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3、素直になります
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このままキスを続けたら、感じちゃうかも。
感覚を、戻せるかもしれない。
涼くんのキスを受けながら、俺は自分の身体が反応しそうな気配を感じ取った。
ふはぁ……
吐息が漏れて、物欲しそうな瞳で涼くんを見つめる。
涼くんは再度、俺の股間に手をやり、反応してるか確認してきた。
「硬くなってないけど……感じた?」
「はぁ、はぁ。……すっごい気持ちよかった」
「やっぱり? 顔がエロくなってる」
「恥ずかしい……あー、俺、涼くんには素直に言うことにする。小悪魔やめます」
「ははっやっぱ小悪魔ぶってたの? あまねは、素で小悪魔なところあるから、わざわざやる必要ないよ?」
「うん、ごめん~」
はぁ、はぁと上がった息を整えて、俺は涼くんの胸元に抱きつく。
「涼くん、大好きだよ」
ケントさんから十分な愛情をもらえてるのに、その身体で涼くんに愛をささやいてしまう。
俺はどれだけ淫乱なんだろう。
乾いたスポンジのように、どこまでもどこまでも愛を欲しがる。
長く飢えていた気持ちを、どうしてもケントさんだけでは抑えきれない。
もう向井天音になったというのに。
ひどいやつだなあ。
ほんとうに、俺はひどい。
そんな俺を、涼くんが好きになってくれたのはなんでだろう?
ケントさんは、自身の病気が俺といることで治った、と告白してくれた。
ずっと宙に浮いているような感覚で生きていたらしいけど、俺と出会ったことで意識が肉体にくっついたと言っていた。離人症、という病気だって。精神的なものだから、治療があるわけではなく。
人間らしくなれた、と言っている。だから俺は特別な存在なんだって。
まあ、その前にケントさんの親友結城直哉さんもそんな存在みたいだけど。
まあその話は割愛。
今は涼くんとの話。
涼くん、俺のどこがそんなに気になってくれてるんだろう? 俺は自分に自信がないから、正直良いところがわからない。
鈍感だし。陰キャだし。
色気が出てきた、とか美人になってきた、とは言われたな。
うまがあう、てことなんだろうな。なんでか意気投合しちゃった。それが、こんな深いところまできちゃったんだ。
俺のすべてを、話してみたくなった。
親友とのお揃いをちょっと大事にしまってた、ほほえましいエピソードとして終われるのに。
さらけ出してみたくなった。
涼くんは、俺がなんとなく家庭環境が悪いと思っている。つい2ヶ月ほど前に、親父とのエピソードをいくつか話したから、毒親育ちなのは知っている。
「涼くん、俺、ずっと寂しかったんだ」
リビングへ移動してる最中に、俺はさらっと言った。
軽く、話していこう。神崎壮太郎の話も笑い話になるかと思ってたけど結局笑えなかった。重い空気にはしたくなかった。
「さっきのフィギュアとかガラクタはね、俺が幸せだ~て思ったものを詰めこんでた。家族に恵まれなかったから、俺いっつも寂しくて辛かった。だから、引き出しの中に幸せを集めて眺めてた。でもそういう感情を持ってること、誰にも知られたくなかったから隠してた」
だから、なんとなく一線ひいていたんだ。
……わかったかな?
リビングのドアを開け、涼くんを中へと促す。
涼くんはなにも言わずに、荷物をテーブル下に置いた。
それからゆっくりと振り返って、俺に言ってくれた。
「あまねが寂しがりなのは知ってたよ?」
そっか。
……だよね。
たぶん、涼くんにはダダ漏れだったよね。
いつも、いつも気にして部屋に来てくれた。
キスをして、抱きしめて、俺の味方だと言ってくれて。
俺の性器を舐めてくれたこともある。
「ようやく言えるようになったんだな。臆病なのも、鈍感なのも、不器用なのも、全部知ってるよ。これから、もっと話してくれる?」
「……うん」
涼くんは優しく頭を撫でてくれた。
俺は向井天音なのに、涼くんからも愛情をそそがれたい、欲ばりでふしだらな男だ。
ソファに座って、真剣に画面を見ている涼くんを眺めながら、俺は自虐的に自分を貶めた。
でも。
この上なく幸せなんだ。
感覚を、戻せるかもしれない。
涼くんのキスを受けながら、俺は自分の身体が反応しそうな気配を感じ取った。
ふはぁ……
吐息が漏れて、物欲しそうな瞳で涼くんを見つめる。
涼くんは再度、俺の股間に手をやり、反応してるか確認してきた。
「硬くなってないけど……感じた?」
「はぁ、はぁ。……すっごい気持ちよかった」
「やっぱり? 顔がエロくなってる」
「恥ずかしい……あー、俺、涼くんには素直に言うことにする。小悪魔やめます」
「ははっやっぱ小悪魔ぶってたの? あまねは、素で小悪魔なところあるから、わざわざやる必要ないよ?」
「うん、ごめん~」
はぁ、はぁと上がった息を整えて、俺は涼くんの胸元に抱きつく。
「涼くん、大好きだよ」
ケントさんから十分な愛情をもらえてるのに、その身体で涼くんに愛をささやいてしまう。
俺はどれだけ淫乱なんだろう。
乾いたスポンジのように、どこまでもどこまでも愛を欲しがる。
長く飢えていた気持ちを、どうしてもケントさんだけでは抑えきれない。
もう向井天音になったというのに。
ひどいやつだなあ。
ほんとうに、俺はひどい。
そんな俺を、涼くんが好きになってくれたのはなんでだろう?
ケントさんは、自身の病気が俺といることで治った、と告白してくれた。
ずっと宙に浮いているような感覚で生きていたらしいけど、俺と出会ったことで意識が肉体にくっついたと言っていた。離人症、という病気だって。精神的なものだから、治療があるわけではなく。
人間らしくなれた、と言っている。だから俺は特別な存在なんだって。
まあ、その前にケントさんの親友結城直哉さんもそんな存在みたいだけど。
まあその話は割愛。
今は涼くんとの話。
涼くん、俺のどこがそんなに気になってくれてるんだろう? 俺は自分に自信がないから、正直良いところがわからない。
鈍感だし。陰キャだし。
色気が出てきた、とか美人になってきた、とは言われたな。
うまがあう、てことなんだろうな。なんでか意気投合しちゃった。それが、こんな深いところまできちゃったんだ。
俺のすべてを、話してみたくなった。
親友とのお揃いをちょっと大事にしまってた、ほほえましいエピソードとして終われるのに。
さらけ出してみたくなった。
涼くんは、俺がなんとなく家庭環境が悪いと思っている。つい2ヶ月ほど前に、親父とのエピソードをいくつか話したから、毒親育ちなのは知っている。
「涼くん、俺、ずっと寂しかったんだ」
リビングへ移動してる最中に、俺はさらっと言った。
軽く、話していこう。神崎壮太郎の話も笑い話になるかと思ってたけど結局笑えなかった。重い空気にはしたくなかった。
「さっきのフィギュアとかガラクタはね、俺が幸せだ~て思ったものを詰めこんでた。家族に恵まれなかったから、俺いっつも寂しくて辛かった。だから、引き出しの中に幸せを集めて眺めてた。でもそういう感情を持ってること、誰にも知られたくなかったから隠してた」
だから、なんとなく一線ひいていたんだ。
……わかったかな?
リビングのドアを開け、涼くんを中へと促す。
涼くんはなにも言わずに、荷物をテーブル下に置いた。
それからゆっくりと振り返って、俺に言ってくれた。
「あまねが寂しがりなのは知ってたよ?」
そっか。
……だよね。
たぶん、涼くんにはダダ漏れだったよね。
いつも、いつも気にして部屋に来てくれた。
キスをして、抱きしめて、俺の味方だと言ってくれて。
俺の性器を舐めてくれたこともある。
「ようやく言えるようになったんだな。臆病なのも、鈍感なのも、不器用なのも、全部知ってるよ。これから、もっと話してくれる?」
「……うん」
涼くんは優しく頭を撫でてくれた。
俺は向井天音なのに、涼くんからも愛情をそそがれたい、欲ばりでふしだらな男だ。
ソファに座って、真剣に画面を見ている涼くんを眺めながら、俺は自虐的に自分を貶めた。
でも。
この上なく幸せなんだ。
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