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終章 After Days
STORY200 果てなく続く旅の空
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「ほんとに行ってしまうのね……」
ウラボスとリアーナの結婚式から一週間後。森に囲まれた孤児院。エレナは旅立つ暁の渡り鳥とゼルアルに別れを惜しんでいた。
「うん。やっぱりわたしたちは冒険者だから……」
リアーナが少し寂しそうな表情で言う。
「……でも、リアーナとウラボスさんなんてまだ新婚じゃない。せめて暫く二人でのんびりしてもいいんじゃない?」
エレナの提案にリアーナは笑む。
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、ウラボスと決めたことだから」
リアーナの決意が固いことを知ったエレナはため息をつく。
「せめて、ゼルアルさんたちはもっとゆっくりしていって下さいな」
暁の渡り鳥の説得を諦めたエレナがゼルアルとリュアードに視線を向ける。
「いや、俺たちも充分に骨休めができたし、そろそろ出発するつもりだ」
ゼルアルもきっぱりと断る。
「リュアード君もここに残るつもりはないのかしら?」
「うん。僕、ゼルアルおじさんと一緒にいろんな所を回ってみたい!」
リュアードにまで断られ、エレナは引き下がるしかなかった。
「しょうがないわねぇ……リアーナが送金してくれるようになってから経営は随分と楽になったけど、そのぶん心配事が増えたわ……」
エレナは頬に手を当て困り顔をする。
「大丈夫だよ。わたしのことなら心配しないで。ウラボスだっているんだし!」
言いつつ、ウラボスの左腕に自分の右腕をからめるリアーナ。
「そうは言っても、親は心配するものなの! でも、あなた自身が決めたことだものね。これ以上、無理には止めないわ。気をつけていってらっしゃい。たまには帰ってきなさいよ!」
「うん!」
「リャッカさん、グランザさん。二人をよろしくお願いしますね」
「了解ニャ!」
「はい、お任せください」
頭を下げるエレナにグランザとリャッカが答える。
「ゼルアルさんもリュアードのこと、よろしくお願いします」
「おう! 立派な戦士にしてみせるぜ!」
「おいおい、べつに戦士にしろとは言ってないだろ」
ウラボスの的確なツッコミが炸裂する。
「だぁいじょうぶだって! 俺の見立てだとリュアードは強くなるぜ?」
(ダメだ。まるで聞いていない……)
ウラボスはゼルアルに何を言っても無駄だと思い、諦めることにする。
エレナはますます不安そうな顔になる。が、リュアード自身はやる気に満ち溢れている。
「とにかく! あなたたち全員、たまにはここに顔を出すこと! いいわね!?」
エレナに迫られ、それぞれ了解の返事をする。
「……それじゃ、いってらっしゃい!」
「いってきます!」
暁の渡り鳥、ゼルアル、リュアードが声を揃えた。
◎
「ゼルアルたちはこれからどこに行くの?」
「……そうだなぁ……」
リアーナに訊かれたゼルアルが考える。
「まだ決まってないんだったら、ガレツの町に行こうよ!」
リュアードが提案する。
「べつにかまわねぇが、その町に何かあるのか?」
「僕、少し前に聞いたんだ。ガレツの町に大型モンスターが現れたんだって!」
「ほぉ! そいつはおもしろそうじゃねぇか! 行くぞ、リュアード!」
「うん!」
「そういうわけだ! そんじゃあな!」
「皆さん、お元気で!」
ゼルアルとリュアードは二人で話をまとめると、足早に立ち去った。
「あの二人、似た者同士ですね……」
遠ざかるゼルアルとリュアードの後ろ姿を見つめながらグランザが呟く。
「リュアード君、大丈夫かな……」
リアーナが心配そうに言う。
「まっ、ゼルアルがついてれば大丈夫だろ」
ウラボスは楽観的な意見を口にする。
「あたしたちはどうするニャ?」
リャッカがリーダーであるリアーナに訊く。
「近くにペインツ村っていう所があるの。そこの冒険者ギルドで依頼を受けましょ」
「あたしたちはどんな依頼を受けるのかニャ?」
リャッカは期待を込めて訊ねる。勇者が所属しているパーティーなら、高額の依頼も受け放題である。
「……あまりだれも受けないような依頼を中心にしようと思うの」
「えぇ~……それだと貧乏パーティーになってしまうニャ……」
期待が外れたリャッカが不満の声をあげる。
「だから、たまにモンスター退治とか高額依頼も受けてるじゃない。暁の渡り鳥は報酬に関係なく依頼を受けますからね!」
「ウニャ~……」
リアーナの決定にリャッカは項垂れる。が、グランザは楽しそうに笑う。
「僕はリアーナさんらしくていいと思います。リャッカだって本当はそんなリアーナさんが好きなんだよね?」
「……それはそうなんだけど……」
グランザに図星をつかれてしまったリャッカ。
「リアーナも随分とリーダーらしくなったな……」
リアーナはウラボスに褒められて嬉しそうに笑みをこぼす。
暁の渡り鳥が、伝説の冒険パーティーと呼ばれる日がくることを彼らは知らない……。
~終章 After Days 完~
ウラボスとリアーナの結婚式から一週間後。森に囲まれた孤児院。エレナは旅立つ暁の渡り鳥とゼルアルに別れを惜しんでいた。
「うん。やっぱりわたしたちは冒険者だから……」
リアーナが少し寂しそうな表情で言う。
「……でも、リアーナとウラボスさんなんてまだ新婚じゃない。せめて暫く二人でのんびりしてもいいんじゃない?」
エレナの提案にリアーナは笑む。
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、ウラボスと決めたことだから」
リアーナの決意が固いことを知ったエレナはため息をつく。
「せめて、ゼルアルさんたちはもっとゆっくりしていって下さいな」
暁の渡り鳥の説得を諦めたエレナがゼルアルとリュアードに視線を向ける。
「いや、俺たちも充分に骨休めができたし、そろそろ出発するつもりだ」
ゼルアルもきっぱりと断る。
「リュアード君もここに残るつもりはないのかしら?」
「うん。僕、ゼルアルおじさんと一緒にいろんな所を回ってみたい!」
リュアードにまで断られ、エレナは引き下がるしかなかった。
「しょうがないわねぇ……リアーナが送金してくれるようになってから経営は随分と楽になったけど、そのぶん心配事が増えたわ……」
エレナは頬に手を当て困り顔をする。
「大丈夫だよ。わたしのことなら心配しないで。ウラボスだっているんだし!」
言いつつ、ウラボスの左腕に自分の右腕をからめるリアーナ。
「そうは言っても、親は心配するものなの! でも、あなた自身が決めたことだものね。これ以上、無理には止めないわ。気をつけていってらっしゃい。たまには帰ってきなさいよ!」
「うん!」
「リャッカさん、グランザさん。二人をよろしくお願いしますね」
「了解ニャ!」
「はい、お任せください」
頭を下げるエレナにグランザとリャッカが答える。
「ゼルアルさんもリュアードのこと、よろしくお願いします」
「おう! 立派な戦士にしてみせるぜ!」
「おいおい、べつに戦士にしろとは言ってないだろ」
ウラボスの的確なツッコミが炸裂する。
「だぁいじょうぶだって! 俺の見立てだとリュアードは強くなるぜ?」
(ダメだ。まるで聞いていない……)
ウラボスはゼルアルに何を言っても無駄だと思い、諦めることにする。
エレナはますます不安そうな顔になる。が、リュアード自身はやる気に満ち溢れている。
「とにかく! あなたたち全員、たまにはここに顔を出すこと! いいわね!?」
エレナに迫られ、それぞれ了解の返事をする。
「……それじゃ、いってらっしゃい!」
「いってきます!」
暁の渡り鳥、ゼルアル、リュアードが声を揃えた。
◎
「ゼルアルたちはこれからどこに行くの?」
「……そうだなぁ……」
リアーナに訊かれたゼルアルが考える。
「まだ決まってないんだったら、ガレツの町に行こうよ!」
リュアードが提案する。
「べつにかまわねぇが、その町に何かあるのか?」
「僕、少し前に聞いたんだ。ガレツの町に大型モンスターが現れたんだって!」
「ほぉ! そいつはおもしろそうじゃねぇか! 行くぞ、リュアード!」
「うん!」
「そういうわけだ! そんじゃあな!」
「皆さん、お元気で!」
ゼルアルとリュアードは二人で話をまとめると、足早に立ち去った。
「あの二人、似た者同士ですね……」
遠ざかるゼルアルとリュアードの後ろ姿を見つめながらグランザが呟く。
「リュアード君、大丈夫かな……」
リアーナが心配そうに言う。
「まっ、ゼルアルがついてれば大丈夫だろ」
ウラボスは楽観的な意見を口にする。
「あたしたちはどうするニャ?」
リャッカがリーダーであるリアーナに訊く。
「近くにペインツ村っていう所があるの。そこの冒険者ギルドで依頼を受けましょ」
「あたしたちはどんな依頼を受けるのかニャ?」
リャッカは期待を込めて訊ねる。勇者が所属しているパーティーなら、高額の依頼も受け放題である。
「……あまりだれも受けないような依頼を中心にしようと思うの」
「えぇ~……それだと貧乏パーティーになってしまうニャ……」
期待が外れたリャッカが不満の声をあげる。
「だから、たまにモンスター退治とか高額依頼も受けてるじゃない。暁の渡り鳥は報酬に関係なく依頼を受けますからね!」
「ウニャ~……」
リアーナの決定にリャッカは項垂れる。が、グランザは楽しそうに笑う。
「僕はリアーナさんらしくていいと思います。リャッカだって本当はそんなリアーナさんが好きなんだよね?」
「……それはそうなんだけど……」
グランザに図星をつかれてしまったリャッカ。
「リアーナも随分とリーダーらしくなったな……」
リアーナはウラボスに褒められて嬉しそうに笑みをこぼす。
暁の渡り鳥が、伝説の冒険パーティーと呼ばれる日がくることを彼らは知らない……。
~終章 After Days 完~
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それにしてもウラボスがモテモテでリアーナとしては他の女の子に取られないか心配になっちゃいますね(笑)
いつも読んでくださって本当にありがとうございます!
リアーナの成長も本作のテーマの一つなので、そこに注目していただけるのは作者としても非常に嬉しく思います。
これからもよろしくお願いします(*^^*)