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2章 ゴブリンの砦
STORY36 黒豹 再び
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ラグト村のチェンジリング事件を無事に解決した暁の渡り鳥は、報告のために冒険者ギルドへと足を運んだ。
「はぁぁぁぁ……」
依頼完了報告を済ませ、報酬を受け取り、リャッカが深いため息をつく。
「どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないニャ…。あれだけ大変な思いをして、受け取る報酬が9万コルドなんてあり得ないニャ……。消耗品の補充やら武具の補修やらの必要経費を支払ったらほとんど残らないニャ………」
「でも、良かったよ。もしも依頼を受けずに放っておいたらラグト村はゴブリンに滅ぼされてたかもしれなかったんだよ?」
「僕もそう思います。たしかに実入りはなかったけど、充実した気分です」
「はぁぁぁぁ……。お人好しコンビがいるニャ……」
報酬よりもラグト村の危機を救えたことに満足しているリアーナとグランザにリャッカは再び深いため息をつく。
「ねぇ、そろそろ次の町へ行こうかなって思うんだけど、みんなの意見はどうかな?」
リアーナがメンバー全員に対して訊く。
「そうニャ。あたしは全然オッケーニャ」
「僕もいつでも大丈夫です」
「俺にも異論はない」
3人は賛成の意を表す。
「それじゃ…」
「ちょっと待てよ!」
リアーナが話をまとめようとした時、声をかけてくる4人組がいた。
「あなたがたは!」
グランザが声をあげる。
「なんだ、知り合いか?」
ウラボスがグランザの様子から察して訊いた。
「すっとぼけてんじゃねぇよ!!」
4人組のうちのひとり赤髪の剣士が声を張り上げる。意味がわからずウラボスは怪訝な表情を向けた。
「あの、ウラボスさん。彼らは僕とウラボスさんが買い出しの帰りに会った……」
グランザがウラボスの記憶を呼び戻そうとする。
「買い出しの帰り?」
ウラボスは記憶を探る。
「………………ああ! あの時の冒険パーティーか! たしか…黒猫?」
「バカ野郎! 俺たちは黒豹だ!!」
赤髪の男は怒鳴る。
「ウラボス、知り合い?」
リアーナが訊く。
「ラグト村へ出発する直前さ。買い出しの時にからんできた連中がこんな感じだったような……たぶん…」
「こんな感じだったとはなんだ!? ……まぁ、いい。そんなふざけた態度でいられるのも終わりだ。こっちは強力な助っ人を用意したんだからな!」
言って、後方を振り返る赤髪の剣士ゼル。
「そいつらが今回の獲物だな?」
歩み寄ってきたのは、ウォー・ハンマーを持った男であった。
「おまえたちが暁の渡り鳥だな。そこにいる黒豹の話だと相当に腕が立つと聞く。特に個人的な恨みはないが、これも仕事だ。手合わせ願おうか」
「それはどういうことですか?」
リアーナが毅然とした態度で対応する。
「そこにいる男とサイクロプスは俺たち黒豹に喧嘩をふっかけてきやがったんだ。そうなったら、こっちも黙ってられないからな」
「その件でしたら、わたしも聞いています。原因は、グランザが魔族というだけで、そちらが偏見的なことを言ってきたことだと聞きました。それに、ウラボスも無意味に力を行使することは絶対にありません」
ゼルは一歩も引かないリアーナを睨む。
「女がでしゃばってんじゃねぇよ!」
「わたしは暁の渡り鳥のリーダーです。黙るつもりはありません」
「……いいだろう。どうせ話し合いで片をつけようなんて思っちゃいねぇんだ。決着は黒豹と暁の渡り鳥の公式決闘でつけるってのはどうだ?」
ゼルの提案にフロア中からざわめきが起こる。
「公式決闘?」
ウラボスが訊く。
「公式決闘っていうのはね、冒険者同士で問題が発生して話し合いによる解決が見込めない場合、ギルド公認の決闘で決着をつける制度なの」
リアーナが説明する。
「へぇ、そんなのがあるのか。それってパーティーで戦うのか?」
「パーティー同士の総当たり戦、勝ち抜き戦、代表者による個人戦……。その時によっていろいろあるのよ」
リアーナがさらに詳しく説明した。
「まさか棄権するなんて言わないよな? そんなことをすりゃ、笑い者になるもんなぁ?」
「いいじゃないか。受けて立とうぜ、リアーナ」
ウラボスがリアーナに言う。それに対してリアーナは頷く。
「受けます。決闘方式は?」
ゼルは口角をあげる。
「代表者による個人戦だ。黒豹の代表は助っ人として雇ったデルガロックさんだ」
黒豹の代表者の名前に再びフロア中がざわめく。デルガロックは数々の武勇伝で知られる戦士であった。
「こっちの代表は俺でいいよな?」
ウラボスが言う。たしかに、暁の渡り鳥で最強はウラボスで間違いなかった。
「お願……」
「待ってください!」
リアーナの言葉をグランザが遮る。
「僕に戦わせてください。元々は魔族である僕が一緒にいたことから起きた決闘なんです。だから!!」
「……頑張ってね、グランザ。でも、無理はしないって約束して!」
グランザに懇願されたリアーナは決断する。
「はい! 任せてください!!」
こうして暁の渡り鳥と黒豹の公式決闘が行われることとなった。
「はぁぁぁぁ……」
依頼完了報告を済ませ、報酬を受け取り、リャッカが深いため息をつく。
「どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないニャ…。あれだけ大変な思いをして、受け取る報酬が9万コルドなんてあり得ないニャ……。消耗品の補充やら武具の補修やらの必要経費を支払ったらほとんど残らないニャ………」
「でも、良かったよ。もしも依頼を受けずに放っておいたらラグト村はゴブリンに滅ぼされてたかもしれなかったんだよ?」
「僕もそう思います。たしかに実入りはなかったけど、充実した気分です」
「はぁぁぁぁ……。お人好しコンビがいるニャ……」
報酬よりもラグト村の危機を救えたことに満足しているリアーナとグランザにリャッカは再び深いため息をつく。
「ねぇ、そろそろ次の町へ行こうかなって思うんだけど、みんなの意見はどうかな?」
リアーナがメンバー全員に対して訊く。
「そうニャ。あたしは全然オッケーニャ」
「僕もいつでも大丈夫です」
「俺にも異論はない」
3人は賛成の意を表す。
「それじゃ…」
「ちょっと待てよ!」
リアーナが話をまとめようとした時、声をかけてくる4人組がいた。
「あなたがたは!」
グランザが声をあげる。
「なんだ、知り合いか?」
ウラボスがグランザの様子から察して訊いた。
「すっとぼけてんじゃねぇよ!!」
4人組のうちのひとり赤髪の剣士が声を張り上げる。意味がわからずウラボスは怪訝な表情を向けた。
「あの、ウラボスさん。彼らは僕とウラボスさんが買い出しの帰りに会った……」
グランザがウラボスの記憶を呼び戻そうとする。
「買い出しの帰り?」
ウラボスは記憶を探る。
「………………ああ! あの時の冒険パーティーか! たしか…黒猫?」
「バカ野郎! 俺たちは黒豹だ!!」
赤髪の男は怒鳴る。
「ウラボス、知り合い?」
リアーナが訊く。
「ラグト村へ出発する直前さ。買い出しの時にからんできた連中がこんな感じだったような……たぶん…」
「こんな感じだったとはなんだ!? ……まぁ、いい。そんなふざけた態度でいられるのも終わりだ。こっちは強力な助っ人を用意したんだからな!」
言って、後方を振り返る赤髪の剣士ゼル。
「そいつらが今回の獲物だな?」
歩み寄ってきたのは、ウォー・ハンマーを持った男であった。
「おまえたちが暁の渡り鳥だな。そこにいる黒豹の話だと相当に腕が立つと聞く。特に個人的な恨みはないが、これも仕事だ。手合わせ願おうか」
「それはどういうことですか?」
リアーナが毅然とした態度で対応する。
「そこにいる男とサイクロプスは俺たち黒豹に喧嘩をふっかけてきやがったんだ。そうなったら、こっちも黙ってられないからな」
「その件でしたら、わたしも聞いています。原因は、グランザが魔族というだけで、そちらが偏見的なことを言ってきたことだと聞きました。それに、ウラボスも無意味に力を行使することは絶対にありません」
ゼルは一歩も引かないリアーナを睨む。
「女がでしゃばってんじゃねぇよ!」
「わたしは暁の渡り鳥のリーダーです。黙るつもりはありません」
「……いいだろう。どうせ話し合いで片をつけようなんて思っちゃいねぇんだ。決着は黒豹と暁の渡り鳥の公式決闘でつけるってのはどうだ?」
ゼルの提案にフロア中からざわめきが起こる。
「公式決闘?」
ウラボスが訊く。
「公式決闘っていうのはね、冒険者同士で問題が発生して話し合いによる解決が見込めない場合、ギルド公認の決闘で決着をつける制度なの」
リアーナが説明する。
「へぇ、そんなのがあるのか。それってパーティーで戦うのか?」
「パーティー同士の総当たり戦、勝ち抜き戦、代表者による個人戦……。その時によっていろいろあるのよ」
リアーナがさらに詳しく説明した。
「まさか棄権するなんて言わないよな? そんなことをすりゃ、笑い者になるもんなぁ?」
「いいじゃないか。受けて立とうぜ、リアーナ」
ウラボスがリアーナに言う。それに対してリアーナは頷く。
「受けます。決闘方式は?」
ゼルは口角をあげる。
「代表者による個人戦だ。黒豹の代表は助っ人として雇ったデルガロックさんだ」
黒豹の代表者の名前に再びフロア中がざわめく。デルガロックは数々の武勇伝で知られる戦士であった。
「こっちの代表は俺でいいよな?」
ウラボスが言う。たしかに、暁の渡り鳥で最強はウラボスで間違いなかった。
「お願……」
「待ってください!」
リアーナの言葉をグランザが遮る。
「僕に戦わせてください。元々は魔族である僕が一緒にいたことから起きた決闘なんです。だから!!」
「……頑張ってね、グランザ。でも、無理はしないって約束して!」
グランザに懇願されたリアーナは決断する。
「はい! 任せてください!!」
こうして暁の渡り鳥と黒豹の公式決闘が行われることとなった。
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