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第四章:想う心と○○な味の……
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「……みっき?」
何か怒ってるんじゃないかと不安になって隣を見上げれば、みっきーは少し困ったような顔で俺を見詰め返して、溜息をつく。
「……もう……、参ったな」
「ごめん……心配かけて……、怒ってる?」
「ああ、怒ってるね」
「……ごめん、本当にごめん」
もう一度謝ると、みっきーは急に立ち止まり、自分の髪の毛をグシャグシャとかきむしり始めた。
「……?」
どうしたのかと、不思議に思いながら見ていれば、「あー、もー!」っと、声を上げて、みっきーは俺から目を逸らしてしまう。
「どうしたの?」
顔を覗き込もうとした瞬間、突然逞しい腕に息が詰まるくらいに強く抱き締められた。
「……みっ、き?」
名前を呼べば、みっきーは俺の耳元で小さくまた溜息を漏らした。
「俺が……、どんなに我慢してると思ってるの」
俺の肩に顔を埋め、みっきーが呟くように言葉を零す。
「……え?」
「直に、キスしたいのも触りたいのも、我慢してるのにさ。あんな奴に簡単に触らせるなんて、許せないな」
「……そ、そんな事言ったって……」
あの人、めちゃ馬鹿力だったんだもん……。
「ごめん、違うな。直が悪いんじゃないんだ……。前に言っただろ? うちの店ゲイが多いから、直は狙われそうだから気をつけないとって」
――ああ、そういえば前にそんな事言ってた……。
「アイツ、真澄ね。前から直のことを狙ってるの知ってたんだよ。だから店では気をつけてたんだけど、まさかこんな所で会うなんて。俺が前もってアイツに釘刺しておいたら良かった。本当にごめんね」
「そんな……、みっきーは悪くないじゃん」
俺の言葉にみっきーからの返事はなかった。その代わり、俺を抱き締めている腕にまたギュッと力をこめる。
歩道は大勢の人が行き交っている。
いつもなら……、こんな場所で何すんだって言うんだけど……、おかしいな。
今は、こうしている方が気持ちが落ち着く。
大きな傘に隠れて逞しい胸に顔を埋めていれば、まるでここだけが隔離され空間で、周りの気配は消えていく。そんな気がした。
「路上駐車してるから、急ごうか」
みっきーがそう言って、体を離した時には、もういつものみっきーの笑顔に戻っていた。
**
みっきーの車の助手席に乗り込んで、シートに背中を預けて、なんだかすごく疲れたな……って思いながら、腕の中の潰れてしまった紙袋を見つめていた。
「それ……、中身はケーキか何か?」
みっきーが、エンジンをかけながら、俺の腕の中の紙袋に視線を送る。
「うんん、シュークリーム」
「へえ? バレンタインなのにシュークリームなんだ。それ、透さんに渡すつもりだったの?」
「うん。これ、俺が作ったんだよ。でも、もう渡せないな……」
「えー? いいなぁー、俺も直に作ってもらいたいなぁ」
「また今度、作ったら持ってくよ」
「マジ?」
エアコンの暖かい空気が流れてきて、冷えた身体が温まっていく。
楽しみ~と、言いながら嬉しそうに笑うみっきーを見ていたら、心も少しずつ温まっていく気がした。
みっきーは、後部座席に置いてあった鞄からタオルを取り出して俺の頭に被せた。
「シュークリーム、開けて中身を確認してみる?」
ゴシゴシと俺の濡れた髪を拭きながら、みっきーがさり気なく訊いてくる。俺は俯いたまま小さくかぶりを振った。
包みを開けて、中身も潰れているのを見てしまったら……、透さんへの自分の想いが潰れてしまったのを、確認するようで怖かった。
諦め悪いな……俺。
少しでも……可能性が、ひとかけらでも残っているのなら、それに縋りたいって、大げさかもしれないけど、あのクッキーシューは、そんな俺の想いの象徴に思えていたから……。
あのまま、あそこに置いていくのだけは嫌だったんだ。
何か怒ってるんじゃないかと不安になって隣を見上げれば、みっきーは少し困ったような顔で俺を見詰め返して、溜息をつく。
「……もう……、参ったな」
「ごめん……心配かけて……、怒ってる?」
「ああ、怒ってるね」
「……ごめん、本当にごめん」
もう一度謝ると、みっきーは急に立ち止まり、自分の髪の毛をグシャグシャとかきむしり始めた。
「……?」
どうしたのかと、不思議に思いながら見ていれば、「あー、もー!」っと、声を上げて、みっきーは俺から目を逸らしてしまう。
「どうしたの?」
顔を覗き込もうとした瞬間、突然逞しい腕に息が詰まるくらいに強く抱き締められた。
「……みっ、き?」
名前を呼べば、みっきーは俺の耳元で小さくまた溜息を漏らした。
「俺が……、どんなに我慢してると思ってるの」
俺の肩に顔を埋め、みっきーが呟くように言葉を零す。
「……え?」
「直に、キスしたいのも触りたいのも、我慢してるのにさ。あんな奴に簡単に触らせるなんて、許せないな」
「……そ、そんな事言ったって……」
あの人、めちゃ馬鹿力だったんだもん……。
「ごめん、違うな。直が悪いんじゃないんだ……。前に言っただろ? うちの店ゲイが多いから、直は狙われそうだから気をつけないとって」
――ああ、そういえば前にそんな事言ってた……。
「アイツ、真澄ね。前から直のことを狙ってるの知ってたんだよ。だから店では気をつけてたんだけど、まさかこんな所で会うなんて。俺が前もってアイツに釘刺しておいたら良かった。本当にごめんね」
「そんな……、みっきーは悪くないじゃん」
俺の言葉にみっきーからの返事はなかった。その代わり、俺を抱き締めている腕にまたギュッと力をこめる。
歩道は大勢の人が行き交っている。
いつもなら……、こんな場所で何すんだって言うんだけど……、おかしいな。
今は、こうしている方が気持ちが落ち着く。
大きな傘に隠れて逞しい胸に顔を埋めていれば、まるでここだけが隔離され空間で、周りの気配は消えていく。そんな気がした。
「路上駐車してるから、急ごうか」
みっきーがそう言って、体を離した時には、もういつものみっきーの笑顔に戻っていた。
**
みっきーの車の助手席に乗り込んで、シートに背中を預けて、なんだかすごく疲れたな……って思いながら、腕の中の潰れてしまった紙袋を見つめていた。
「それ……、中身はケーキか何か?」
みっきーが、エンジンをかけながら、俺の腕の中の紙袋に視線を送る。
「うんん、シュークリーム」
「へえ? バレンタインなのにシュークリームなんだ。それ、透さんに渡すつもりだったの?」
「うん。これ、俺が作ったんだよ。でも、もう渡せないな……」
「えー? いいなぁー、俺も直に作ってもらいたいなぁ」
「また今度、作ったら持ってくよ」
「マジ?」
エアコンの暖かい空気が流れてきて、冷えた身体が温まっていく。
楽しみ~と、言いながら嬉しそうに笑うみっきーを見ていたら、心も少しずつ温まっていく気がした。
みっきーは、後部座席に置いてあった鞄からタオルを取り出して俺の頭に被せた。
「シュークリーム、開けて中身を確認してみる?」
ゴシゴシと俺の濡れた髪を拭きながら、みっきーがさり気なく訊いてくる。俺は俯いたまま小さくかぶりを振った。
包みを開けて、中身も潰れているのを見てしまったら……、透さんへの自分の想いが潰れてしまったのを、確認するようで怖かった。
諦め悪いな……俺。
少しでも……可能性が、ひとかけらでも残っているのなら、それに縋りたいって、大げさかもしれないけど、あのクッキーシューは、そんな俺の想いの象徴に思えていたから……。
あのまま、あそこに置いていくのだけは嫌だったんだ。
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