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しおりを挟む結芽side🌸
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挑戦的な、貴方の瞳。
かき上げられる、絹糸のような髪。
澄んだグリーンの瞳が射抜くのは、私では無く、目の前の勘違い男。
そりゃ、ね。
私はうぶな方では無いよ。
男だって、真紘さんだけだけど、知ってる。
けど、それが男慣れしている事と、イコールで結ばれているかと言えば、私に限って言えば、そうじゃない。
男の人に慣れているかと言えば、私の場合は、全然、全く慣れて居ない訳で。
結果、緊張していてカチコチになってしまう。
顔なんて、ひきつりまくり。
合坂君はね、そんな私にはお構いなしで。
あろう事か、首にキスまでして来た。
思わず身をよじれば、助け舟のように真紘さんの声が響いて来たの。
合坂君は、『挫折』を経験した事が無いのね。
だからあんなに傲慢に成れる。
だからか、真紘さんは彼に厳しく当たった。
「合坂、目ぇ見開いて、しっかり見てろよ。お前と俺の違いを………… 」
「はぁ?! 言ってろよ、お手並み拝見してやるから」
合坂君の捨て台詞。
けど、私には聞こえない。
何故なら、真紘さんに釘付けだったから。
実はね、前から思ってた。
真紘さんは、凄く色気って言うか、色香、の有る人だって。
男慣れしてない私でも、その半端無いだだ漏れの色気と、sexアピールにドギマギさせられてしまう。
そんな色気を気持ちひとつで見え隠れさせてしまうなんて…………。
凄いな、なんて思った。
私、女なのに…………。
真紘さんのプロ意識に、改めて脱帽して。
プロの俳優になれるのに、逸れを目指さず、一塊のサラリーマンをやってるのだから、人は、解らないわよね。
そんな考え事をしている間に、真紘さんが目の前に立った。
「真紘さん…………。ありがとう御座います」
先ずは最初に、感謝の言葉を述べる。
だって、本当に困っていたのですもの。
「ん……? 俺は何もしてないよ」
「困り切っていた所を助けて頂きました」
私の言葉に、真紘さんが笑った。
「台無しになりそうなCM撮影を止めただけだよ……。礼は要らない。逸れより、何考えてたのかな? 結芽は……。あぁ、それと、始めまして。かな?
『Yume』さん。俺は、『mahiro』と言います。以後お見知り置きを」
そう言って、真紘さんは悪戯っ子のように笑った。
「此方こそ、宜しくお願いします。『mahiro』さん………… 」
私は、初対面の人に挨拶するように『mahiro』さんに接した。
「さて、早速始めましょうか? 『Yume』さん…… 」
そう言われて私は、「はいっ」と、色気の無い、元気一杯な返事をしてしまう。
元気印満載の、色気皆無女から、この人はどうやって『女の色香』を私から、引き出すのだろうか?
スタッフ、監督一同が、固唾を飲んで真紘さんを見守る。
口元を引き結んでいた真紘さんの口角が優しい形の笑顔を見せた。
「カメラマンさん、俺の事は撮らなくて良いですから、『Yume』さんだけを撮って下さい。彼女は、今からとても良い表情を見せますから、取り損ね無いようにね………… 」
そう指示した真紘さんに、驚いた表情を見せた合坂くん。
ふふっ…………。
でしょうね。
常に自分が中心でカメラに収まっていた合坂くんですもの(そうなんだろうなって、私にも解った)。
カメラに写らないなんて、有り得ない事ですものね。
でも、この人は逸れをやってのける。
この人は、完成予想図を頭の中で真っ先に巡らせて、仕事をする人だから。
私生活は、お姉ちゃんのせいで滅茶苦茶になってしまった人だけど、仕事に関しては、昔よりも誠実で熱心な人だから…………。
この仕事、必ず成功する。
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