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終章 After Days

STORY192 ウラボスの目覚め

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 (……今のは、夢か……)

 目覚めたウラボスの視界に天井が映る。ゆっくりと上体を起こして周りを確認する。

 「ここは……エンダイク城か?」

 ウラボスは呟く。たしかにその部屋には見覚えがあり、それはエンダイク城であったはずだ。テラスに続く窓は開け放たれ、風が入ってきている。外は明るく、まだ日中であることがわかる。

 (そうか。俺はリアーナの蘇生がうまくいったのを確認したあと……)

 ウラボスは自らの記憶をさかのぼる。

 ガチャ……

 扉が開く音がした。振り向いたウラボスの瞳にリアーナの姿が映る。

 「ウラ……ボス?……」

 リアーナは両目に涙をいっぱいに溜めて、両手で口元を覆っている。

 「えっと……おはよう?」

 なんと声をかけていいものか悩んだ結果、ウラボスは若干ぎこちない笑顔を見せる。

 「ウラボス!」

 感極まったリアーナがウラボスに抱きつく。その勢いでウラボスはベッドの上に押し倒されてしまう。

 「……相変わらず泣き虫なんだな……」

 ウラボスは、溢れだす涙で濡れた顔をウラボスの胸に埋めているリアーナの頭を優しくなでる。

 「だって……1ヶ月も目を覚まさなかったんだよ?……だれだって心配するよ!……」

 リアーナは涙声で反論する。

 「え? 俺、そんなに寝てたのか!?」

 驚きからウラボスの声のトーンが上がる。

 「そうだよ!……このまま目を覚まさなかったらどうしようって……そんなことばかり考えて……毎日、ほんとに怖かったんだからね!」

 「そうだったのか……サンキューな、リアーナ」

 ウラボスはリアーナの瞳に残る涙をそっと拭い、唇を重ねる。

 「それで、みんなはどうしてる?」

 「みんな、いるよ。リャッカちゃんは図書室でいろんな本を読んでる。すごく貴重な本も多いから飽きないんだって。グランザは兵士や騎士の訓練所に通ってる。最近はお城の兵士や騎士の人たちともけっこう仲良くなってきてるんだよ」

 リアーナが笑顔で答える。

 「そっか。ゼルアルとアリムルはあれからどうしたんだ?」

 「ゼルアルはリュアード君を迎えに行くってタレク島から帰ってすぐに出掛けたわ。アリムルはタレク島に残って島民の魔族の人たちが帰ってくるのを待ってる」

 「まっ、ゼルアルやアリムルとはまた会えるだろ。さて、と……それじゃ、とりあえずはリャッカとグランザに会わなきゃな」

 ウラボスはベッドから起き上がる。

 「うん! それにラグーナ様にもお会いしないとね。ウラボスが寝てる間、この部屋を貸してくれただけじゃなくて、いろんな魔術師の人にウラボスをせてくれてたの。世界のために戦った英雄なんだから、なんとしても目覚めてもらわねばって言ってたんだよ。随分と気にかけてくれてたみたい」

 「なるほど。なら、まずはラグーナ王に謁見して、それからリャッカとグランザだな!」

 「うん!」

 リアーナは謁見の間に向かうウラボスの隣を歩きながら、そっと手を繋いだ。
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