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無実の罪で投獄された令嬢
投獄された令嬢②
しおりを挟むキャサリンを抱き上げた瞬間、氷のような冷たさに、零は焦った。
とっさに外套の中に彼女を抱き込んで包み込む。
身体を擦って暖めるなんて事では間に合わない、
辺りを見回して在るのは石の寝台とテーブルと椅子。
「ヘンディク、結界」
取り敢えず簡潔に目的を言えば即座に張られた結界。
「次はどうする」
と、問うヘンディクに
「取り敢えず、低体温だ」
と、応えれば零は石の床に手を付いた。
ゴッと言う音と共に石組みの楕円形の入れ物がせり上がってきた。
石の棺桶とお思いかも知れないが、岩風呂だと思って頂ければ良いかと。
露天風呂にあるアレの小型バージョンである。
そして次は魔法だ。
炎を岩を舐めるように這わせ、触れられる程度に温める。
そして仕上げに、水と炎の混合魔法でお湯を作り、岩風呂に張った。
そして、
「ごめん、服、脱がせるよ」
と、聞こえていないであろうキャサリンに彼は言い置いてワンピースを脱がせてお湯に付けた。
「ヘンディクちょっと彼女を押さえてて」
とヘンディクに頼めば、彼は器用にその脚でキャサリンを支えた。
その間に零は外套を外し、騎士服を脱いで下着姿の儘お湯に入ってヘンディクから彼女を預かり直した。
ゆっくりと肩まで彼女を浸からせる彼は、温度を一定に保つ為に魔法を使い続けている。
大きな力では無いが、継続と成ると普通では大変な作業だった。
普通では。
「ふむ、なる程。火は焚けないから湯ですか。でも石の風呂だから湯はあっと言う間に冷めるし、娘さん独りでは溺れるから一緒に入った訳ですね……。魔法で湯を温めつつ、お嬢のさんの体温を上げる。何だ、役得ではないですか、零」
「五月蝿ぇわ、ヘンディク。ハッキリ言ってそんな余裕無ぇ」
確かに、気持ちに余裕なんて皆無だ。
無尽蔵にある魔力と、総ての魔法を操れる力は彼を疲れ知らずにはしている。
けれど、ずっと焦がれていた女性に触れるインパクトは、思った以上にセンセーショナルを零の胸に巻き起こした。
頭が緊張でクラクラする。
零はそんな自分をお首にも出さずにヘンディクを見た。
そう、今会話していたのは、師匠と言う肩書きを持ち、彼のお目付役にもなっている、零をサポートする見た目馬だ。
名をヘンディク=アトラタンと言う神馬な訳だが、彼は、フォルトゥナの愛馬でもあり、夫でもある『白の守護騎士』で、あった。
勿論、見た通り生前は獣人である。
零はキャサリンのむき出しの腕を見て、赤みが刺して来ている事に気付き、これでひとまず、命の危機は回避されたと言って良いだろうと、安堵した。
そう、ホッと一安心したのである。
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