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4章 少女を救え!
29話 地下迷宮①
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「ここがバルスヴェイル城……」
転移陣を通ってリュカリオンの居城へとやってきたメルティナが周りをキョロキョロと見ながら呟く。そういえば、メルティナがこの城を訪れるのは初めてだったか。
「ほぉ。今回はメルティナを同行させるのだな」
出迎えにきていたリュカリオンが少し意外そうに言う。
「ああ。セラからの進言でな」
「ふむ。あのセラが他者にアルフォスの護衛を任せるとはな。……まぁ、そんな事はよかろう。今は時間が惜しい。ここに地図、それからダインスレフがある宝物庫の鍵を用意しておいた。これより地下迷宮への封印を解く。ついてきてくれ」
言い置き、リュカリオンは足早に俺たちを先導して歩き始める。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バルスヴェイルの地下。リュカリオンが迷宮への入り口に施された封印を解除してくれた。
「余がしてやれるのはここまでだ。中は凶暴な魔物が徘徊しておる。くれぐれも気をつけるのだぞ」
リュカリオンの忠告に俺とメルティナが頷く。それから、互いに目配せして地下迷宮へと続く階段を下りていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
階段を下りた先は広い通路となっていた。迷宮の内部は予想よりも明るそうだ。
「アルフォスはここに来たことはあるの?」
「いや。初めてだ」
メルティナからの質問に対して簡潔に答える。
「そっか……」
「緊張しているのか?」
今度は俺から訊く。
「うん。少しだけ。でも、大丈夫! わたしだってアルフォスの従者なんだから!」
メルティナは自分の言い聞かすように言っているようだ。
「あまり無理し過ぎるなよ」
一声かけ、先を歩く。メルティナは「うん」と短く返事して後に続いてくる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
迷宮内を徘徊する魔物とすぐに戦闘となった。
敵は大狼型魔物デラウルフが数体だ。赤い獣毛を逆立てて激しく威嚇している。これなら問題なく対処できるだろう。
魔剣カラドボルグと聖剣エクスカリバーを抜き、構える。後方ではメルティナが同じように魔杖ヒヒイロカネスタッフを構える。
先に動いたデラウルフが前衛にいる俺をターゲットに決めたようだ。飛びついてきた大狼に魔剣カラドボルグを下段から上段へと斬り上げて絶命させる。
「#風属性初級魔術__ウインド・カッター__!」
メルティナが放った風の刃が後方に控えていたデラウルフの1体を倒す。さすがはセラの特訓に耐えているだけのことはあるな。着実に魔術師としての力を伸ばしている。
後方が安全圏ではないと悟ったデラウルフたちが総攻撃を仕掛けてきた。
俺はカラドボルグの魔力を解放し、紅雷をくり出す。紅い稲妻が3体のデラウルフを瞬時に感電死させた。
「2体、そっちに行ったぞ!」
俺はデラウルフが脇を通り抜けていったことをメルティナに伝える。
「うん! 雷属性初級広域魔術!!」
メルティナが魔力を変換して発生させた雷がデラウルフに降り注ぐ。広域魔術は単発の魔術に比べて威力が落ちるため、絶命させるには至っていない。しかし、かなりのダメージを与えたのは間違いない。デラウルフの動きが明らかに鈍くなっている。
「火属性初級魔術!」
メルティナは、続いて火炎球を撃ち、デラウルフにとどめを刺していく。
「すごいじゃないか」
メルティナの魔術師としての実力が予想以上だったことに感心した。
「エヘヘ……セラのお陰ね。厳しいけど確実に強くしてくれる。それにね、案外わたしのことを気遣ってくれたりもするのよ」
嬉しそうに話すメルティナに俺も微笑する。だが、今はゆっくり話している暇はない。
「そうか。しかし、今は先を急ごう」
「あっ、うん。ごめんなさい!」
移動を再開する俺の後をメルティナが急いでついてくる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後もデラウルフをはじめとした魔物との戦闘が頻発したが、メルティナは問題なくついてくることができた。
そうして現在、俺たちは地下2階へと到達した。
「意外に広いな」
「うん。こんなに広いとは思わなかったね」
メルティナが同意してくる。
「とはいえ、諦めるわけにも一度引き返すわけにもいかない。リュカリオンから借りた地図だと地下3階にダインスレフがあるんだな?」
「うん、そのはずよ。でも、1階あたりがこの広さだと大変だね。ダインスレフがあるのは3階の奥のほうみたいだし……」
「まっ、しかたないだろ。いくぞ」
「うん!」
俺とメルティナはだだっ広い地下迷宮にうんざりしつつも先を急ぐ。が、すぐに魔物と遭遇してしまった。
「今度は半牛半人か」
大斧を手にした半牛半人が立ち塞がる。しかも、どこからかわらわらと集まってきているようだ。一様に殺気立っているのがわかる。
「一気にたたくぞ!」
言って、半牛半人の群れに向かって駆ける。
「火属性初級広域魔術!!」
メルティナが後方から広域魔術で先制攻撃を放ってくれる。リュカリオンから託されたヒヒイロカネスタッフの魔力もあるだろうが、初級の魔術で半牛半人を倒せるとは改めて驚かされる。
俺だって負けてはいられない。
「水刃・五連!」
水の刃が残った半牛半人を次々に霧消させていく。
「ウォォォォッ!!」
半牛半人が吼え、大斧を振りかざして攻撃してくる。それを跳躍してかわす。足元を大斧が通り過ぎる。
「紅雷!!」
魔剣の魔力を解放したことによって生じた紅い稲妻の餌食となり、半牛半人はその数をどんどん減らしていく。
「アルフォス!」
後衛のメルティナが叫ぶ。すぐに床を蹴って半牛半人から離れる。
「光属性中級広域魔術!!!」
生き残った半牛半人が光の渦にのみ込まれては霧消する。
「だいぶ片付いたな。今のうちに行こう」
俺はメルティナに声をかける。半牛半人が再び集まってくる前に先に進まなければ。
転移陣を通ってリュカリオンの居城へとやってきたメルティナが周りをキョロキョロと見ながら呟く。そういえば、メルティナがこの城を訪れるのは初めてだったか。
「ほぉ。今回はメルティナを同行させるのだな」
出迎えにきていたリュカリオンが少し意外そうに言う。
「ああ。セラからの進言でな」
「ふむ。あのセラが他者にアルフォスの護衛を任せるとはな。……まぁ、そんな事はよかろう。今は時間が惜しい。ここに地図、それからダインスレフがある宝物庫の鍵を用意しておいた。これより地下迷宮への封印を解く。ついてきてくれ」
言い置き、リュカリオンは足早に俺たちを先導して歩き始める。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バルスヴェイルの地下。リュカリオンが迷宮への入り口に施された封印を解除してくれた。
「余がしてやれるのはここまでだ。中は凶暴な魔物が徘徊しておる。くれぐれも気をつけるのだぞ」
リュカリオンの忠告に俺とメルティナが頷く。それから、互いに目配せして地下迷宮へと続く階段を下りていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
階段を下りた先は広い通路となっていた。迷宮の内部は予想よりも明るそうだ。
「アルフォスはここに来たことはあるの?」
「いや。初めてだ」
メルティナからの質問に対して簡潔に答える。
「そっか……」
「緊張しているのか?」
今度は俺から訊く。
「うん。少しだけ。でも、大丈夫! わたしだってアルフォスの従者なんだから!」
メルティナは自分の言い聞かすように言っているようだ。
「あまり無理し過ぎるなよ」
一声かけ、先を歩く。メルティナは「うん」と短く返事して後に続いてくる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
迷宮内を徘徊する魔物とすぐに戦闘となった。
敵は大狼型魔物デラウルフが数体だ。赤い獣毛を逆立てて激しく威嚇している。これなら問題なく対処できるだろう。
魔剣カラドボルグと聖剣エクスカリバーを抜き、構える。後方ではメルティナが同じように魔杖ヒヒイロカネスタッフを構える。
先に動いたデラウルフが前衛にいる俺をターゲットに決めたようだ。飛びついてきた大狼に魔剣カラドボルグを下段から上段へと斬り上げて絶命させる。
「#風属性初級魔術__ウインド・カッター__!」
メルティナが放った風の刃が後方に控えていたデラウルフの1体を倒す。さすがはセラの特訓に耐えているだけのことはあるな。着実に魔術師としての力を伸ばしている。
後方が安全圏ではないと悟ったデラウルフたちが総攻撃を仕掛けてきた。
俺はカラドボルグの魔力を解放し、紅雷をくり出す。紅い稲妻が3体のデラウルフを瞬時に感電死させた。
「2体、そっちに行ったぞ!」
俺はデラウルフが脇を通り抜けていったことをメルティナに伝える。
「うん! 雷属性初級広域魔術!!」
メルティナが魔力を変換して発生させた雷がデラウルフに降り注ぐ。広域魔術は単発の魔術に比べて威力が落ちるため、絶命させるには至っていない。しかし、かなりのダメージを与えたのは間違いない。デラウルフの動きが明らかに鈍くなっている。
「火属性初級魔術!」
メルティナは、続いて火炎球を撃ち、デラウルフにとどめを刺していく。
「すごいじゃないか」
メルティナの魔術師としての実力が予想以上だったことに感心した。
「エヘヘ……セラのお陰ね。厳しいけど確実に強くしてくれる。それにね、案外わたしのことを気遣ってくれたりもするのよ」
嬉しそうに話すメルティナに俺も微笑する。だが、今はゆっくり話している暇はない。
「そうか。しかし、今は先を急ごう」
「あっ、うん。ごめんなさい!」
移動を再開する俺の後をメルティナが急いでついてくる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その後もデラウルフをはじめとした魔物との戦闘が頻発したが、メルティナは問題なくついてくることができた。
そうして現在、俺たちは地下2階へと到達した。
「意外に広いな」
「うん。こんなに広いとは思わなかったね」
メルティナが同意してくる。
「とはいえ、諦めるわけにも一度引き返すわけにもいかない。リュカリオンから借りた地図だと地下3階にダインスレフがあるんだな?」
「うん、そのはずよ。でも、1階あたりがこの広さだと大変だね。ダインスレフがあるのは3階の奥のほうみたいだし……」
「まっ、しかたないだろ。いくぞ」
「うん!」
俺とメルティナはだだっ広い地下迷宮にうんざりしつつも先を急ぐ。が、すぐに魔物と遭遇してしまった。
「今度は半牛半人か」
大斧を手にした半牛半人が立ち塞がる。しかも、どこからかわらわらと集まってきているようだ。一様に殺気立っているのがわかる。
「一気にたたくぞ!」
言って、半牛半人の群れに向かって駆ける。
「火属性初級広域魔術!!」
メルティナが後方から広域魔術で先制攻撃を放ってくれる。リュカリオンから託されたヒヒイロカネスタッフの魔力もあるだろうが、初級の魔術で半牛半人を倒せるとは改めて驚かされる。
俺だって負けてはいられない。
「水刃・五連!」
水の刃が残った半牛半人を次々に霧消させていく。
「ウォォォォッ!!」
半牛半人が吼え、大斧を振りかざして攻撃してくる。それを跳躍してかわす。足元を大斧が通り過ぎる。
「紅雷!!」
魔剣の魔力を解放したことによって生じた紅い稲妻の餌食となり、半牛半人はその数をどんどん減らしていく。
「アルフォス!」
後衛のメルティナが叫ぶ。すぐに床を蹴って半牛半人から離れる。
「光属性中級広域魔術!!!」
生き残った半牛半人が光の渦にのみ込まれては霧消する。
「だいぶ片付いたな。今のうちに行こう」
俺はメルティナに声をかける。半牛半人が再び集まってくる前に先に進まなければ。
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