異世界人の父は筋力がありません。勿論、息子の俺も筋力が無く武器を持てません。武器を持てないハンターの成り上がり。

やーま

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生死のカウントダウン

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 睡眠弾の効果が見込めるのは恐らく一時間後。さらに状況は最悪。今ある全ての品で何とか乗り切るしかない。
 でも大丈夫…方法はある。
 
 ガルダは焦る気持ちを落ち付かせ冷静に考え、一つの突破策を見つけていた。
 
 木影からベァクドルドを確認すると、光弾の効果は切れ、ベァクドルドの視界は戻っていた。匂いを嗅ぎ周囲を探している。
 
 見つかるのは時間の問題。

 覚悟を決めたガルダは、反対側に有る水辺を目指して木々の間を縫う様に駆け抜ける。

 その足音でベァクドルドは此方に気づく。
  
 興奮しているのか、木々に身体を打つけているのにものともせず木々を薙ぎ倒しながら追いかけてくる。

 『ガァァァァッ!!』

 背後から段々と距離を詰めてくる喊声が足に鞭を打たせる。
 水辺までまだ100メートル位離れているというのに、ベァクドルドは直ぐ後ろまで迫り、今にも前脚を伸ばせば鋭利な鉤爪を届きそうな距離。

 まさにベァクドルドはガルダの背中を捉えようと右前脚を振り上げた。

 『ブォンッ!!』

 獲物を捉えた筈の前脚は空を切り、ガルダの姿は目の前から消えていた。
 
 『コロコロ…』

 ガルダが走っていた地に丸い球体が横から転がってくる。

 ベァクドルドが前脚を振り下ろす瞬間、ガルダは90°の方向へ飛び込み、それと同時にライポイル玉を投げていた。

 地面に投げれたライポイル玉は煙を立ち上げ、鼻を刺す激臭の煙幕が辺りを曇らせる。

 勿論、鼻の効くベァクドルドには鼻がもげる程の悪臭。
 至近距離で嗅いだベァクドルドは堪らず悶え苦しみ、余程臭いのだろうか眼には涙を浮かべる。
 耐え切れず、ベァクドルドはコウモリの様な羽を広げ上空へ飛翔。
 
 ガルダは予想以上の好機に驚いた。咄嗟に水辺まで辿り付くシナリオが脳裏に浮かぶ。
 絶妙なタイミングで上空に飛んでくれたのだ。

 『今しかない…』

 ベァクドルドの真下の地面にすべての撒菱と残りの手榴弾をすべて投げ、その後真上に光弾を思いっきり振りかぶり上空へ投げた。

 光弾は飛翔しているベァクドルドの前方までギリギリ届き、折り返そうと落ち始めた時、激光を放った。
 再び視界を奪われ、方向感覚を失なったベァクドルドは真下の地面目掛けて落ちていく。

 「ドンピシャだっ!!」

 『ドゴッ!!』と巨体が地面に叩きつけられる鈍い音が響き、地面を揺らした。

 そしてベァクドルドの落ちた腹部の下。
 そこには先程投げ込まれた撒菱と今にも爆発しそうな音を発している4つの手榴弾がある。

 「ボガァ゛ァァァァァァンッ」

 「ギャァン゛ッ!!」

 爆発した手榴弾は、腹部の肉を体毛ごと抉り、さらに撒菱が食い込み夥しい血が土を湿らせどす黒く染めた。

 
 その時、既にガルダは水辺に向かって走り出していたーー

 生き残る可能性はもう此れしかない…

 水中の中に潜り、身を潜めベァクドルドが去る事を願うしか無い。
 今なら、辺りに充満しているライポイルの刺激臭により鼻も麻痺していて、水中の匂いまで嗅ぎ分けられないだろう。更に致命傷ではないが傷を負ったんだ。バルム山の巣穴まで戻り、休息を取る筈…

 そう願い、ガルダは大きく息を吸いバルム山の湧き水が溜まる水辺に飛び込んだ。
 

 ーー平均的な人間の息止め限界 1~2分ーー
 超人でも5分も持たない。
 実際に水中に潜り数えると長く感じるものだが、実際には極めて刹那。
 
 この後を左右する運命のタイムリミットがカウントを始めた。
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