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きさらぎ駅
③
しおりを挟む「凪、大丈夫か? まだやれるか? 」
「ん、あたしは大丈夫。櫂も無理しないでね。あの人の心は闇に落ちきってる。有るのは怨みと呪い………… 」
「分かってるよ、凪。さぁ、君の剣を俺に貸してくれるかぃ? 」
「勿論よ……。あたしは、貴方の武器なんだから………… 」
2人の間で交わされた会話は、女からは殆ど聞こえなていなかった。
けれど、僅かに聞こえた声音は、男女のモノだと女にも解った。
やはり、あの2人は男と女。
今一番気になっていた事が解決して、女はほっこりと笑みをこぼした。
その時だった。
ズルッ、
ズルッ
ズルッ。
背中に悪寒が走るような、生理的に嫌悪するかのような、地べたを這うような音が列車内に響いた。
そして。
此処に、現れい出たのは、四つん這いで這う女。
普通の這い方では無い。
腰で上下の向きが違う。
下半身は仰向けでブリッジをしていて、上半身は正面を向いている。
首は一回転して顎を上に向け、逆さまで此方を、否、彼ら男女を睨み付けて居る。
異様な姿の、異様な光景。
日光に庇われる女が、その光景から目を逸らす。
本能が、奴を見るなと、警告する。
『見たら呪われる』
本能が、そう警告していた。
そんな物体を正視出来得る彼等は、一体何者なのだろう。
女は、そう不思議に思った。
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