出逢えた幸せ

ずーちゃ

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第三章:身体と愛と涙味の……

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 昨日から色々あり過ぎて……、透さんに逢ったのがもう随分前のような気さえしてくる。

 最後に逢ったのは、たったの3日前……。俺が罰ゲームで女装して透さんと夜景を見たあの夜。

 ――彼氏じゃないのなら、義理立てする必要もない。

 昨夜、みっきーに言われた言葉が頭を過ぎった。

『彼氏』……確かに恋人ではなくて、身体の関係はあるから友達でもない。

 なら、やっぱりセフレと呼ぶのが多分正しいんだと思うけど。

 なのに、飲みすぎて友達の家に泊まったとか、そんな嘘のメールをしただけで心が痛む自分。

 そのメールのやりとりをした直後に透さんの姿を見かけて、透さんは気が付いてませんようにって、願う自分。

 昨夜、みっきーと関係を持ってしまった事が、透さんに対して後ろめたさで頭の中がいっぱいで……。

 ――これって、まるで……。

 まるで……その後に続く言葉を心の中で呟いてみると、切ないような不思議な感情を覚える。

 ――だけど……透さんも昨日は……。

 彼女と腕を組んで、仲良さそうに歩いて行く後ろ姿を思い出して、今考えていた事を振り払うように、俺はブンブンと思いっ切り頭を横に振った。

 ――そうだ……俺が後ろめたさを感じる理由なんて、ひとつも無い。透さんと俺は恋人なんかじゃないんだから。

 だけど何だろう……。そう考えるのが一番ラクな筈なのに……なんでこんなにへこんでしまうんだ俺。

「どうしたの? さっきから、思い切り首振ったり、地面にのめり込みそうな程沈んでたり?」

「あ……?」

 言われてタクシーの中だって事を思い出して、隣を見上げた。

 みっきーは静かに微笑んで、俺の頭を自分の肩に乗せるように引き寄せる。

「すぐに着くけど、それまで少しでも眠りなよ」

 みっきーにしては優しい言葉だな……なんて思いながら、タクシーの心地よい揺れと疲れも手伝って、みっきーの肩に頭を預けたまま重くて仕方のない瞼を閉じた。

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