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6章 オーク大戦
STORY117 自分を責めるリアーナ
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「夕飯、どうしようか?」
ニギヤカ亭に戻る道中、リアーナが仲間たちに相談する。
「そっか。そういえば、遅くなるかもしれないって言っておいたんだったよな」
ウラボスが思い出したように言う。
「うん。でも、実際は予定よりもかなり早く終われたから……。いきなり戻ってもネネカさんが困っちゃうんじゃないかって…」
「たしかにそうですね。だったら、外で何か食べてから戻りましょう。打ち上げも兼ねて!」
グランザが提案する。
「それはいい考えニャ! 何食べるニャ?」
リャッカが乗り気になる。
「そうだな…俺はなんだっていいんだけど……」
「どうかしたの?」
歯切れが悪いウラボスにリアーナが訊く。
「その前に、武具屋に行って装備の修復と代わりを購入しておいたほうがいいんじゃないか? 特にリアーナは…」
言われて、リアーナは自分の装備を確認する。レザーアーマーは破損が激しく、衣服も所々が破れて肌が露出している。部分的ではあるがけっこう際どい箇所も見受けられた。
「きゃあ!」
恥ずかしくなって両手で破れた部分を隠す。
「ほら」
「ありがと!」
ウラボスが自分の上着を外して差し出してくれた。それを受け取り、身にまとう。
「ウラボスはいつから気付いてたのかニャ?」
「ん? いや、さっきだが?」
「本当かニャア? もっと前から気付いてたけど堪能していたとか?」
「あのなぁ…」
ウラボスが呆れたように言う。
「そうよ、リャッカちゃん。ウラボスはそんな人じゃないわよ!」
「ニャハハハハ! リアーナはウラボスになら見られても平気ニャ。なんたって一緒にお風呂……」
そこまで言った時、リーダーに口を塞がれてしまう。
「リャッカちゃん、どうかしたのかな?」
リアーナはニコリと笑む。
「……ごめんニャ……」
静かなオーラに圧されて黙ってしまうリャッカ。
(びっくりしたニャ。いきなり最強リアーナが登場したニャ。怖かったニャ……。さすがはウラボスやゼルアルをも黙らせる存在、恐るべし……)
リャッカは思わぬところで恐怖体験をすることとなった。
◎
武具屋に寄り、修理と替えの装備を購入した暁の渡り鳥は話し合いの結果、串焼き屋に来店していた。
「どうしたニャ?」
リャッカが焼き鳥をハフハフしながら無言で俯いているリアーナを気にかける。
「うん…」
リアーナは元気が出ない様子である。
「…ニーネとサナのことか?」
ウラボスが訊く。図星を言い当てられたリアーナは眼に涙を溜める。
「…うん……どうして、助けられなかったんだろうって……」
「そんな! あれはしかたなかったですよ! だって、同じ冒険者に裏切られるなんて予想できるわけないじゃないですか!?」
グランザが言う。
「うん、そうだね。それはね、わかってるよ? でも…でもね!……本当に気付けなかったのかって!……どこかで気付けるチャンスはあったんじゃないかって!…そんな風に思えてきちゃって……そしたら、なんだか自分だけが生き残ってよかったのかなって!」
リアーナは悔しさでスカートの裾を握り締める。
「リアーナ……」
リャッカがどう声をかけるべきか迷っている。
「リアーナ、ひとついいか?」
黙って発泡酒を飲んでいたウラボスが口を開く。リアーナはウラボスを見つめる。
「おまえ、自分を何だと思ってるんだ? 神にでもなったつもりか? だとすれば、思い上がりもいいところだ」
「ちょっ……ウラボスさん!?」
「な、なに言ってるニャ!」
グランザとリャッカがウラボスを止めようとする。だが、ウラボスは続ける。
「おまえは神じゃないだろ。ただの人間だ。そもそも、神であっても予想できないことだってある。まして、ただの人間が全ての災いを未然に防ぐことができるとでもいうのか? 気にするなとは言わない。反省することも大事だろう。けどな、避けようがなかったことで自分を責め、追い込んだところでどうなる? 自己満足のために利用されたんじゃ死んでいった者たちも浮かばれないだろうぜ」
突然、リアーナが立ち上がってウラボスを睨む。
「違う!! わたしは自己満足のためなんかに自分を責めてるんじゃない! もし、気付けるチャンスがあったのなら……」
「それがわかれば次に活かせるとでも? 訊くが、それがわかったとして、次に今回と同じような件があったとしよう。おまえは仲間である冒険者に疑念を持ったまま戦うのか? 彼らは自分たちを裏切ると疑いながら共闘するのか? それで本来の自分の戦いができるのか? そんな状態で戦っても周りの足手まといになるだけなんじゃないのか?」
「それは……」
ウラボスに指摘されて口ごもるリアーナ。
「俺から見て、リアーナはよく頑張っている。もっと自分に自信を持つべきだ」
「ウラボス……。うん、ごめんね」
リアーナは静かに着席する。
「それじゃ、食べるニャ!」
「そうですよ。食べて元気をつけて、また頑張りましょう!」
グランザとリャッカが言い、食事が再開された。
~6章 オーク大戦 完~
ニギヤカ亭に戻る道中、リアーナが仲間たちに相談する。
「そっか。そういえば、遅くなるかもしれないって言っておいたんだったよな」
ウラボスが思い出したように言う。
「うん。でも、実際は予定よりもかなり早く終われたから……。いきなり戻ってもネネカさんが困っちゃうんじゃないかって…」
「たしかにそうですね。だったら、外で何か食べてから戻りましょう。打ち上げも兼ねて!」
グランザが提案する。
「それはいい考えニャ! 何食べるニャ?」
リャッカが乗り気になる。
「そうだな…俺はなんだっていいんだけど……」
「どうかしたの?」
歯切れが悪いウラボスにリアーナが訊く。
「その前に、武具屋に行って装備の修復と代わりを購入しておいたほうがいいんじゃないか? 特にリアーナは…」
言われて、リアーナは自分の装備を確認する。レザーアーマーは破損が激しく、衣服も所々が破れて肌が露出している。部分的ではあるがけっこう際どい箇所も見受けられた。
「きゃあ!」
恥ずかしくなって両手で破れた部分を隠す。
「ほら」
「ありがと!」
ウラボスが自分の上着を外して差し出してくれた。それを受け取り、身にまとう。
「ウラボスはいつから気付いてたのかニャ?」
「ん? いや、さっきだが?」
「本当かニャア? もっと前から気付いてたけど堪能していたとか?」
「あのなぁ…」
ウラボスが呆れたように言う。
「そうよ、リャッカちゃん。ウラボスはそんな人じゃないわよ!」
「ニャハハハハ! リアーナはウラボスになら見られても平気ニャ。なんたって一緒にお風呂……」
そこまで言った時、リーダーに口を塞がれてしまう。
「リャッカちゃん、どうかしたのかな?」
リアーナはニコリと笑む。
「……ごめんニャ……」
静かなオーラに圧されて黙ってしまうリャッカ。
(びっくりしたニャ。いきなり最強リアーナが登場したニャ。怖かったニャ……。さすがはウラボスやゼルアルをも黙らせる存在、恐るべし……)
リャッカは思わぬところで恐怖体験をすることとなった。
◎
武具屋に寄り、修理と替えの装備を購入した暁の渡り鳥は話し合いの結果、串焼き屋に来店していた。
「どうしたニャ?」
リャッカが焼き鳥をハフハフしながら無言で俯いているリアーナを気にかける。
「うん…」
リアーナは元気が出ない様子である。
「…ニーネとサナのことか?」
ウラボスが訊く。図星を言い当てられたリアーナは眼に涙を溜める。
「…うん……どうして、助けられなかったんだろうって……」
「そんな! あれはしかたなかったですよ! だって、同じ冒険者に裏切られるなんて予想できるわけないじゃないですか!?」
グランザが言う。
「うん、そうだね。それはね、わかってるよ? でも…でもね!……本当に気付けなかったのかって!……どこかで気付けるチャンスはあったんじゃないかって!…そんな風に思えてきちゃって……そしたら、なんだか自分だけが生き残ってよかったのかなって!」
リアーナは悔しさでスカートの裾を握り締める。
「リアーナ……」
リャッカがどう声をかけるべきか迷っている。
「リアーナ、ひとついいか?」
黙って発泡酒を飲んでいたウラボスが口を開く。リアーナはウラボスを見つめる。
「おまえ、自分を何だと思ってるんだ? 神にでもなったつもりか? だとすれば、思い上がりもいいところだ」
「ちょっ……ウラボスさん!?」
「な、なに言ってるニャ!」
グランザとリャッカがウラボスを止めようとする。だが、ウラボスは続ける。
「おまえは神じゃないだろ。ただの人間だ。そもそも、神であっても予想できないことだってある。まして、ただの人間が全ての災いを未然に防ぐことができるとでもいうのか? 気にするなとは言わない。反省することも大事だろう。けどな、避けようがなかったことで自分を責め、追い込んだところでどうなる? 自己満足のために利用されたんじゃ死んでいった者たちも浮かばれないだろうぜ」
突然、リアーナが立ち上がってウラボスを睨む。
「違う!! わたしは自己満足のためなんかに自分を責めてるんじゃない! もし、気付けるチャンスがあったのなら……」
「それがわかれば次に活かせるとでも? 訊くが、それがわかったとして、次に今回と同じような件があったとしよう。おまえは仲間である冒険者に疑念を持ったまま戦うのか? 彼らは自分たちを裏切ると疑いながら共闘するのか? それで本来の自分の戦いができるのか? そんな状態で戦っても周りの足手まといになるだけなんじゃないのか?」
「それは……」
ウラボスに指摘されて口ごもるリアーナ。
「俺から見て、リアーナはよく頑張っている。もっと自分に自信を持つべきだ」
「ウラボス……。うん、ごめんね」
リアーナは静かに着席する。
「それじゃ、食べるニャ!」
「そうですよ。食べて元気をつけて、また頑張りましょう!」
グランザとリャッカが言い、食事が再開された。
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