指揮者に恋した元吹奏楽部員の後味悪い話

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高校

世界は私を中心に回っていない

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さぁ、音大の入試当日。

受験生は、3~4人ごとにグループになり控え室に通される。素早く楽器を組み立て、準備をする。グループは同じ楽器であり、リアルにライバルである。とても嫌な空気である。

音大入試を目指すにはたいてい、プロの先生の門下になり指導を受ける。私もとある先生の門下となっていたが、たまたま入試の同じグループに顔見知りの同じ門下生 Tさん がいた。

Tさんは門下生のなかで最もうまい人だった。一年浪人し、今年こそはと意気込みも実力も抜群だった。控え室でTさんが軽く音をだしているのを聞くと、なんだかやる気が削がれた。素晴らしい音や技術なのである。

合格するのはほんの一握り。私は無理だろうと感じる。でも奇跡もあるかも!!とどうにか気持ちを持ち直した。

****

入試の合否発表がきた。
不合格。
惜しいとかではなく、実力不足。

****

習っていた先生に結果報告のためご自宅を訪問した。また頑張りなさいとなんやかんやと励ましてくれた。

報告のなかで「Tさんと同じ控え室でした」というと空気が変わり、不合格の私のことより、Tさんのことを聞きたがっていると感じた。

Tさんは合格していた。

先生としては久しぶりのその音大への合格者が門下生の中から輩出できて、嬉しかったと思う。私が「Tさんが吹くと、控え室にいたほかの受験生が息をのむのが分かりました」と伝えると、誇らしそうに先生がそうかそうかと頷いた。

得意げに私は当日のTさんの様子を話した。
私もこれからの自分のこと=浪人生活をどう過ごすかを考えるより別の話がしたくて。


つづく~
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