【完結】女神に殺されて死神にされました。でも助けた令嬢がドストライクで困ってます

黄色いひよこ

文字の大きさ
8 / 34
無実の罪で投獄された令嬢

投獄された令嬢②

しおりを挟む

キャサリンを抱き上げた瞬間、氷のような冷たさに、零は焦った。

とっさに外套の中に彼女を抱き込んで包み込む。

身体を擦って暖めるなんて事では間に合わない、

辺りを見回して在るのは石の寝台とテーブルと椅子。


「ヘンディク、結界」


取り敢えず簡潔に目的を言えば即座に張られた結界。

「次はどうする」


と、問うヘンディクに


「取り敢えず、低体温だ」


と、応えれば零は石の床に手を付いた。

ゴッと言う音と共に石組みの楕円形の入れ物がせり上がってきた。

石の棺桶とお思いかも知れないが、岩風呂だと思って頂ければ良いかと。

露天風呂にあるアレの小型バージョンである。

そして次は魔法だ。

炎を岩を舐めるように這わせ、触れられる程度に温める。

そして仕上げに、水と炎の混合魔法でお湯を作り、岩風呂に張った。

そして、


「ごめん、服、脱がせるよ」


と、聞こえていないであろうキャサリンに彼は言い置いてワンピースを脱がせてお湯に付けた。


「ヘンディクちょっと彼女を押さえてて」


とヘンディクに頼めば、彼は器用にその脚でキャサリンを支えた。

その間に零は外套を外し、騎士服を脱いで下着姿の儘お湯に入ってヘンディクから彼女を預かり直した。

ゆっくりと肩まで彼女を浸からせる彼は、温度を一定に保つ為に魔法を使い続けている。

大きな力では無いが、継続と成ると普通では大変な作業だった。

普通では。




「ふむ、なる程。火は焚けないから湯ですか。でも石の風呂だから湯はあっと言う間に冷めるし、娘さん独りでは溺れるから一緒に入った訳ですね……。魔法で湯を温めつつ、お嬢のさんの体温を上げる。何だ、役得ではないですか、零」

「五月蝿ぇわ、ヘンディク。ハッキリ言ってそんな余裕無ぇ」


確かに、気持ちに余裕なんて皆無だ。

無尽蔵にある魔力と、総ての魔法を操れる力は彼を疲れ知らずにはしている。

けれど、ずっと焦がれていた女性に触れるインパクトは、思った以上にセンセーショナルを零の胸に巻き起こした。

頭が緊張でクラクラする。

零はそんな自分をお首にも出さずにヘンディクを見た。

そう、今会話していたのは、師匠と言う肩書きを持ち、彼のお目付役にもなっている、零をサポートする見た目だ。

名をヘンディク=アトラタンと言う神馬な訳だが、彼は、フォルトゥナの愛馬でもあり、夫でもある『白の守護騎士』で、あった。

勿論、見た通り生前は獣人である。

零はキャサリンのむき出しの腕を見て、赤みが刺して来ている事に気付き、これでひとまず、命の危機は回避されたと言って良いだろうと、安堵した。


そう、ホッと一安心したのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。が、その結果こうして幸せになれたのかもしれない。

四季
恋愛
王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。

処理中です...