207 / 211
ねたばらし
しおりを挟む
はぁ~、つっかえ……
なんなんこの人。
この期に及んで笛が吹けねえとか。
ガスタルデッロもなんでこんな奴に未来を託しちゃったの。一番託しちゃダメな奴だろ。
とはいえ、奴を止めた時のドラーガさんは本当にすごかったんだけどなぁ……
「そう言えばドラーガ、ガスタルデッロを止めた時の祝詞……あれはいったい何だったんですか?」
ドラーガさんから野風の笛を取り戻しながらノイトゥーリさんが尋ねる。実を言うとそれは私も気になっていたことだ。魔力の流れは感じなかったんだけど、いったいどうやって彼を止めたのかが。
「ああ、あれはな……あいつが意図的に省略した部分の祝詞を唱えただけさ」
は? なにそれ? なんでそれだけで苦しそうにしてたのあいつ?
「あいつは神を敬う言葉の一部と、『愚かな心を戒める』って部分を唱えられなかった。怒りに心を曇らせてる今の自分の心境で、それを唱えることに後ろめたさがあったのさ。
それに気づいたから、わざわざ補足してやっただけだ」
なんと、あの一瞬でそんな駆け引きがあったとは。
その祝詞の事を知ってたのも凄いけど、あの状況でガスタルデッロの心境まで見抜くとは。まるで全てを見通してるみたいだ。
「あ、そう言えばドラーガさん!」
私は途中で気になってたけどそれどころじゃなくて聞けなかったことを聞いてみることにした。というか、とてもじゃないけど聞き捨てならない事だった。
「ドラーガさん『アカシックレコードに触れたのはお前だけだと思ってるのか』って言ってましたよね? あれどういう意味です? まさかドラーガさんもアカシックレコードを……」
「どういう意味も何もそのまんまの意味だよ」
……はて?
「だから、アカシックレコードに触れたのはお前だけだと思ってんのか? って意味だよ。別に俺がそれに触れたなんて一言も言ってねえよ」
え、なにそれ。
ハッタリだったっていうの? あの重要な場面で? この詐欺師め。まあ仮にあの場でガスタルデッロに「どういう意味だ」とか尋ねられても適当にごまかしたんだろうけど。
なんか結局詐欺師にいいようにやられた感じがあるなあ。私が渋い顔をしているとノイトゥーリさんがまだ気になることがあったようで彼に尋ねた。
「祝詞の後、歌みたいなものを読んでましたよね? その後ガスタルデッロが崩れ落ちて……あれはいったい何の呪文だったんですか?」
「あれは呪文でも祝詞でも何でもねーよ」
え? どういうこと? 呪文ですらないのに何でガスタルデッロはそれで負けを認めたの?
「三百年前、デュラエスは怒りに我を忘れ、復興しようとしてる新しいカルゴシアの町に一人で攻撃を仕掛けようとした」
これは知らない情報だ。きっとデュラエスとドラーガさんが二人きりになった時に聞いた話なんだろう。
「その時、怒りに心を曇らすデュラエスを諫めようと、ガスタルデッロがデュラエスに送った歌があれだ。
内容はまあ……怒りに我を忘れる友を嘆き、いずれその怒りが収まるように願う内容だ」
え? ということは……怒りの矛を収めるように三百年前にガスタルデッロがデュラエスに送った歌を、そっくりそのままガスタルデッロに返したって事?
そして最後にあの金貨を見せたのか。
ガスタルデッロからすれば、今は亡き友から直接歌を返されたように感じたことだろう。それなら、あれほどに怒り狂っていたガスタルデッロがその気持ちを削がれたのも頷ける。
「デュラエスは……こうなる事が分かっていて、全てをドラーガさんに託したんですね……」
「いや、そいつは違うぜ」
遠い目でガスタルデッロが去っていった方を見ながら呟くノイトゥーリさん。しかしドラーガさんがその言葉を否定した。どういうこと? 文脈的に自然な流れだと思うんだけど。デュラエスはガスタルデッロを止めて欲しかったんだよね?
「最後に言った『ガスタルデッロを止めてくれ』云々言うのは完全に俺の創作だ。そんな歌を貰った、って事は思い出話として話してくれたがな」
え? 嘘ついたの? っていうかガスタルデッロはアカシックレコードの力で全てが分かるんだよね? それって超危険な賭けだったんでは!?
「まあ……嘘っていうか……行間を読んだ、的な? 人聞きの悪ぃこと言うなよ。俺は正直者だぜ?
あ、それと歌を託されたってのもちょっとニュアンスが違うな。その話を聞いたから、そんな大事なもんなら、もしかしたらまだ文をとっといてあるんじゃねえかと思って事務所をガサ入れしたのさ」
「ガチの嘘つきじゃん……ドラーガさん前に言ってましたよね!? 『俺は嘘はつかねえ』って!! もしそんな適当なこと言ってガスタルデッロが逆上したらどうするつもりだったんですか!?」
(46話 MONSTER参照)
ついつい大きくなってしまった私の声にドラーガさんは耳を塞ぐ。
「ちっ、声がでけえんだよてめえ……」
だって、大きくもなるよ! あの発言はいったい何だったの!!
「はいはい、じゃあおめえは詐欺師が『俺は正直者です』って言ったらそれを素直に信じんのかよ!?」
ああ~……
詐欺師だったわ。
そう言えば詐欺師だったわ。
忘れてたわ。
「ったりめえだろうが。正直者が『俺は嘘はつかない』なんて言って、なんか得になる事でもあんのかよ? そんな発言する時点で嘘つきに決まってんだろーが」
もうなんも信じられんわ。
そう言えばあの時「俺は相手の目を見て話せばそいつが嘘をついてるかどうかわかる」とかも言ってたけど……
「当然嘘だ」
ですよね~
なんなんこの人。
この期に及んで笛が吹けねえとか。
ガスタルデッロもなんでこんな奴に未来を託しちゃったの。一番託しちゃダメな奴だろ。
とはいえ、奴を止めた時のドラーガさんは本当にすごかったんだけどなぁ……
「そう言えばドラーガ、ガスタルデッロを止めた時の祝詞……あれはいったい何だったんですか?」
ドラーガさんから野風の笛を取り戻しながらノイトゥーリさんが尋ねる。実を言うとそれは私も気になっていたことだ。魔力の流れは感じなかったんだけど、いったいどうやって彼を止めたのかが。
「ああ、あれはな……あいつが意図的に省略した部分の祝詞を唱えただけさ」
は? なにそれ? なんでそれだけで苦しそうにしてたのあいつ?
「あいつは神を敬う言葉の一部と、『愚かな心を戒める』って部分を唱えられなかった。怒りに心を曇らせてる今の自分の心境で、それを唱えることに後ろめたさがあったのさ。
それに気づいたから、わざわざ補足してやっただけだ」
なんと、あの一瞬でそんな駆け引きがあったとは。
その祝詞の事を知ってたのも凄いけど、あの状況でガスタルデッロの心境まで見抜くとは。まるで全てを見通してるみたいだ。
「あ、そう言えばドラーガさん!」
私は途中で気になってたけどそれどころじゃなくて聞けなかったことを聞いてみることにした。というか、とてもじゃないけど聞き捨てならない事だった。
「ドラーガさん『アカシックレコードに触れたのはお前だけだと思ってるのか』って言ってましたよね? あれどういう意味です? まさかドラーガさんもアカシックレコードを……」
「どういう意味も何もそのまんまの意味だよ」
……はて?
「だから、アカシックレコードに触れたのはお前だけだと思ってんのか? って意味だよ。別に俺がそれに触れたなんて一言も言ってねえよ」
え、なにそれ。
ハッタリだったっていうの? あの重要な場面で? この詐欺師め。まあ仮にあの場でガスタルデッロに「どういう意味だ」とか尋ねられても適当にごまかしたんだろうけど。
なんか結局詐欺師にいいようにやられた感じがあるなあ。私が渋い顔をしているとノイトゥーリさんがまだ気になることがあったようで彼に尋ねた。
「祝詞の後、歌みたいなものを読んでましたよね? その後ガスタルデッロが崩れ落ちて……あれはいったい何の呪文だったんですか?」
「あれは呪文でも祝詞でも何でもねーよ」
え? どういうこと? 呪文ですらないのに何でガスタルデッロはそれで負けを認めたの?
「三百年前、デュラエスは怒りに我を忘れ、復興しようとしてる新しいカルゴシアの町に一人で攻撃を仕掛けようとした」
これは知らない情報だ。きっとデュラエスとドラーガさんが二人きりになった時に聞いた話なんだろう。
「その時、怒りに心を曇らすデュラエスを諫めようと、ガスタルデッロがデュラエスに送った歌があれだ。
内容はまあ……怒りに我を忘れる友を嘆き、いずれその怒りが収まるように願う内容だ」
え? ということは……怒りの矛を収めるように三百年前にガスタルデッロがデュラエスに送った歌を、そっくりそのままガスタルデッロに返したって事?
そして最後にあの金貨を見せたのか。
ガスタルデッロからすれば、今は亡き友から直接歌を返されたように感じたことだろう。それなら、あれほどに怒り狂っていたガスタルデッロがその気持ちを削がれたのも頷ける。
「デュラエスは……こうなる事が分かっていて、全てをドラーガさんに託したんですね……」
「いや、そいつは違うぜ」
遠い目でガスタルデッロが去っていった方を見ながら呟くノイトゥーリさん。しかしドラーガさんがその言葉を否定した。どういうこと? 文脈的に自然な流れだと思うんだけど。デュラエスはガスタルデッロを止めて欲しかったんだよね?
「最後に言った『ガスタルデッロを止めてくれ』云々言うのは完全に俺の創作だ。そんな歌を貰った、って事は思い出話として話してくれたがな」
え? 嘘ついたの? っていうかガスタルデッロはアカシックレコードの力で全てが分かるんだよね? それって超危険な賭けだったんでは!?
「まあ……嘘っていうか……行間を読んだ、的な? 人聞きの悪ぃこと言うなよ。俺は正直者だぜ?
あ、それと歌を託されたってのもちょっとニュアンスが違うな。その話を聞いたから、そんな大事なもんなら、もしかしたらまだ文をとっといてあるんじゃねえかと思って事務所をガサ入れしたのさ」
「ガチの嘘つきじゃん……ドラーガさん前に言ってましたよね!? 『俺は嘘はつかねえ』って!! もしそんな適当なこと言ってガスタルデッロが逆上したらどうするつもりだったんですか!?」
(46話 MONSTER参照)
ついつい大きくなってしまった私の声にドラーガさんは耳を塞ぐ。
「ちっ、声がでけえんだよてめえ……」
だって、大きくもなるよ! あの発言はいったい何だったの!!
「はいはい、じゃあおめえは詐欺師が『俺は正直者です』って言ったらそれを素直に信じんのかよ!?」
ああ~……
詐欺師だったわ。
そう言えば詐欺師だったわ。
忘れてたわ。
「ったりめえだろうが。正直者が『俺は嘘はつかない』なんて言って、なんか得になる事でもあんのかよ? そんな発言する時点で嘘つきに決まってんだろーが」
もうなんも信じられんわ。
そう言えばあの時「俺は相手の目を見て話せばそいつが嘘をついてるかどうかわかる」とかも言ってたけど……
「当然嘘だ」
ですよね~
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
腐った伯爵家を捨てて 戦姫の副団長はじめます~溢れる魔力とホムンクルス貸しますか? 高いですよ?~
薄味メロン
ファンタジー
領地には魔物が溢れ、没落を待つばかり。
【伯爵家に逆らった罪で、共に滅びろ】
そんな未来を回避するために、悪役だった男が奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる