黒サリエルが往く「貴方の欲棒叶えます」

りんごパイ

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美優の場合 3

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魔法が何かと言われると説明が難しい。

魔導の深淵とは何か?と問われれば答えようがないからだ。

師匠である天使サリエルの受け織り過ぎない。


天使サリエルは、『自分は、この世界に存在しないもの』と太郎に伝えてあった。

目前に存在するのに、存在しない者とは頓知なのかとも思うのだが、太郎は考えない様にした。
触れることが出来そうで、出来ない…かといって、天使サリエルはこの世界のものに触れる事が出来ている。
サリエルに殴られると吹き飛ばされるので確認は取れている。
かなり痛い…絶望的に痛い、死んでもおかしく無いくらい大怪我になるが、魔導の深淵とやから力を引き出すとその怪我治る、痛みも引く。
この現実が、理論で説明出来なくても現実として存在するのが全てだ。


ある様でない、いない様でいる、そんな不思議な存在なのだ。


「地水火風の4元素に干渉し行使するんですよね?」
と天使サリエルに問いかけた。
読み物の根拠のないものを知識の様で知識でないものをぶつけてみる。

「まぁ、そんなものだな」

うんうんと天使サリエルが頷き言葉を繋げていく。

「太郎、お前はセンスがある」

太郎は、サリエルの言葉に感激し修行に励むと誓った。

いつも漫画やアニメを見て鍛錬していたからだ!と太郎は信じて疑わない。

うんうんと天使サリエルは相槌をうった。

「お前は天才かも知れない。」

天使サリエルが愛くるしい笑みを浮かべている時ほど、内容を理解していないと言う事を太郎はまだ気付いていなかった。

豚も煽てりゃ気に登る…そんな言葉が合っていると思わずにはいられない。





太郎が一番最初に教わった魔法は、

『チャーム』

人を魅了し思考を支配する催眠系の魔法だ。

『チャーム』を対象にかけ肉欲のままに…する、薄い本で日々研究していた成果を活かす時だと考えると、太郎は胸が熱くなってくる。

「無駄なことではなかった…努力が報われる時が来た」

太郎の良い意味でのポジティブさが魔法の修行を大いに捗らせた。

「俺のエクスリバーんが、ドバァーーんになる日も近い」

太郎が意味不明な事をブツブツ唱えながら詠唱の訓練にハゲる…励む。

プシュ~

その横では、天使サリエルが缶ビールに舌鼓を打っていた。
天使は何本空けたかは数えない主義だ。
指がないから数えられない可能性も否定出来ない。
マジックハンドの様な手なので、一、二いっぱいかも知れない。

太郎が、師匠今のどうですか?とばかりに振り向いてくると、天使サリエルは燦々と輝く太陽の様な笑みを浮かべ親指を立てる。

「良いぞ、お前ならやれる!」

魔法の修行に励む太郎、ビールに溺れる天使サリエル…マッハの勢いで溶けていく太郎の貯金残高。

天使サリエルの別称は、『貧乏神』なのを太郎はまだ気付いていなかった。




そして、今日新しい生贄がやってくる。

太郎は、彼女を連れてアパートに連れ込むまで気を緩めてはならないと考えている。チャームの魔法が突然解呪されても具合が悪い。ちょっとしたショックで彼女にかけた魔法が解除されてしまう時があるのだ。
慌てず、しっかり、じっくりと周囲に注意を向け歩いて来た。

アパートの前まで来ると安堵の声が漏れる。

「ふぅー着いたな」

歩みを止め振り返る。
振り向けば、生気のない表情だが麗しい乙女がついて来ていた。

まるで、弱みを握ったゲス野郎に何をされるか不安でしょうがない美女の構図が出来上がっているではないか。

”その通りなんだが”
太郎はこみ上げてくる笑いを耐え、自室を目指す。

カツン、カツンと階段を上り一番奥の部屋の扉の前に彼女を誘導する。
ちらりと彼女の見る。
ゴソゴソとポケットから鍵を取り出し回す。
期待に手に汗をかいているが、焦らない。
そう、彼はこれが初めてのエスコートでないからだ。

ガチャリ

ドアを右手で開け、左手でエスコートする。

「さぁ、先に入って上がって。」

生気のない顔をした彼女は、返事に一瞬詰まった。

「…はい」

太郎はニヤリと笑う。
念の為、周囲の気にするが人目はなさそうだ。

エスコートする左で尻を触る。
彼女のぷっくりと重力に負ける事のない肉付きの良い尻を左から右へと触る。
スカートの上から、尻の割れ目に指がかかる様に力を加えながら揉む様に触り、部屋に入る事を急かした。

日中にも関わらず、太郎の部屋は厚手のカーテンが閉められ暗い。
光が漏れているので真っ暗ではないが、足元に転がるモノが散乱している状況だ。とても、女性を上げる様な部屋ではない。

太郎は扉を閉める。
ガチャ、カチャンと鍵まで閉める。
”俺のテリトリーだ”
心躍らせると、天使サリエルが嗤い出す。
”うひひひ”
背中で蠢いていたあやふやな何かが形作られていく。

玄関先で立ち止まる彼女に声をかける。

「君の名前は?」
声をかけ様にも名前を知らないし、その名前を聞かれたら知り合いがいても困る…そんな具合で、一言の会話もなくここまで来たのだ。

「美優です。橘美優です。」
生気のない表情の美女が淡々と言葉を返して来た。

太郎は、ふと考える。
”チャームは一時間くらい効果がある魔法だ…テキパキ行きますか”
方針が決まり、顔を上げ美優に命令を下す。

「おっぱいを見せて」
太郎は、躊躇せず命令する。

1秒、2秒…美優から返事が返ってこない。
じっと見つめる、その生気のない顔から困惑の表情が読み取れた。
チャームで精神支配しているとはいえ、完全掌握ではない。
彼女自身の自我が奥底にあり、自分の持つ常識と鬩ぎ合いをしてしまうのだ。

「おっぱいを見せて」
太郎は少しばかり語気を強め命令する。

1秒、2秒…美優の目蓋が痙攣した様に見えた。

「はい、分かりました。」

太郎は、自分の命令が彼女の自我との鬩ぎ合いに勝ったことを確信した。





同時刻
映画館サリエル前

相変わらずの人混みの中に、ある青年がいた。
清潔感ある印象を与える好青年だ。

彼は、辺りを見渡し一言漏らした。
「僕が先に着いたみたいだ。」


彼は、今何が起こっているか何も知らないでいた。
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