冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

10章 レビオルムの惨劇

STORY160 急襲！②

　レビオルムの街は騒然としていた。ゾンビ、スケルトンなどアンデッドが跳梁跋扈ちょうりょうばっこしている。まるで地獄絵図だ。

　（アンデッドで攻めてきたか！　厄介なことをしてくれる！）

　ウラボスは即座に対応策を打ち出す。

　「アンデッドなら光属性・炎属性が有効だ。リアーナとリャッカは魔術が使えるからいいとして、魔術を使えないグランザはリアーナと行動を共にしたほうがいいだろう」

　「うん！」

　「了解ニャ！」

　「はい！」

　３人の仲間たちは承諾する。ウラボスはさらに続ける。

　「ただ、今回は数が多い。可能な限り放出系魔術は控え、付与魔術で攻撃しろ」

　ウラボスの指示に従って行動を開始する暁の渡り鳥。

◎

　エンダイク城への避難を呼び掛けながら、リアーナとグランザはレビオルムを駆ける。

　「やぁ！」

　光属性付与魔術ライト・ウェポンを施したレイピアは絶大な効果を発揮した。斬りつけたゾンビやスケルトンを一撃で葬ほうむり去る。

　「せやぁぁぁ！」

　グランザも光属性を付与された槍と戦斧で獅子奮迅の活躍を見せている。

　「あっ！」

　リアーナは声をあげる。視界に少年の姿が映る。その背後ではスケルトンが剣を振り上げている。

　「くっ！」

　瞬間的に全能力強化超魔術オールラウンドを発動させる。

　キィン！

　甲高い金属音がした。スケルトンの剣が少年に届く寸前。リアーナのレイピアがそれを弾き飛ばす。

　「逝きなさい！」

　リアーナはレイピアを横に一閃する。首を切断されたスケルトンはその場で崩れ落ちた。

　「ヌガァ！」

　ホッとしたのも束の間。周りにゾンビの群れが押し寄せる。

　「リアーナさん！」

　グランザの槍と戦斧が凄まじい勢いでゾンビを蹴散らしていく。

　リアーナもレイピアを閃かせる。が、足下の子供を守りながらでは動きが制限されてしまう。

　「どこかケガはしてる？」

　リアーナは少年をなるべく怯えさせないように訊く。

　「足が……」

　少年が足に負った傷口を見せる。スケルトンによって斬られたのか、深い傷から血が流れ出ている。

　「……グランザ、暫く敵の相手をお願いね！」

　「はい、任せてください！」

　リアーナはレイピアを地面に置く。それから腰のポシェットから治癒魔術ヒールの魔石を取り出す。少年の足の傷口にかざし、魔力を流す。傷口がみるみる塞がった。

　「これで大丈夫。お姉ちゃんたちからあまり離れ過ぎないでね？」

　「うん！」

　リアーナは少年を安心させるためニコリと笑顔を見せる。その後、レイピアを拾い、迫り来るアンデッドと戦っているサイクロプスに加勢する。

　（どうしよう……ここからだとエンダイク城は遠いし……。何か手はないの！？）

　リアーナは際限なく現れるアンデッドを斬り捨てる。それと並行して必死で思考をめぐらせていた。こうしている間にも多くの生命が奪われ続けている。

　「ねぇ、この近くに丈夫で窓が少ない建物ってあるかな？」

　リアーナは助けた少年に訊く。少年は暫く考える。

　「……道具屋さんの横に倉庫があるよ！」

　少年の言葉に希望を見出だす。

　「それじゃ、そこに案内してくれる？」

　「わかった！　こっちだよ！」

　リアーナとグランザは少年を守るように側に寄り添いつつ移動する。