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しおりを挟む彩花side🍷
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あ~ぁ、馬鹿旦那は、大好きな義息子を怒らせて仕舞いましたね。
「馬っ鹿じゃない? 家を継がせたいなら、結芽の事認めてあげたら良いんじゃないの。結芽と亜依は違うって事位、その四角い頭でも解っているんでしょう 」
「でも、彩花………… 」
「御劔の血がうんたらかんたら言うんなら、全部諦めなさい。それこそ真紘の言う通り、貴方の甥っ子を養子にして跡継ぎになさい。あの子には結芽が必要。あたしは逸れをあの子の側で見てきたの。貴方の会社で課長として大きなプロジェクトを抱えて奮闘していたあの子が、逸れから外れてあたしの会社に転職しなきゃいけなかった程の打撃を真紘は受けたの 」
旦那に対し、息巻く中、
「省吾さん、少しは四角い頭を丸くしなければ、知恵など生まれませんよ。あの子の心は閉ざされて居ます。その門を開いているのは結芽さんだけ。並々ならぬ献身の心が、あの子の傷を癒やしているのだと、わたくしは思うのです。そんな2人を引き裂こうとする輩は『馬に蹴られて死んでしまえ』ですわよ」
お母さんが可笑しそうにコロコロと笑って(でも、目が笑っていない)言った。
流石、昔々、あたしが産まれて間もなくとも、抱っこ紐で抱え、あやしつつ、お父さんの会社で働いていただけはある。
根性が座っている。
高校生アルバイトの時から、大学、社会人と。
お母さんは、ずっとお父さんの会社にいた(居させられたのが正解らしい)。
2人の結婚までの経緯なんて知らない。
知っているのは、17歳であたしを身ごもった事。
お父さんがお母さんを溺愛してた事。
お母さんがとても有能だった事。
旦那に向けて、ただ、ただ、お母さんは、温厚そうにゆったりと笑って、確信を付く。
真剣な眼差しで。
洞察力高く。
その遣り手さ加減が、お父さんの壺に嵌まったらしい。
お母さんが、省吾を見据えた。
「省吾さん、彩花、私が気に掛けているのは、御劔家の事でも如月家の事でも無いの。あの子がまた有名になって、海外にまでその名が轟く事に成った時、『あの人達』が現れないかどうかって事なのよ……」
お母さんの顔が憂いを帯びていた。
『あの人達』?
はて、何の事だろう。
お母さんが立ち上がり、奥の両親の寝室に消えると、暫くして古めかしいアルバムを携えて帰って来た。
初めて目にするアルバム。
此処に何が?
「もし、万が一、万が一よ。『あの人達』が現れたとして、真紘の心を護れるのは、私達家族と結芽さんだけに成るわ。万が一の事態は、真紘も理解してる。だからあの子は、芸能界を早々と引退したの。逸れを又始めるって、逸れがあの子の『意志』だって、お母さん、確認したわ。だから…………」
お母さんは、アルバムをパラパラとめくって、あるページをあたし達に見せた。
其処には、セピアに色ぼけた写真。
そして、とても似通った男女。
椅子に座る女の後ろに立つ男を見て、あたしと旦那は驚愕した。
其処に写るのは、あたしの弟。
あたし達の義息子。
両親の息子。
真紘だった。
うううん、真紘そっくりな男。
もとい、真紘がこの男にそっくりなんだ。
「だから、あなた達も覚悟を決めて。もしもの時は、わたくし達が2人を守るのよ。でなければ、二度と真紘とは、会えなくなってしまう事でしょう」
そう告げる母に、あたし達は、呆けた顔しか見せられなかった。
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