは、オレの欲求を満たすに十分で、ちんぽはバキバキになり今にも破裂しそうだった。とろとろ流れ出る先走りを塗りつけながら扱かれると、オレは何度も初めての快感を得ておかしくなりそうになる。
「んっ♡ん゛ん゛っーーー♡♡♡」
「イキそ? まだダメだよ」
ふいに、ナギは扱く手をやめた。
「んぁ……」
はぁ、はぁと束の間の休息で酸素を脳に送る。
細胞のひとつひとつが、ナギの刺激に鼓舞していた。沸き立つような感情は、ナギが兄だということもそれで不快な思いをしていたことも帳消しにしてしまった。
きっとオレの理性はぶっ飛んだんだろう。ただただエクスタシーを求めるサルのような感覚だ。目をつぶり、同じ顔のあいつを思い浮かべる。あの冬毛の鳥のような頭をしたかわいい彼も、実はオレと同類でこんなことしてんのかななんて思ったりし、淫らな様子を想像してピクピクと甘イキを繰り返した。
兄の病的な偏愛の行先に、ついに気づかなかった。
「うっ………」
ドビュッドビュッ
「はぁっ♡はぁっ♡」
「いっぱい出たね♡クオンの、舐めていい?」
どろりと右手にへばりついた精液を、ナギはおいしそうに舌を這わせる。
「初めてクオンのザーメンもらえた♡♡♡」
「きも……」
ふー、と長い息を吐き、呼吸を整える。
「ナギ、キスうまいね」
「そう? 良かった」
ナギはにこにこと水かきを舐めながら返事をする。その表情は、とんでもなくエロかった。約束がなければ、もう少し相手してやってもいいなと思うほどだ。
だがオレは鍵を無くしたガムがかわいそうだと思い、服を整えたあとリュックからスマホを取り出した。
ーーー鍵あった?
オレはガムがどんな状況か確認しようと、まずはメールを打ってみた。用務員室から出たら電話してやろう。
そう考えていた。
お気楽なほどに、ナギの溺愛ぶりを軽んじていたんだ。
オレがのらりくらりとリュックを背負う頃、ナギは左手でスマホを取り出し、画面を確認していた。そうして、オレが背を向け二歩三歩歩く刹那の時間に、素早くタイピングしていた。
ーーーない
同時に、オレのスマホに返事が来た。
「……」
仮眠室から出る前に、戸棚を曲がる前に、ナギの方をちらりと見やる。
ナギはこちらを見て微笑んでいた。
「……じゃあな」
ゾクっと悪寒が走り、オレは慌てて別れの言葉を告げる。
無言のまま、ナギは手を振った。
自転車のサドルに座り、オレはガムに電話をする。
「あ、ガムー今どこ?」
「……。……ははっ」
「……なに……」
笑う声は、ガムの声色とは違った。再び、オレを恐怖が支配する。
背後でドアの開く音がした。
「「まだ気づかないわけ」」
二重に聞こえたナギの声は、穏やかで慈愛に満ち、純真な乙女のごとく澄んだものだった。
オレは、逃げた。
モモちゃんとのやわらかいえっちも、ガムとの倒錯的なそれからも、ナギとの情事に比べたら雲泥の差だ。
甘く官能的な誘惑に負けて、オレは用務員室奥に設置された仮眠室へと足を踏み入れた。
「んっ……ま、って……」
戸棚で見えなかったそこに辿り着くやいなや、ナギは飢えていた動物のように愛撫し始めた。
性欲にまみれたオレが待てと言いたくなるくらいにナギはがっついている。
グチュグチュと汚らしい獣のような深いキスをされ、オレは酸素が足りずにたどたどしく喘いだ。
「んあっナ、ナギィッ……」
咥内を犯されながら乳首を摘まれ、股間は右膝で刺激され、ビクビクと身体が痙攣した。
「クオン……」
オレの悶える様子に余裕な顔をして微笑むから、オレは息も絶え絶えに煽ってやった。
「っ……お前、かっこいいくせに、なんでこんな下品なキスすんの」
「気持ちいーんじゃないの?」
わざとらしく驚いた声を上げるもんだから腹が立ったけど、オレはもっともっと気持ちよくなりたかったので兄に服従する。
「気持ちいーに決まってるじゃん……」
「クオン……」
プチュ……クチュ……
「はぁ……クオン……ちんぽこすってやるから、脱ぎなよ」
「ん……」
オレはキスを受けながらハーフパンツとトランクスを下ろし、ナギの手を誘導する。
激しい獣のキスは、オレの欲求を満たすに十分で、ちんぽはバキバキになり今にも破裂しそうだった。とろとろ流れ出る先走りを塗りつけながら扱かれると、オレは何度も初めての快感を得ておかしくなりそうになる。
「んっ♡ん゛ん゛っーーー♡♡♡」
「イキそ? まだダメだよ」
ふいに、ナギは扱く手をやめた。
「んぁ……」
はぁ、はぁと束の間の休息で酸素を脳に送る。
細胞のひとつひとつが、ナギの刺激に鼓舞していた。沸き立つような感情は、ナギが兄だということもそれで不快な思いをしていたことも帳消しにしてしまった。
きっとオレの理性はぶっ飛んだんだろう。ただただエクスタシーを求めるサルのような感覚だ。目をつぶり、同じ顔のあいつを思い浮かべる。あの冬毛の鳥のような頭をしたかわいい彼も、実はオレと同類でこんなことしてんのかななんて思ったりし、淫らな様子を想像してピクピクと甘イキを繰り返した。
兄の病的な偏愛の行先に、ついに気づかなかった。
「うっ………」
ドビュッドビュッ
「はぁっ♡はぁっ♡」
「いっぱい出たね♡クオンの、舐めていい?」
どろりと右手にへばりついた精液を、ナギはおいしそうに舌を這わせる。
「初めてクオンのザーメンもらえた♡♡♡」
「きも……」
ふー、と長い息を吐き、呼吸を整える。
「ナギ、キスうまいね」
「そう? 良かった」
ナギはにこにこと水かきを舐めながら返事をする。その表情は、とんでもなくエロかった。約束がなければ、もう少し相手してやってもいいなと思うほどだ。
だがオレは鍵を無くしたガムがかわいそうだと思い、服を整えたあとリュックからスマホを取り出した。
ーーー鍵あった?
オレはガムがどんな状況か確認しようと、まずはメールを打ってみた。用務員室から出たら電話してやろう。
そう考えていた。
お気楽なほどに、ナギの溺愛ぶりを軽んじていたんだ。
オレがのらりくらりとリュックを背負う頃、ナギは左手でスマホを取り出し、画面を確認していた。そうして、オレが背を向け二歩三歩歩く刹那の時間に、素早くタイピングしていた。
ーーーない
同時に、オレのスマホに返事が来た。
「……」
仮眠室から出る前に、戸棚を曲がる前に、ナギの方をちらりと見やる。
ナギはこちらを見て微笑んでいた。
「……じゃあな」
ゾクっと悪寒が走り、オレは慌てて別れの言葉を告げる。
無言のまま、ナギは手を振った。
自転車のサドルに座り、オレはガムに電話をする。
「あ、ガムー今どこ?」
「……。……ははっ」
「……なに……」
笑う声は、ガムの声色とは違った。再び、オレを恐怖が支配する。
背後でドアの開く音がした。
「「まだ気づかないわけ」」
二重に聞こえたナギの声は、穏やかで慈愛に満ち、純真な乙女のごとく澄んだものだった。
オレは、逃げた。
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