13 / 109
余生の始まり
13.隠し事は遠回り
しおりを挟む
模擬戦を切り上げ木陰で休んでいると、ピクニックバスケットを持ったノエルが中庭にやって来た。
重盛が手を振ると、ノエルは爽やかな笑みを浮かべて駆けてくる。
「お二人とも、お疲れ様です!」
「ノエルさんこそ、お疲れさまです。宰相様はなんと仰っていましたか?」
実は、と切り出したノエルだが、結果は彼の明るい表情から察することができた。
宰相が昔の資料を確認したところ、五百年前に一度だけ、召喚された救世主が身体の変化に長らく対応できず、一人欠いた状態で魔力補填を行っていたことが分かった。
王城の書庫で厳重に保管されていたとはいえ、経年劣化によって一部読み解けないページがあったため、今回も同じく成功するとは断言できないが、試す価値はある。
神木は一度吸い上げた魔力には反応しない。今までも獣人やエルフといった長命種族となった救世主が次の百年後も魔力を提供すると協力を申し出たが、何故か神木は反応しなかった。
「いや、神木ちゃんグルメかよ」
重盛は呆れ顔だ。ノエルは否定も肯定もせず、半笑いで語り続けた。
記録にある限りの救世主のMPの記録を確認したところ、ある一定の基準を超えれば次の召喚が行われるまで魔力が枯渇することはないと、宰相と共にノエルの提案を聞いていたアテナが最終的に判断した。
それでも各地で魔力不足による異変が起こるようなら、残りの一人にも協力してもらうそうだ。
真紘は優雅に微笑むアテナの姿が目に浮かんだ。
その頬笑みの裏には、いざとなれば武力を行使してでもこの世界のために働いてもらうという強い意志があり、三百年前から、王座に就いている彼女の言葉には、その場にいた全員を納得させる力があった。
「MPはどれくらいあれば良いのでしょうか?」
真紘の質問でノエルの瞳に影が差した。
「十万です……記録に残る中で一番魔力量があった方が四十万。陛下はお二人だけでも大丈夫だろうと仰っていましたが、失礼ながら、拝見させていただいたステータスでは、聖女様と剣士様の魔力量と合わせてもギリギリかと。勇者様を除く四名の負担が大きすぎて心配なのです」
記録に残る中で、トップの魔力量が四十万。
自分の本来の魔力量は七千五百十万五百十。
百年周期で求められる魔力量が十万。
これでは自分一人だけでも余裕で補える量だ。そんなわけがない。ステータスの表示がおかしかったのか、聞き間違いではないのか。
真紘は困惑し、眉を顰めた。
「ま、真紘様……?」
偽装したステータスのMPはマルクスの約十倍の七千。
重盛も同様だ。
十万引く一万四千は八万六千、聖女と剣士の魔力量が同等だとすると、あちらは一人あたり四万三千。
勇者の魔力量は不明だが、救世主の中でも自分の数値は飛びぬけて高いのだと真紘は漸く気づいた。
エルフが希少だとは聞いたが、そんなに魔力に特化した種族だったのか――。
黙考する真紘が困っていると勘違いしてたノエルは重盛に助けを求めるような視線を送った。
「ノエルさん大丈夫っす。予想以上に無理っぽい、どうしようの顔じゃないんで……」
「そ、そうですか……ですが、魔力を使い果たしてしまうと、一週間は起き上がれなくなるのです。稀ですが、教会でも治せないような後遺症が残る事もあります。やはり私が何とか勇者様を説得して参りますので!」
重盛は今にも駆け出していきそうなノエルを引き留め、肩を組んだ。
「まあまあ、落ち着いて。てか、真紘ちゃん? 俺らが詐欺ったせいでノエルさん顔面蒼白よ。マルクスのおっさんにもだけど、信頼できそうな人にはネタバラシしてもいいんじゃね?」
重盛の言葉に頷くと、真紘はステータスを本来の値に戻して表示させた。重盛の職業欄だけは偽造したままだ。
「こ、これはッ……!」
ノエルはふらりと後退り、膝から崩れ落ちた。
重盛は彼の体を支え、落ちかけたピクニックバスケットは真紘が浮かせて腕に収めた。
「マルクスさんも、アテナ様までをも騙していました。本当にごめんなさい。アテナ様は僕達の謀に気づいた上で言及されませんでした。不敬罪になってもおかしくなかったのに……もしかしたら、マルクスさんも分かっていたのかもしれません。昨日、疑い深い方がこちらも安心できる、と仰っていましたから……」
「ごめんね? ノエルさん。ぶっちゃけ数値的には真紘ちゃん一人で事足りるし、一応俺も同行するから、療養中のレディ二人と、もう一人の野郎には無理しないでって伝えておいてよ」
産まれたての小鹿のように辛うじて立ち上がったノエルは承知したとゆっくりうな垂れた。
「本当にごめんなさい! 騙す気はなくて……ん? 結果としては騙していたんですが、悪意はなくて、自衛のためにというかなんというかそのぉ~」
「真紘ちゃんキョドりすぎ! てか、申し訳ないついでに真紘ちゃんの魔力量は記録に残さないでほしいなぁ、なんて。この規格外の魔力量って、権力に溺れてハイになってるやつ程手に入れたくなりそうなものだし、色々厄介ごとに巻き込まれたくないんだよね。この通り、お願い!」
慌てふためく二人を見て落ち着いたのか、ノエルはクスクスと笑った。
「勿論です、ご安心ください。陛下やマルクス様のご意志ならば、尚更お二人の秘密はお守りせねばなりません。騙されていたとも思いませんよ、この眩暈はお二人のステータスが想像を遥かに上回る値だったもので。神木の件も承知致しました。魔力補填の説明は夕食前に宰相様から、予定通り明日決行ということでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます! よろしくお願いします。じゃあ、ノエルさんも一緒にランチしませんか?」
「それは嬉しいお誘いです! ですが、陛下や宰相様に決行の共有をせねばなりません。今も上でお待ちなのです」
王の間の方向を見ると、窓の奥に誰かがいる。
窓格子で良く見えないが、重盛はアテナだと手を振り返していた。身体能力の変化は視力にも及んでいたらしい。獣人同士でなければ不可能なコミュニケーション方法だ。
双眼鏡でもない限り真紘には見えそうになかった。
迷路のような城中に戻るノエルを見送り、真紘と重盛はシェフ特製のサンドイッチを食べた。
模擬戦とはいえ、慣れない魔力操作で腹が減った。
二人は地球では考えられないような量の昼食を摂り、ピクニックバスケットを空にした。
一休みした後、真紘はもう一戦やろうと地面を蹴って飛んでいく重盛の背中目掛けて水の渦を放った。
重盛は空中で体勢を変え、難無くそれを避ける。
渦は青空に吸い込まれ、中庭に小さな虹が架かった。
重盛が手を振ると、ノエルは爽やかな笑みを浮かべて駆けてくる。
「お二人とも、お疲れ様です!」
「ノエルさんこそ、お疲れさまです。宰相様はなんと仰っていましたか?」
実は、と切り出したノエルだが、結果は彼の明るい表情から察することができた。
宰相が昔の資料を確認したところ、五百年前に一度だけ、召喚された救世主が身体の変化に長らく対応できず、一人欠いた状態で魔力補填を行っていたことが分かった。
王城の書庫で厳重に保管されていたとはいえ、経年劣化によって一部読み解けないページがあったため、今回も同じく成功するとは断言できないが、試す価値はある。
神木は一度吸い上げた魔力には反応しない。今までも獣人やエルフといった長命種族となった救世主が次の百年後も魔力を提供すると協力を申し出たが、何故か神木は反応しなかった。
「いや、神木ちゃんグルメかよ」
重盛は呆れ顔だ。ノエルは否定も肯定もせず、半笑いで語り続けた。
記録にある限りの救世主のMPの記録を確認したところ、ある一定の基準を超えれば次の召喚が行われるまで魔力が枯渇することはないと、宰相と共にノエルの提案を聞いていたアテナが最終的に判断した。
それでも各地で魔力不足による異変が起こるようなら、残りの一人にも協力してもらうそうだ。
真紘は優雅に微笑むアテナの姿が目に浮かんだ。
その頬笑みの裏には、いざとなれば武力を行使してでもこの世界のために働いてもらうという強い意志があり、三百年前から、王座に就いている彼女の言葉には、その場にいた全員を納得させる力があった。
「MPはどれくらいあれば良いのでしょうか?」
真紘の質問でノエルの瞳に影が差した。
「十万です……記録に残る中で一番魔力量があった方が四十万。陛下はお二人だけでも大丈夫だろうと仰っていましたが、失礼ながら、拝見させていただいたステータスでは、聖女様と剣士様の魔力量と合わせてもギリギリかと。勇者様を除く四名の負担が大きすぎて心配なのです」
記録に残る中で、トップの魔力量が四十万。
自分の本来の魔力量は七千五百十万五百十。
百年周期で求められる魔力量が十万。
これでは自分一人だけでも余裕で補える量だ。そんなわけがない。ステータスの表示がおかしかったのか、聞き間違いではないのか。
真紘は困惑し、眉を顰めた。
「ま、真紘様……?」
偽装したステータスのMPはマルクスの約十倍の七千。
重盛も同様だ。
十万引く一万四千は八万六千、聖女と剣士の魔力量が同等だとすると、あちらは一人あたり四万三千。
勇者の魔力量は不明だが、救世主の中でも自分の数値は飛びぬけて高いのだと真紘は漸く気づいた。
エルフが希少だとは聞いたが、そんなに魔力に特化した種族だったのか――。
黙考する真紘が困っていると勘違いしてたノエルは重盛に助けを求めるような視線を送った。
「ノエルさん大丈夫っす。予想以上に無理っぽい、どうしようの顔じゃないんで……」
「そ、そうですか……ですが、魔力を使い果たしてしまうと、一週間は起き上がれなくなるのです。稀ですが、教会でも治せないような後遺症が残る事もあります。やはり私が何とか勇者様を説得して参りますので!」
重盛は今にも駆け出していきそうなノエルを引き留め、肩を組んだ。
「まあまあ、落ち着いて。てか、真紘ちゃん? 俺らが詐欺ったせいでノエルさん顔面蒼白よ。マルクスのおっさんにもだけど、信頼できそうな人にはネタバラシしてもいいんじゃね?」
重盛の言葉に頷くと、真紘はステータスを本来の値に戻して表示させた。重盛の職業欄だけは偽造したままだ。
「こ、これはッ……!」
ノエルはふらりと後退り、膝から崩れ落ちた。
重盛は彼の体を支え、落ちかけたピクニックバスケットは真紘が浮かせて腕に収めた。
「マルクスさんも、アテナ様までをも騙していました。本当にごめんなさい。アテナ様は僕達の謀に気づいた上で言及されませんでした。不敬罪になってもおかしくなかったのに……もしかしたら、マルクスさんも分かっていたのかもしれません。昨日、疑い深い方がこちらも安心できる、と仰っていましたから……」
「ごめんね? ノエルさん。ぶっちゃけ数値的には真紘ちゃん一人で事足りるし、一応俺も同行するから、療養中のレディ二人と、もう一人の野郎には無理しないでって伝えておいてよ」
産まれたての小鹿のように辛うじて立ち上がったノエルは承知したとゆっくりうな垂れた。
「本当にごめんなさい! 騙す気はなくて……ん? 結果としては騙していたんですが、悪意はなくて、自衛のためにというかなんというかそのぉ~」
「真紘ちゃんキョドりすぎ! てか、申し訳ないついでに真紘ちゃんの魔力量は記録に残さないでほしいなぁ、なんて。この規格外の魔力量って、権力に溺れてハイになってるやつ程手に入れたくなりそうなものだし、色々厄介ごとに巻き込まれたくないんだよね。この通り、お願い!」
慌てふためく二人を見て落ち着いたのか、ノエルはクスクスと笑った。
「勿論です、ご安心ください。陛下やマルクス様のご意志ならば、尚更お二人の秘密はお守りせねばなりません。騙されていたとも思いませんよ、この眩暈はお二人のステータスが想像を遥かに上回る値だったもので。神木の件も承知致しました。魔力補填の説明は夕食前に宰相様から、予定通り明日決行ということでよろしいでしょうか?」
「ありがとうございます! よろしくお願いします。じゃあ、ノエルさんも一緒にランチしませんか?」
「それは嬉しいお誘いです! ですが、陛下や宰相様に決行の共有をせねばなりません。今も上でお待ちなのです」
王の間の方向を見ると、窓の奥に誰かがいる。
窓格子で良く見えないが、重盛はアテナだと手を振り返していた。身体能力の変化は視力にも及んでいたらしい。獣人同士でなければ不可能なコミュニケーション方法だ。
双眼鏡でもない限り真紘には見えそうになかった。
迷路のような城中に戻るノエルを見送り、真紘と重盛はシェフ特製のサンドイッチを食べた。
模擬戦とはいえ、慣れない魔力操作で腹が減った。
二人は地球では考えられないような量の昼食を摂り、ピクニックバスケットを空にした。
一休みした後、真紘はもう一戦やろうと地面を蹴って飛んでいく重盛の背中目掛けて水の渦を放った。
重盛は空中で体勢を変え、難無くそれを避ける。
渦は青空に吸い込まれ、中庭に小さな虹が架かった。
36
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
VRMMOで追放された支援職、生贄にされた先で魔王様に拾われ世界一溺愛される
水凪しおん
BL
勇者パーティーに尽くしながらも、生贄として裏切られた支援職の少年ユキ。
絶望の底で出会ったのは、孤独な魔王アシュトだった。
帰る場所を失ったユキが見つけたのは、規格外の生産スキル【慈愛の手】と、魔王からの想定外な溺愛!?
「私の至宝に、指一本触れるな」
荒れた魔王領を豊かな楽園へと変えていく、心優しい青年の成り上がりと、永い孤独を生きた魔王の凍てついた心を溶かす純愛の物語。
裏切り者たちへの華麗なる復讐劇が、今、始まる。
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
過労死で異世界転生したら、勇者の魂を持つ僕が魔王の城で目覚めた。なぜか「魂の半身」と呼ばれ異常なまでに溺愛されてる件
水凪しおん
BL
ブラック企業で過労死した俺、雪斗(ユキト)が次に目覚めたのは、なんと異世界の魔王の城だった。
赤ん坊の姿で転生した俺は、自分がこの世界を滅ぼす魔王を討つための「勇者の魂」を持つと知る。
目の前にいるのは、冷酷非情と噂の魔王ゼノン。
「ああ、終わった……食べられるんだ」
絶望する俺を前に、しかし魔王はうっとりと目を細め、こう囁いた。
「ようやく会えた、我が魂の半身よ」
それから始まったのは、地獄のような日々――ではなく、至れり尽くせりの甘やかし生活!?
最高級の食事、ふわふわの寝具、傅役(もりやく)までつけられ、魔王自らが甲斐甲斐しくお菓子を食べさせてくる始末。
この溺愛は、俺を油断させて力を奪うための罠に違いない!
そう信じて疑わない俺の勘違いをよそに、魔王の独占欲と愛情はどんどんエスカレートしていき……。
永い孤独を生きてきた最強魔王と、自己肯定感ゼロの元社畜勇者。
敵対するはずの運命が交わる時、世界を揺るがす壮大な愛の物語が始まる。
【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。
カヨワイさつき
BL
小学生の頃両親が蒸発、その後親戚中をたらいまわしにされ住むところも失った田辺輝(たなべ てる)は毎日切り詰めた生活をしていた。複数のバイトしていたある日、コスプレ?した男と出会った。
異世界ファンタジー、そしてちょっぴりすれ違いの恋愛。
ドワーフ族に助けられ家族として過ごす"テル"。本当の両親は……。
そして、コスプレと思っていた男性は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる