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3章 さらわれた元王女様
21話 救出
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「なっ!? どうして、てめぇが!?」
ルットが怪しいと指摘していた地点へとやって来たウィナーを見て、3人の男たちは慌てたように身構える。
「「ウィナーさん!」」
メルティナとピファが歓喜の声をあげる。
「よぉ、二人とも無事みてぇだな」
ウィナーがメルティナとピファの無事を確認して口角を上げる。
「なぜ、この場所がわかった!?」
誘拐犯のひとりが疑問を投げ掛ける。
「あぁ、ルットが突き止めたんだ。この場所が怪しいってな」
「くそっ!」
男は顔を歪める。
「そんで、カーヤとかいう婆さんがいねぇみてぇだが?」
今度はウィナーが質問する。別の男がフンッと鼻を鳴らした。
「カーヤの婆さんならスラム街にいるぜ。この二人を連れてくるのが役割だったからな。今は一仕事終えたってところだ」
「やっぱ、婆さんもてめぇらのお仲間っつうわけかよ」
ウィナーが吐き捨てるように言う。
「そうさ。正義の鉄槌のひとりってことだ! アルフォスとセラがいない今こそ好機!! この二人を人質にアルスフェルト城を占拠し、ノコノコと戻ってきたアルフォスとセラを公開処刑にする! それで我らの悲願は成就するのだ」
男は作戦の成功を確信し、ウィナーに向かって勝ち誇ったような笑みを見せる。
「ほぉ。オレがそれをさせると思うか?」
クレイモアを構え、目の前の連中を睥睨する。
「ふん! 貴様が強いのは承知の上だ。しかし、俺には勝てねぇだろ!?」
言い終わると同時に、男の身体はみるみる筋肉の鎧に覆われ、着ていた衣服が千切れ飛ぶ。
「任せたぜ、ザグー!」
誘拐犯のひとりが、筋肉の鎧に覆われた男に声をかける。
「おぅ! おまえたちはその二人をしっかり見張ってろよ?」
ザグーは指をポキポキと鳴らし、ウィナーを見据える。
「へっ……ちったぁ楽しめそうじゃねぇか」
ウィナーもまた久しぶりの強敵との対峙に笑む。
「「うぉぉぉぉっ!!」」
ウィナーとザグーが同時に間合いを詰める。
「ぜぇい!」
ウィナーがクレイモアを横一文字に閃かせる。だが、ザグーはその大剣を素手で受け止め、反撃として蹴りを繰り出してきた。
(ちぃ!)
ウィナーは盾で受け止める。が、その威力は凄まじく、後方へと勢いよく吹き飛ばされ、両足を踏ん張ったまま滑っていく。
「おらおらおらおらぁ!!」
ザグーは再び間合いを詰めると、ウィナーの鳩尾に拳をめり込ませた。
「うぐっ!」
日々の鍛練により鍛え上げられたウィナーですらザグーの一撃は強烈であった。
「そらよ!」
身体が浮き上がったウィナーの背中にザグーの拳が振り下ろされる。
「ぐぉっ!」
背中に岩石を打ち付けられたような衝撃を受け、地面に叩きつけられる。
「どうした! こんなもんか!?」
ザグーは地面にうつ伏せに倒れたウィナーの背中を力任せに踏みつけた。
「「ウィナーさん!」」
メルティナとピファが悲痛の叫びをあげる。
「もっと楽しませてみろよ!」
ザグーは冷笑を浮かべ、さらに踏みつけるべく片足を上げた、その瞬間を見計らってウィナーは横に転がる。
直後、ザグーの足が地面を強く踏みつけた。
「うぉぉぉぉぉっ!!」
体勢を立て直したウィナーが気合いとともに連続で振るったクレイモアがザグーの身体を浅く傷つける。
「おいおい、この程度かよ? 従者がこれじゃアルフォスも大したことはなさそうだな」
ザグーはウィナーに見下すような視線を向ける。
「へっ……笑わせるんじゃねぇよ。てめぇごときじゃ、アルフォスの旦那はおろかオレにすら勝てねぇぜ?」
ウィナーも不敵な笑みを返す。その対応に明らかな不快感を示したザグーは、地面を蹴って近付くと、右ストレートを出す。
「甘ぇ!」
左腕の盾で右ストレートを受け流し、ザグーの背後へと回り込む。
「こいつでどうだ!?」
大上段に掲げたクレイモアをザグーの頭部へと振り下ろす。
「ちぃ!」
ザグーは、身体を反転させると同時にウィナーとの間合いをあける。
「野郎!」
ザグーの回し蹴りがしゃがんだウィナーの頭上を空振りしていく。
「うぉりゃあ!」
「ぎゃあ!」
気合いとともに斬り上げられたクレイモアがザグーの顎をとらえる。短い悲鳴をあげたザグーは宙を舞い、背中から地面に落下した。
「ぜぇぇい!」
ウィナーはすかさず追撃にでる。倒れたザグーの腹を踏みつけ、その左胸にクレイモアを突き立てた。声ならぬ声をあげて絶命した。
「そ……そんな! ザグーが負けた、だと!?」
残された男たちは互いに顔を見合わせる。
「さぁて、おまえたちはどうする?」
ザグーの遺体からクレイモアを引き抜いたウィナーが男たちを睨む。
「くそ! 動くんじゃねぇ! こいつらの命が惜しければな!!」
男のひとりが短剣をメルティナの喉元に当てて叫ぶ。それに倣って、もうひとりの男はピファの喉元に短剣を当てた。
(ちっ……人質にとりやがったか。さて、どうするか)
「ウィナーさん! かまわず戦ってください! わたしはアルフォスの足手まといになるくらいなら死を選びます!」
「うん! あたしもだよ!」
思考を巡らせるウィナーにメルティナとピファが迷いなく発言する。
「……だそうだ。すきにするがいいさ。ただし、てめぇらは生かしちゃおかねぇぜ!」
ウィナーはクレイモアを中段に構えて腰をおとす。
「くっ……」
当てが外れた男たちは狼狽し、逃走する。
(しゃぁねぇ。今は嬢ちゃんたちの安全を優先しねぇとな)
ウィナーは追跡を諦め、メルティナとピファの救出を優先した。
ルットが怪しいと指摘していた地点へとやって来たウィナーを見て、3人の男たちは慌てたように身構える。
「「ウィナーさん!」」
メルティナとピファが歓喜の声をあげる。
「よぉ、二人とも無事みてぇだな」
ウィナーがメルティナとピファの無事を確認して口角を上げる。
「なぜ、この場所がわかった!?」
誘拐犯のひとりが疑問を投げ掛ける。
「あぁ、ルットが突き止めたんだ。この場所が怪しいってな」
「くそっ!」
男は顔を歪める。
「そんで、カーヤとかいう婆さんがいねぇみてぇだが?」
今度はウィナーが質問する。別の男がフンッと鼻を鳴らした。
「カーヤの婆さんならスラム街にいるぜ。この二人を連れてくるのが役割だったからな。今は一仕事終えたってところだ」
「やっぱ、婆さんもてめぇらのお仲間っつうわけかよ」
ウィナーが吐き捨てるように言う。
「そうさ。正義の鉄槌のひとりってことだ! アルフォスとセラがいない今こそ好機!! この二人を人質にアルスフェルト城を占拠し、ノコノコと戻ってきたアルフォスとセラを公開処刑にする! それで我らの悲願は成就するのだ」
男は作戦の成功を確信し、ウィナーに向かって勝ち誇ったような笑みを見せる。
「ほぉ。オレがそれをさせると思うか?」
クレイモアを構え、目の前の連中を睥睨する。
「ふん! 貴様が強いのは承知の上だ。しかし、俺には勝てねぇだろ!?」
言い終わると同時に、男の身体はみるみる筋肉の鎧に覆われ、着ていた衣服が千切れ飛ぶ。
「任せたぜ、ザグー!」
誘拐犯のひとりが、筋肉の鎧に覆われた男に声をかける。
「おぅ! おまえたちはその二人をしっかり見張ってろよ?」
ザグーは指をポキポキと鳴らし、ウィナーを見据える。
「へっ……ちったぁ楽しめそうじゃねぇか」
ウィナーもまた久しぶりの強敵との対峙に笑む。
「「うぉぉぉぉっ!!」」
ウィナーとザグーが同時に間合いを詰める。
「ぜぇい!」
ウィナーがクレイモアを横一文字に閃かせる。だが、ザグーはその大剣を素手で受け止め、反撃として蹴りを繰り出してきた。
(ちぃ!)
ウィナーは盾で受け止める。が、その威力は凄まじく、後方へと勢いよく吹き飛ばされ、両足を踏ん張ったまま滑っていく。
「おらおらおらおらぁ!!」
ザグーは再び間合いを詰めると、ウィナーの鳩尾に拳をめり込ませた。
「うぐっ!」
日々の鍛練により鍛え上げられたウィナーですらザグーの一撃は強烈であった。
「そらよ!」
身体が浮き上がったウィナーの背中にザグーの拳が振り下ろされる。
「ぐぉっ!」
背中に岩石を打ち付けられたような衝撃を受け、地面に叩きつけられる。
「どうした! こんなもんか!?」
ザグーは地面にうつ伏せに倒れたウィナーの背中を力任せに踏みつけた。
「「ウィナーさん!」」
メルティナとピファが悲痛の叫びをあげる。
「もっと楽しませてみろよ!」
ザグーは冷笑を浮かべ、さらに踏みつけるべく片足を上げた、その瞬間を見計らってウィナーは横に転がる。
直後、ザグーの足が地面を強く踏みつけた。
「うぉぉぉぉぉっ!!」
体勢を立て直したウィナーが気合いとともに連続で振るったクレイモアがザグーの身体を浅く傷つける。
「おいおい、この程度かよ? 従者がこれじゃアルフォスも大したことはなさそうだな」
ザグーはウィナーに見下すような視線を向ける。
「へっ……笑わせるんじゃねぇよ。てめぇごときじゃ、アルフォスの旦那はおろかオレにすら勝てねぇぜ?」
ウィナーも不敵な笑みを返す。その対応に明らかな不快感を示したザグーは、地面を蹴って近付くと、右ストレートを出す。
「甘ぇ!」
左腕の盾で右ストレートを受け流し、ザグーの背後へと回り込む。
「こいつでどうだ!?」
大上段に掲げたクレイモアをザグーの頭部へと振り下ろす。
「ちぃ!」
ザグーは、身体を反転させると同時にウィナーとの間合いをあける。
「野郎!」
ザグーの回し蹴りがしゃがんだウィナーの頭上を空振りしていく。
「うぉりゃあ!」
「ぎゃあ!」
気合いとともに斬り上げられたクレイモアがザグーの顎をとらえる。短い悲鳴をあげたザグーは宙を舞い、背中から地面に落下した。
「ぜぇぇい!」
ウィナーはすかさず追撃にでる。倒れたザグーの腹を踏みつけ、その左胸にクレイモアを突き立てた。声ならぬ声をあげて絶命した。
「そ……そんな! ザグーが負けた、だと!?」
残された男たちは互いに顔を見合わせる。
「さぁて、おまえたちはどうする?」
ザグーの遺体からクレイモアを引き抜いたウィナーが男たちを睨む。
「くそ! 動くんじゃねぇ! こいつらの命が惜しければな!!」
男のひとりが短剣をメルティナの喉元に当てて叫ぶ。それに倣って、もうひとりの男はピファの喉元に短剣を当てた。
(ちっ……人質にとりやがったか。さて、どうするか)
「ウィナーさん! かまわず戦ってください! わたしはアルフォスの足手まといになるくらいなら死を選びます!」
「うん! あたしもだよ!」
思考を巡らせるウィナーにメルティナとピファが迷いなく発言する。
「……だそうだ。すきにするがいいさ。ただし、てめぇらは生かしちゃおかねぇぜ!」
ウィナーはクレイモアを中段に構えて腰をおとす。
「くっ……」
当てが外れた男たちは狼狽し、逃走する。
(しゃぁねぇ。今は嬢ちゃんたちの安全を優先しねぇとな)
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