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11章 タレク島の決戦!!
STORY182 ウラボスとゼルアルの過去
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「へぇ……。この異空間には地面があるんだな」
異空間への入り口に飛び込んだ一行は広大な草原に立っていた。どこまでも続く、見渡すかぎりの草の海が風になびいて波打っている。
「さて、と。肝心のジョアファルアはどこにいるのやら……」
ウラボスをはじめ、全員がジョアファルアの気配を探る。
「……何かわかったかニャ?」
リャッカが訊く。
「……この空間のどこかにいることははっきりとわかるんだけど、居場所までは……」
索敵していたリアーナが呟くように答える。
「だめだ! 俺も同じようなもんだ……」
ゼルアルも悔しさを滲ませる。
「……ウラボス?」
リアーナは期待を込めてウラボスに視線を向ける。それにつられるようにリャッカとゼルアルもウラボスを見た。
ウラボスはただ無言のまま目を閉じて全神経を集中している。
「大爆発魔術!!!」
突然だった。ウラボスは魔力を練り上げると間髪入れずに真上で大爆発を発生させた。
「ニャアァァァァッ!!」
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
「のわぁぁぁぁぁっ!!」
リャッカ、リアーナ、ゼルアルが悲鳴をあげて、地面にしゃがみ込んだ。
「い、い、いきなり何するニャ!?」
リャッカの抗議にも一切反応することなく、上空を見据えるウラボス。仲間たちも視線をうつす。
「あっ!!」
リアーナが爆炎の中から姿を現した黒髪の少女を見て声をあげた。少女は両目の瞼を閉じている。
「さすがは真なる支配者と褒めておこうかのぉ。わらわの不可視魔術を見破るとは、少しは驚いたぞ」
黒髪の少女は閉ざしていた瞼を開き、銀色の双眸でウラボスを見据える。
「「!?」」
ジョアファルアと視線が合った瞬間、ウラボスとゼルアルは強烈な眩暈に襲われた。
「ウラボス! ゼルアル!」
リアーナが二人に駆け寄る。
「ふふふふふふ……。どうじゃ、記憶が戻った感想は?」
「「えっ?」」
リアーナとリャッカが驚きの声をあげ、ウラボスとゼルアルを見る。
「ふっ……残念だったな。魔剣技は俺を倒すために編み出したわけじゃなさそうだな」
「みてぇだな。正確には思い出しただけかよ……」
ウラボスに話しかけられ、ゼルアルが返答する。
「ちょっと待つニャ! 二人とも、何を言ってるニャ?」
リャッカが訊く。
「わからぬか。ならば、教えてやろう。そなたらがウラボスと呼んでいる者の本当の名はラフィアス、ゼルアルと呼んでおる者の本当の名はグラヴィエル……。遥か昔、わらわに刃向かった愚か者どもよ」
ジョアファルアは吐き捨てるように言った。
「……ウラボスが始祖の魔術師ラフィアス様?……。それに、グラヴィエルってたしか……」
「そうニャ。ラフィアスと共にジョアファルアに倒した史上最強の剣士の名前ニャ!」
リアーナの言葉をリャッカが引き継ぐ。
「そう……。その二人はわらわに刃向かうという赦されぬ大罪を犯した。……もっとも、封印するだけで精一杯だったようじゃがなぁ」
ジョアファルアはラフィアスとグラヴィエルを鋭く睨む。
「それで、ジョアファルアは俺たちから記憶と時間を奪った……」
「そうじゃ。きさまらはわらわが殺さねば気がすまぬからのぉ」
「だったら、オレがラフィアスを殺すように仕向けたのは……」
「そう。わらわじゃ。もっとも封印されておったからのぉ。それゆえに、適当な者を洗脳し、グラヴィエルにラフィアス殺害を依頼したのじゃ。同士討ちはなかなか面白い趣向じゃと思うてな」
ジョアファルアは愉快げに答える。
「なるほど。それで、俺はシークレット・パレスに瞬間移動魔術させられ、真なる支配者としての記憶を植え付けられたってわけか」
「オレは悠久の時間、世界をさ迷っていたのか。おそらく、定期的に記憶が消されながら、な……」
「そのとおりじゃ。グラヴィエルのほうには数年で記憶が消える呪いをかけておいたのじゃ。ククククククク……」
ジョアファルアが嗤う。
「……ひどい!……」
リアーナが潤んだ瞳でラフィアスを見つめる。が、ラフィアスは口元に笑みを浮かべた。
「だが、そのおかげで俺はリアーナや大切な仲間に出会うことができた」
「おう! 前はオレたち二人だけだったが、仲間がいる現在ならジョアファルアをぶっ殺すこともできるんじゃねぇか?」
ラフィアスに続いてグラヴィエルも笑む。
しかし、その言葉も態度は女神ジョアファルアの怒りを買ったようだ。彼女の全身から殺気が#迸__ほとばし_#っていた。
異空間への入り口に飛び込んだ一行は広大な草原に立っていた。どこまでも続く、見渡すかぎりの草の海が風になびいて波打っている。
「さて、と。肝心のジョアファルアはどこにいるのやら……」
ウラボスをはじめ、全員がジョアファルアの気配を探る。
「……何かわかったかニャ?」
リャッカが訊く。
「……この空間のどこかにいることははっきりとわかるんだけど、居場所までは……」
索敵していたリアーナが呟くように答える。
「だめだ! 俺も同じようなもんだ……」
ゼルアルも悔しさを滲ませる。
「……ウラボス?」
リアーナは期待を込めてウラボスに視線を向ける。それにつられるようにリャッカとゼルアルもウラボスを見た。
ウラボスはただ無言のまま目を閉じて全神経を集中している。
「大爆発魔術!!!」
突然だった。ウラボスは魔力を練り上げると間髪入れずに真上で大爆発を発生させた。
「ニャアァァァァッ!!」
「きゃあぁぁぁぁっ!!」
「のわぁぁぁぁぁっ!!」
リャッカ、リアーナ、ゼルアルが悲鳴をあげて、地面にしゃがみ込んだ。
「い、い、いきなり何するニャ!?」
リャッカの抗議にも一切反応することなく、上空を見据えるウラボス。仲間たちも視線をうつす。
「あっ!!」
リアーナが爆炎の中から姿を現した黒髪の少女を見て声をあげた。少女は両目の瞼を閉じている。
「さすがは真なる支配者と褒めておこうかのぉ。わらわの不可視魔術を見破るとは、少しは驚いたぞ」
黒髪の少女は閉ざしていた瞼を開き、銀色の双眸でウラボスを見据える。
「「!?」」
ジョアファルアと視線が合った瞬間、ウラボスとゼルアルは強烈な眩暈に襲われた。
「ウラボス! ゼルアル!」
リアーナが二人に駆け寄る。
「ふふふふふふ……。どうじゃ、記憶が戻った感想は?」
「「えっ?」」
リアーナとリャッカが驚きの声をあげ、ウラボスとゼルアルを見る。
「ふっ……残念だったな。魔剣技は俺を倒すために編み出したわけじゃなさそうだな」
「みてぇだな。正確には思い出しただけかよ……」
ウラボスに話しかけられ、ゼルアルが返答する。
「ちょっと待つニャ! 二人とも、何を言ってるニャ?」
リャッカが訊く。
「わからぬか。ならば、教えてやろう。そなたらがウラボスと呼んでいる者の本当の名はラフィアス、ゼルアルと呼んでおる者の本当の名はグラヴィエル……。遥か昔、わらわに刃向かった愚か者どもよ」
ジョアファルアは吐き捨てるように言った。
「……ウラボスが始祖の魔術師ラフィアス様?……。それに、グラヴィエルってたしか……」
「そうニャ。ラフィアスと共にジョアファルアに倒した史上最強の剣士の名前ニャ!」
リアーナの言葉をリャッカが引き継ぐ。
「そう……。その二人はわらわに刃向かうという赦されぬ大罪を犯した。……もっとも、封印するだけで精一杯だったようじゃがなぁ」
ジョアファルアはラフィアスとグラヴィエルを鋭く睨む。
「それで、ジョアファルアは俺たちから記憶と時間を奪った……」
「そうじゃ。きさまらはわらわが殺さねば気がすまぬからのぉ」
「だったら、オレがラフィアスを殺すように仕向けたのは……」
「そう。わらわじゃ。もっとも封印されておったからのぉ。それゆえに、適当な者を洗脳し、グラヴィエルにラフィアス殺害を依頼したのじゃ。同士討ちはなかなか面白い趣向じゃと思うてな」
ジョアファルアは愉快げに答える。
「なるほど。それで、俺はシークレット・パレスに瞬間移動魔術させられ、真なる支配者としての記憶を植え付けられたってわけか」
「オレは悠久の時間、世界をさ迷っていたのか。おそらく、定期的に記憶が消されながら、な……」
「そのとおりじゃ。グラヴィエルのほうには数年で記憶が消える呪いをかけておいたのじゃ。ククククククク……」
ジョアファルアが嗤う。
「……ひどい!……」
リアーナが潤んだ瞳でラフィアスを見つめる。が、ラフィアスは口元に笑みを浮かべた。
「だが、そのおかげで俺はリアーナや大切な仲間に出会うことができた」
「おう! 前はオレたち二人だけだったが、仲間がいる現在ならジョアファルアをぶっ殺すこともできるんじゃねぇか?」
ラフィアスに続いてグラヴィエルも笑む。
しかし、その言葉も態度は女神ジョアファルアの怒りを買ったようだ。彼女の全身から殺気が#迸__ほとばし_#っていた。
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