冒険パーティー【暁の渡り鳥】の村人は最強です

10章 レビオルムの惨劇

STORY162 急襲！④

　「くっ……」

　グランザは、光属性付与魔術ライト・ウェポンの効果が切れ、窮地きゅうちに陥おちいっていた。

　（このままじゃ、アンデッドに対して効果的は攻撃ができない！）

　焦燥感を募らせながらも、確保した倉庫の入り口を死守するグランザ。だが、周りではゾンビやスケルトンによって多くの民間人が殺されている。

　ガシャ……ガシャ……ガシャ……

　（あれは！？）

　グランザは前方から近付いてくるスケルトンに目を見張る。そのスケルトンは大剣と大盾を持ち、鎧をまとっている。桁違いのオーラを放っていた。おそらく、生前は名を馳せた騎士であったと推測される。

　（いけない！　光属性が付与されていない状況であんなのとまともには……）

　騎士スケルトンは鎧の重さを全く感じさせない速さをみせた。一気にグランザを攻撃範囲内におさめる。中段に構えた大剣が横に一閃された。

　ガキンッ

　グランザの槍が大剣を受け止める。

　（ぐぅっ！？　重い！　なんて重い一撃なんだ！？）

　騎士スケルトンが放った斬撃にグランザはよろめく。

　「させるものかぁ！」

　倉庫内へ侵入しようとする騎士スケルトンに対して戦斧を振るう。

　ガンッ

　それを大盾で受け止める騎士スケルトン。大剣を上段に構えて振り下ろす。

　「うぁぁぁ！！」

　グランザが悲鳴をあげる。大剣はグランザのプレート・アーマーを切り裂いた。深手を負ったグランザの左肩口から血が流れ出る。

　（こんな……ところでぇ！！）

　痛みを堪えて槍を振りかざす。騎士スケルトンは大剣で槍を受け止めて弾く。

　「くっ！」

　グランザが戦斧を持つ左手に力を入れる。肩の傷口が疼うずくがかまってはいられない。

　ガンッ！

　やはり、大盾によって防がれる。騎士スケルトンはグランザの腹を蹴飛ばす。

　「うぐぅっ……」

　低く呻うめいて数歩後退するグランザ。そこに騎士スケルトンの大剣が振り下ろされる。

　ガキィィンッ

　グランザは槍と戦斧で騎士スケルトンの大剣をどうにか受け止めた。

　しかし、フリーネ姫救出作戦からの連戦による疲労は限界に近い。腕にも足にも力が入らない。

　（く……うぅ……）

　グランザは膝を折る。

　「光線魔術レイ・アロー！」

　リアーナが倉庫内から放った光線が騎士スケルトンを直撃する。

　「やぁぁぁ！」

　リアーナは一気に騎士スケルトンとの間合いを詰める。

　騎士スケルトンはリアーナをターゲットに大剣を振るう。

　ガッ

　大剣は倉庫入り口の壁に阻まれる。そこを光属性が付与されたレイピアの斬撃を繰り出す。それは鎧の隙間を通り、腰椎ようついを切断した。

　騎士スケルトンの体は両断されて地面に転がる。リアーナはまだ大剣を振りかざそうと動く騎士スケルトンの頭蓋骨ずがいこつにレイピアを突き刺した。

　これがとどめとなり、騎士スケルトンは完全に動きを停止させた。

　「大丈夫！？」

　リアーナは倉庫内から持ってきた体力回復薬ライフポーションをグランザに手渡す。

　疲労が軽減されたグランザはゆっくりと立ち上がる。

　「ありがとうございました。でも、体力回復薬ライフポーションなんてどこから？」

　「それは……」

　「あたしが提供させてもらったのさ」

　倉庫の入り口から中年の女性が顔を覗かせる。

　「この方は？」

　「あたしゃ、この道具屋のおかみさ。暁の渡り鳥あんたらが命懸けで頑張ってくれてるんだから、これくらいはね」

　「ありがとうございます！」

　道具屋からの心強い支援に感謝を伝えるグランザ。

　「わたしは他の人たちをここへ避難させるね。だから、グランザはここをお願い」

　「わかりました。お気をつけて」

　グランザに見送られ、リアーナはアンデッドに襲われている人々を救うべく駆け出した。